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日々コレ好物 〜 Favorite collection of my daily life




#150  ワンワン・コード  〜  EUREKA


東北道を運転中の私の頭の中では

#148の「ワンワンパラダイス」がしつこくループしていました。


  
♪さーかだちしてー そら見よぉー  らそ らそ らそ らそ らそらー

  なーななな なーんてーいい感じー
  らそ らそ らそ らそ らそらー

  パーラダイスってこんなふう ハイッ!

  きょおもワンワンパラダーイス

  ワンワンワンワン ワンワンワンワン パラダイスー

  あっちも こっちも あっちも どっちも パラダイスー♪



ふと、

ある事に気付きました。

「逆立ちして空を見るから らそ なんだー そーゆー事か・・」


それまで、子ども向けの歌なので意味など考えもしてみませんでしたし、

全ての事に意味を見出そうとするのは大人の良くないところ、と感じ、

あえて意味を探ることを避けていました。

(大げさに言うような事ではありませんが・・・)


「らそ」の秘密に気付いた私は、歌詞全体を吟味してみることにしました。

しばし考えを巡らせ・・・


  「!」


運転中の私の頭の上に裸電球が一つ灯りました。


「あっ そーゆー歌なんだ!」


私は幼児向けのこの歌の中に深遠なる哲学を発見してしまったのでした。

以下、その発見の全貌です。


『逆立ちをして空を見てみよう!

どぉ? 違って見えておもしろいでしょ!

君はパラダイスって「ここ」じゃない「どこか」にあるものだって思うかもしれない。

でもね、逆立ちをして空を見た時、いつもと違う世界が目の前に広がるように、

見方や受け取り方を変えてみると、実は君の周りはパラダイスで溢れてるのかもしれないよ!

もし、そんな風に感じる事が出来れば、

今日でも明日でも、あっちに行こうが、こっちに行こうが

どこにいても君はパラダイスの真っ只中にいるんだ!』


さて、この大発見に興奮して、家族に小鼻を膨らませながらそれを報告したところで

「物事捉え様って事でしょ。」

てな具合に片付けられてしまうような気もします。

(ちなみに最近私がワンワンフリークである事を子どもたちにカミングアウトしたところ

明らかに引いた様子を見せていました。)

例えればウチの猫が必死に追いかけていたのが自分のシッポだという事に

やっと気付いたような・・・ そんな間抜けな発見なのかもしれません。


ともあれ私の頭の中では当分このワンワンパラダイスが鳴り続けるような気がします。

なんといっても3週連続1位なのですから!

                                 いや、私の中で・・・

                                       2009年2月2日





          


              当社謹刻 水月観音像



               ♪ワンワンパラダイス



#149  色々  〜  ∞


大晦日の紅白歌合戦を観ていて、

あるグループの、ある歌のワンフレーズが心に響きました。


Mr.Children の 「GIFT」。


  〜白と黒のその間に 無限の色がひろがってる〜


北京オリンピックのために作られた曲なので、

メダルの色を連想させる一節ではあるのですが、

この部分を聞いた時、

「個々の感じ方や受け止め方の多様性、もしくは一個人が時間の流れの中で、

感じ方や受け止め方、考え方を変化させていく事を歌っている。」

そして、曲全体を通して聞いたあと、

「曲中に登場する『君』と『僕』は両方とも一人の中に存在する自分なのではないか。」

そんな風に思いたい自分がありました。


自分の中に確かにあるのだけれど、それを表わす言葉が見つからなかったり、

自分が発した言葉が相手にうまく伝わらなかったり。

あの時はあんな風に感じていた、でも今はこんな風に感じている。

そんな思いは「白です」 「黒です」と断言できるものではないと感じます。


自分が持っている物差しと、自分以外の人が持っている物差しが同じではない事、

そして、自分が持っている物差しと、自分以外の人が持っている物差しは

日々変化していくのだという事を、心の片隅にしまっておけば、

白と黒の間にある無限の色の一端をより多く目にする機会に恵まれるのではないかと思いました。

                               2009年1月27日






             
                     お姿に対峙した時、その眼差しが語りかけてくる言葉、
                     心に浮かび上がる思いは時々によって変化し、
                     無限の広がりを感じます。(東京国立博物館にて)



                    Mr.Children 「GIFT」




#148  ☆パラダイス☆  〜 NHK


先日NHKの子どもの歌を特集した番組をなんとなく見ていたところ、

ある演目に目が釘付けになりました。


ワンワンパラダイス!


ノリの良い音楽に合わせて軽快に踊る大きな白い犬。

「よいモノにしたい」

中に入っている人のそんな心意気が伝わってきました。


メリハリの効いたキレのある動き。

あまり意味がないような楽しい歌詞。

犬のキャラクターに ワンワン という名前を付ける勇気。


NHKはおもしろい!

                   2009年1月20日



        




         ワンワンパラダイス





#147  雪  〜 growing up


ロープウエイで山頂を目指す我々の身体が、

上に行くほどに冷えていくのがはっきりと実感できました。

「うわー 真っ白で何も見えない」

「あーまた止まった。 風が強いせいだね。」


手袋の中の指先の冷たさがやがて痛みに変わり、はしゃいでいた子どもたちの口数も

しだいに驚きと不安で少なくなっていきました。


     


山頂に到着してロープウエイを降りると

映画でしか聞いた事のない風の唸り声が耳に飛び込んできました。

「すげー なんだこれはー!」

普段は体験することができない自然の厳しさに触れてみんな興奮していました。



            



今年も次男(小6)の学校のスキー教室(蔵王)に同行しました。

前日は天気も好く絶好のスキー日和だったにもかかわらず、

当日は山形県内全域が大寒波に覆われました。



お地蔵さんにみんなでお参りしてロープウエイで下に下りよう。」

リーダーである保護者の方の英断で、山頂からの滑降はあきらめる事にしました。


「さぁ それじゃあ ストックだけ持ってお地蔵さんへお参りに行こう。」

リーダーの声がけで外に出ると、前後不覚になるほどの真っ白い世界。

強風で前に進むことが出来ず、中にはあおられて転んでしまう子どもも。

なんとかお地蔵さんにたどり着き一日の安全をお祈りして建物に戻りました。



             




ロープウエイで下のコースへ戻ると悪天候ではあるものの、山頂を経験した身には

穏やかな天気に感じられ、色々なコースで一日スキーを楽しみました。



私は 「指導者が不足の時は参加します。」

と、はじめは消極的であったのですが、参加してよかったと心から感じました。

自分の子どもではないのですが、自分の子どものクラスメートと

厳しい山形の自然を体感できたのは得がたい経験でした。

ある意味、快晴で山頂から滑り降りる経験よりもロープウエイで下山する体験の方が

思い出深いものになったのではないかと思います。




「これで私たちの最後のスキー教室を終わります。」


閉校式での児童代表の終わりの言葉に少し胸がつまりました。



「まだまだ小学生でいたい」

そう思っても、彼らが小学生でいれるのはあとわずか・・・



「まだまだ小学生の親でいたい」

いくらそう願っても、私が小学生の親でいれるのもあとわずか・・・



雪が消える頃、彼らは新しい制服に身を包み、新しい門をくぐってゆきます。


喜ばしいことです。

                        2009年1月19日



           






#146  与六  〜 Applause Applause


「わしは こんなとこ 来とうはなかった」


新しく始まったNHK大河ドラマ 天地人 第一話のラストシーン、主人公与六(のちの兼続)のセリフです。

天下の大河ドラマですので、申し上げるまでもないのですが・・・・・


裸足で一段上がり、輝虎らの前に歩み出て正座、座礼、

「誠心誠意御仕え申し上げます。」

と、伝えようとしたところ言葉に詰まり、

「人の言葉を鵜呑みにするから言葉が詰まる、真の心の声を申してみよ」

と諭され冒頭のセリフへ・・・・・


ぶわっと涙がふき出してしまいました。


なんという演技!


諭されてからセリフを言うまでの焦り、戸惑い、怒り、決意などが

表情や所作で見事に表現されており、感動、感心しました。

「出来れば与六で半年くらい話を進めて欲しい」

そんなふうに思えるほどの演技でした。


演技ってよく分かりませんが、演じる役柄の性格や時々の感情を

客観的に理解していないと出来ないのではと思います。

あの子はそれが出来ているからあんな演技が実現してるのでしょうか?

スゴイと思います。

                    2009年1月17日




         
          
小僧さんも一役買ってます。


        


          □天地人予告編 click to go!

          □直江兼続 click to go!






#145  That’s it  〜 Aint Too Proud To Beg


高校の頃 スネークマンショー なるレコードが流行りました。

その中に 
「若手音楽評論家が80年代のロックシーンを考える」 という

ラジオの座談会番組をパロディーにしたものがありました。


評論家たちは相手の言動を無視、否定しながら、

自分がいかに相手よりもロックに精通してるかをしゃべり続ける。

でも結局は

「いいものもある でも わるいものもある」

というところに行き着くという内容でした。


同じ結論を持ちながらも、決して交わる事のない チープなプライドの小競り合い が可笑しくて、

よく友人と真似をしてはそれをテープに録音し、遊んだりしたものでした。




さて、

「ところでね、後輩である志ん朝さんのところへ先輩である圓蔵師匠が

稽古に行ったっていう不思議な話を聞いた事があるんだけど・・ホントに行ったの?」


「エー どーして知ってんのそんな話 まいったなぁー うん そーなんです。

あたしは芸はね、上下(先輩後輩の)ないと思ってるの。

いいと思ったら、その人のところへスパーッと行く

これがホントの芸人だと思うんですよ。

アイツんとこ行っちゃ俺のプライドがゆるさねぇ なんてぇのはウソウソ

それはねぇニセモノですよ、いや僕がホンモノってわけじゃないけど・・・・・

そしたら志ん朝さんピシーッと教えてくれましたよ。」


これは、NHK FM日曜喫茶室という番組での、はかま満緒氏と

落語家 八代目橘家圓蔵師匠とのやりとりの一部です。

出張の運転中に以前録音したテープを再度聴きかえして新たな感銘を受けました。

私もそう在りたいものだと。


真のプライドのためならちっぽけな虚栄心などたやすく棄てることが出来る。


良いと感じたことであれば、

歳が上であろうが 下であろうが

男だろうが 女だろうが、

好きな人であろうが そうでなかろうが

師匠だろうが 弟子だろうが

親であろうが 子であろうが

ネコだろうが 犬だろうが

関係なし!

「イイはイイ」

素直にそう認める事ができる潔さ、誇り高き貪欲さ、

そんなたくましさに強く惹かれます。

                          2009年1月13日



         
              ヨイショっと!





  銀杏BOYZ−BABY BABY  
   高1の長男の部屋からもれ聞こえてきた曲です。 ♪夢の中で僕ら手をつないで飛んでた・・♪ イイです!




謹んで新春のお喜びを申し上げます


旧年中は当社並びに当HPをご愛顧頂き、誠にありがとうございました。

本年も何卒宜しくお願い申し上げます。

皆様にとって良き一年であります事を心よりお祈り申し上げます。  合掌






            






                   平成二十一年一月一日




                   仏像彫刻原田社員仏工一同








#144  ニャンコロジー 〜 Express yourself



     




 
            Tsuyoshi Nagabuchi







              
                         America     







  
                 N.Moriyama







                          
                  THE BLUE HEARTS     









 
              Chicago







                         
                   T.Kamijyou       







   
                   Olivia Newton John



                                   2008年12月18日






#143  ジェラスガイ 〜 joyful joyful


現在高一の長男が小学校に入学した年から切れ目なく秋のお楽しみとなっている音楽会。

毎年県民会館の大ホールで行われる小学校主催の一大イベントが今年も開かれました。

次男(末っ子)が今年6年生であるため、我が家にとっては今年でこれが見納めとなりました。


低学年、中学年、高学年 それぞれに工夫を凝らしたステージは

見ごたえ聞きごたえがあり、何度も鳥肌が立ちました。

「次男ももう少しで小学校卒業か・・・」

そんな思いで彼らのステージを見ると、初めてこの音楽会に接した時の事を思い出しました。


「自分が小学生の頃と違う・・・」


それが素直な感想でした。

そしてこの感想は毎年音楽会に赴くたびに浮かんでくる感想でした。


体をゆすってリズムをとり、大きな口を開けて歌っている。

そんな心から音を楽しんでいる彼らの姿を見ていると、

感動している心の中に小さな嫉妬心が芽生えます。


   
「うらやましい!」




   〜少年老い易く学成り難し 一寸の光陰軽んずべからず〜


ためらっている間に現在はどんどん過去になってゆきます。

恥ずかしがっている間に楽しめるチャンスは通り過ぎてゆきます。

揶揄される事を恐れている内に本当に好きなものが見えなくなります。



  ♪じぶんのこえーをー しんじあるけばいいのーぉ〜


小学生に嫉妬心を燃やす地域のおじさんは、

音楽会の帰り道、やり場のない情熱を鼻歌で紛らすのでした。

                                2008年12月13日



      







#142  時代は変わる 〜 when I was young...


山形市高瀬を舞台にした映画「おもひでぽろぽろ」

山形市民の私にとっては懐かしい風景に出会える作品でもあります。

今は新しくなった山形駅やローカルバスのデザインなどが忠実に描かれており

そのリアルさに驚かされます。

そして観た後にすがすがしさが残る印象的な映画でした。

特に、列車に乗り山形を離れてゆく主人公の前に、小学生の自分やその友達が現れるラストシーンは

薄汚れたおじさんの目に涙を溢れさせるに充分すぎる感動的なものでした。

感情を抑えて歌われる
ローズもまたすばらしいと思います。


さて、現在45歳の私

思春期のわが子に、一丁前に物申したりする事がたまにございます。

そんな時この おもひでぽろぽろ のラストシーンが脳裏をかすめます。

そしてちょっと怯えます。

ドアの向こうで思春期の自分が話を聞いているのではないかと・・・

話が終わる頃 ドアを開けて入って来るのではないかと・・・

入ってきて私を指差しながら子供に向かって

「こいつの話 聞かんでええでぇ」

更に私に向かって

「どの口が言うとんねん この口か? この口か?」

などと、なぜか関西弁で言われたらどうしようかと・・・・




   
お集まりのお父さん、お母さんたち

   理解できない事を批判するのはやめましょう

   みなさんの息子や娘はみなさんの範疇には納まりきらないのですよ

   みなさんのやり方は急速に老いているのですから

   もし手助けが出来ないと云うのなら

   新しいやり方に手出しをするのはよしましょう

   時代は変遷していくのですから



ボブ・ディランが歌う 
時代は変わる という曲の4番の訳詞です。

「Don’t trust over 30  〜 30歳以上を信じるな」

そう語った20代のボブ・ディランも今では60代後半。

時代は変遷しています。


私はと言えば、この曲に出会ってからずっと子どもの立場でこの詞を捉えていました。

そろそろ親の立場で捉えなければならない時期かもしれません。

時代は変遷しています。


                           2008年12月10日





      
                   夏毛 → 冬毛





#141  要不要 〜 on the air


香を聞くことが出来るのであれば

音を嗅ぐことは出来るのでしょうか・・・


中国茶で青茶を楽しむ時に 「聞香杯」 という杯を使います。

聞香杯に注がれたお茶を茶杯に移し、空になった杯を鼻にあて香の移ろいを楽しみます。

ものによっては熱を失う過程で蜜のような甘い香が現れ驚かされます。




        




以前、中国出張の折、ものすごく安いジャスミンティーを求めたことがありました。

日本に戻り、どんなものかと早速試してみると、

ものすごく安いからか、ものすごく不自然な香がしました。

ものすごく安いからといってうかつに手を出すものではないと分かったわけですが、

いっそのこと人工的なジャスミンの香がなければまだ良かったのにと思ったものでした。


さて、鼻や舌と同じように、耳もまたかなりのわがままさんであります。

せっかくいい雰囲気なのに聞きたくないBGMなどがかかっていると

「いっそのことない方がいいのに・・・」 と思うことがあります。


当社ギャラリーがオープンした4年前、

ギャラリーに何か音楽を流したいと考え、

古い小さなアンプとスピーカーを持ち込み色々なCDを流して実験してみました。

試していく中で気付いたのは、

ギャラリーは響きが多いので編成の大きなものよりソロが似合うこと、

そしてあまりにもハマリすぎるジャンルはかえって飽きが来てしまうということでした。


試行錯誤の結果たどり着いたのは、その頃に発売されたジョージ・ウィンストンの一枚のアルバム。

「Montana − A Love Story」


以来、ギャラリーでは来る日も来る日もウィンストン氏のピアノが鳴り響いております。

氏の他のアルバムも試しましたがダメでした。

モンタナに勝るアルバムは未だ見つかっていません。

(あくまでも私の感じ方です。ひとりよがりかもしれません。)


表情が豊かなのに、けして押し付けがましいところがなく、

かといって存在が薄いわけでもない。

今まで何度耳にしているか分かりませんが全く飽きません。


薄暗い深夜のギャラリーでお姿の撮影をする時、

香を薫じ、しばらく経った部屋にかおる残り香のようなやさしいピアノの響きは

呼吸とともに身体に自然に溶け込み、内と外の境をも曖昧にさせます。

不思議なアルバムだと思います。

                          2008年12月8日



          








#140  自由であろうとする心 〜 feel free  think free


長男がまだ2歳の頃の話です。

休みの日に公園へ家族で出かけた時のこと。

落ちている石や木の枝などを拾って遊んでいた長男が少し離れたところに白い犬を発見しました。

彼はためらいなくその自分よりはるかに大きな犬に近寄り、我々が制止する間もなく

「わんわん」と言いながら、その犬の尻尾を思いっきり引っぱりました。

犬は突然のことに面食らい「きゃん」とも言わず逃げていってしまいました。


そしてこれは長女が3歳くらいの時の話。

ベッドの上で遊んでいた長女が居間にやってきて、のんびりした口調で

「なんか虫いる」 と言ってきました。

「ん! 虫?どれどれ」 とアリでもいるのかな?とベッドの方へ行ってみるとナント!

20センチ以上あるムカデがシーツの上をシャカシャカと這っているではありませんか!

それから家中大騒ぎ!

今でもその時の情景を思い出すと背筋がザワザワしてしまいます。


知らないという事はいろんな意味ですごい事だと感じた次第です。


蜂は周囲に、「私はいざとなったら毒の針で刺す危険な存在ですよ」 という事を

黄色と黒のシマ模様という極めて目立つデザインでアピールしているらしいのですが、

そのデザインをちゃっかり拝借して自分の身を守っている

毒針など持たない全く別の虫がいるのだとか・・。

自然の成り立ちは本当に神秘的だと感心してしまいます。


一度蜂に刺されたり、犬に噛まれたりすればその経験は「痛み」として記憶に残り、

その記憶がその後に身を守るための大切な情報として活かされていくのだと思います。

生き物が生きていくための基本的な知恵なのでしょう。

それは当然命を守るために不可欠な事なので

大切にしなければならない事である事は言うまでもありません。


さて、自由に発想するという事において、柔軟に頭を働かせるのはなかなか難しいものです。

過去に見てきたもの、聞いてきた事など自分の経験に影響されるのは

避けられない事なのかもしれません。

経験が豊富であればあるほど引き出しが増えるのでその分だけ幅の広い発想が

出来るようになるのでしょうが、その分だけ自由さが失われるという面もあるのかもしれません。

その道のプロの 「いやー その発想はプロじゃ出来ないね 素人だからこそだわ」

というような発言を耳にしたことがあります。

そんな素人の発想が案外いろんな分野で大きな進歩のキッカケになっているのかもしれません。



以前、あるイギリスの硬派なロックグループのギターリストのインタビューを読んだことがあります。


「レコーディングが終わってタクシーに乗ると

ラジオで流れていた曲に耳が釘付けになったんだ。 

曲調も斬新だし、コーラスのつけ方や録音技術もすばらしい。

いったいどんなグループの曲なんだろう?

すごいグループが現れたもんだってずーっと気になっていたんだけど、

しばらくしてそれがアバの曲だってことが分かってビックリしたんだ。

だってアバなんて子供が聴く音楽だってバカにしていたからね。

それ以来、自分がいかに色んな事に偏見を持って接してきたかを反省するようになったんだ。」



経験から身についた「信念」はとてもパワフルなものだと思います。

持たなければならないものだろうと思います。

でも時としてその「信念」が、変化していく事をじゃましてしまう事もあるのかもしれません。

更に、信念を持たない という信念というのもあるかもしれません。


固定観念や勝手に自分が作り上げた偏見と喧嘩するのではなく

うまく付き合っていければいいなーと感じるこの頃です。

                       2008年11月14日



          
               外に対しての強い憧れを抱きつつも、
               予防注射の記憶が頭をよぎり、いまひとつ
               大胆になれない飼い猫 『J』




           ABBA-Take A Chance On Me






#139  夜空からのごあいさつ 〜 A−O.K.


ギャラリーの戸締りをするために外に出て ふと空に目をやると。


「ハーイ 元気?」


秋の夜空で巨大な黒猫がウインクをしてくれました。

私もお返しに


「ハーイ!」



澄んだ空気が心地よい季節になりました。

遠くの山はもう白い綿帽子をかぶっています。

                      2008年11月6日





     





                 ♪Vincent - Don McLean






#138  小僧さん 〜 trick or treat?


 「お菓子くれなきゃひっかけますよッ!」


秋の蔵王をバックに気持ちよさそうに・・・・・・



帽子のかぶり方が めんこい です。


                2008年10月31日


        







#137  爽 〜 friendship


「好き」 を辞書で調べると

 〜気に入って心がそれに向かうこと。 その気持ち。〜

                                  とあります。


「自分は剣道がすきなのか?」

と自問してみますと

「・・・・・・・・・・・」

ハイもちろんです! と即答できない自分がいます。



  「小学生の時に始めた剣道を通してたくさんの事を学ばせてもらった。

          そして多くの仲間と出会うことも出来た。 でも、好きかと問われると・・・・」


  『それではお前は自分が好きでもない事を子供にすすめているのか?』


  「いや、ほら 自分が学んだイイことを子供にも学んで欲しいというか・・・」


  『自分が好きじゃないのに?』


  「いや、なんていうか キライっては言ってないわけで・・・」


  『でも好きじゃないんでしょ?』


  「冬の寒い朝に 心が自然に剣道の稽古に向かうか?って訊かれたら 

   向かわないなー 正直 自分は・・・  あっ あと真夏!」




さて、今年の夏は自分にとって初めての事をいくつか体験できた実り多い夏でした。

その中の一つ 全日本少年武道練成大会(剣道) への出場。

次男が所属する剣士会のBチームの監督として

私も初めて日本武道館で面をかぶらせて頂きました。

というのもこの大会、一般の試合とは違い、

前半は監督が元に立ち5人の選手たちと次々に基本稽古をする判定試合。

その後 選手がお互いに試合をし、その総合得点で勝敗を決すという形式なのです。

ですから監督の責任も重大なわけでして・・・・・


武道の聖地 日本武道館 の床の感触を確かめつつ、

そこで子供たちと剣を交える事の喜びを堪能しました。


と、申し上げたいところですが、久々の自分が出る試合という事で私も緊張気味。

(ビートルズのステージはどの辺だったんだろう?という疑問は口に出さずに胸にしまいました。)

噛み締める間もなく試合は終わりました。

勝つことは出来ませんでした。

でも、 最後まで剣道をしている者として振舞いましょう という事で

静かに整列し正座、大将の号令で面をとり、黙想しました。

そしてその後、思いがけぬ嬉しい事が・・・



「やめっ」の号令で目を開けるとそこに

今試合させていただいたチームの監督さんがおられるではありませんか。

即座に私の前に正座をされ

「いい試合をさせていただき有り難うございました。」

と座礼をして下さったのでした。

私は不覚にも一瞬戸惑ってしまったのですが、

次の瞬間 武道が持つあまりの気持ちの良さと、清清しさに胸が一杯になりました。


選手も監督も親もみんな同じ気持ちで全国からここにやって来ている。

そして、剣道という言葉を使って初めて出合った者同士がお互いに心を通わせている。

なんと爽やかな事だろう。


私は素直に感動しました。

そして、しどろもどろになりながらも

「こつらこそ有り難うございますた。次の試合もご健闘をお祈りすます。」

と乾いた口でようやくお伝えして礼をお返しさせて頂きました。

5人の子どもたちに目をやると精一杯頑張った充足感と、緊張から開放された安堵感から

とてもいい顔になっていました。たぶん私も同じようにいい顔になっていたはずです。


今、あの相手チームの監督さんと交わした礼と笑顔、そして試合が終わった後の選手たちの顔

それらを思い出すと・・・・

『剣道好き?』

「はい 好きです。」

と、答えてしまう自分が少しいます。



「それにしてもあの後 中華街で飲んだビールは美味かったなー!」

それに異論を唱える自分は100%おりません。

                              2008年10月16日





                







#136  手紙 〜 Sincerely yours


私にとって久々のへヴィー・ローテーション。


   
アンジェラ・アキ - 手紙 〜拝啓 十五の君へ〜


   ♪1万4000人「手紙」大合唱


   
合唱  手紙 〜拝啓 十五の君へ〜  「全国学校音楽コンクール・中学校の部」より


    未来の自分に悩みを打ち明ける自分


    過去の自分を励まし勇気付ける自分




       何度聴いても涙が溢れます。

                       これはトシのせいでしょうか・・・

                                  2008年10月9日




           







#135  言葉 〜 power


今日は我が家のお稲荷様のお祭りでした。

宮司様よりお越し頂き祝詞を唱えて頂きました。

天気も好く、キンモクセイの香る中、大変にすがすがしいお祭りでした。


宮司様が唱えられた祝詞の中、ある言葉が耳に残りました。


「ヱラヱラ」 


祭祀の後、宮司様に伺うと 「笑笑」 と書いて 「ヱラヱラ」 である事を教えて頂きました。


「伊勢地方では一年中 しめ飾り をかかげる家庭が多いのですが、

そのしめ飾りには笑門という文字が入っているんです。 笑う門には福来る。

幸せな時、楽しい時には皆、自然と笑顔になるものです。

反対に苦しい時やつらい時は笑顔を忘れてしまうもの。ですからそんな時こそ笑顔を

思い出して生活していく事が大切なのではないでしょうか。」 との事。


そんな宮司様のお話をうけて

「そういえば、うちの小学生の孫も、水泳や運動会、剣道、陸上の大会で忙しく

しばらく笑顔を見ていませんでしたが、最近ようやくひと段落したようで

昨日は部屋から口笛が聞こえてきました。やっと笑顔が戻ってきたようです。」

と、父。

「そうですか、長い間 頑張って緊張が続いていたのでしょうね、それが終わって

普通の状態に戻った。広い意味ではそれも直会(なおらい)なのですね。」

と、宮司様。


お祭りが終わってからの酒席の事を直会とばかり思っておりましたが、

辞書で調べますと、

    斎(いみ)が直って平常にかえる意。

    神事が終わった後、神酒、神饌をおろしていただく酒宴。また、そのおろした神酒、神饌。

と、あります。


私は 「なるほどー」 と思い、会話の妙と、言葉の奥行に感心することしきり。


「ヱラヱラ」 と 「直会」 

言葉が持っている 「ちから」 を感じることが出来た今日の佳き日でした。

                                 2008年10月9日




               








#134  二枚の写真 〜 time goes by



         



男性が男児を抱っこした同じような構図の二枚の写真。


一枚目の写真に写った二人の視線の先には

晴れの日を迎えた新郎新婦の姿があるのかもしれません。

一方、二枚目の写真の二人の目が捉えているのは華やかな鼓笛隊のパレード。


一枚目の写真を撮影したのは私の父。

親戚の結婚式の時のものです。

男性に抱かれて陰険な視線を送っているのは小さい頃の私です。


二枚目の写真を撮影したのは私。

抱かれているのは私の長男です。


そして、二枚の写真に写っている男性はどちらも私の祖父です。


何年か前、部屋の片づけをしている時に偶然、二枚の写真が似通っていることに気付きました。




私の長男がまだ1歳半くらいの頃、祖父はよく長男を散歩に連れて行ってくれました。


ある晴れた日、いつものように祖父は長男を連れて散歩に出かけました。

普段なら午前中に出かければお昼には帰ってくるのに、一向に帰ってくる気配がありません。

1時になり、2時が過ぎ、とうとう3時。

「どうしちゃったんだろう?」

家族全員が気が気ではなくなり、とても心配しました。

「まったく じいちゃん ちっちゃい子どもば連れで どさいたんだべね」 (訳 どこにいったんだろうね)

祖母は心配のあまり怒り出す始末。


そんなところへ上機嫌の二人が元気よく帰ってきました。

「大じいちゃんと一緒に遊園地さ行ぐが? って聞いたら 行く って言うがら行ってきた」

途中で予定を変更してバスに乗り郊外の遊園地まで足をのばし、お昼ごはんを食べ、

乗り物に乗って一緒に遊び、又バスに乗って帰ってきたとの事。


家族皆、無事帰ってきたことにホッとする事しきり。

じいちゃんは ばあちゃんから大目玉をもらいつつも

「おもしゃいっけね まだ 大じいちゃんと行ぐべね」 (訳 おもしろかったね 又大じいちゃんと行こうね)

と、曾孫に目くばせ。


この話は今でも事あるごとに長男に聞かせてあげています。

大じいちゃんが どんなに 曾孫たちの事を めんごく(かわいく)思っていたのかを伝えるために。

そして、私も小さい頃、事あるごとに叔母などから聞かされたもののでした。

「じいちゃんはあんたの事めんこくて(かわいくて)しょうがないんだよ」 と。


何よりも家族を大事にした祖父でした。

明日は命日。

自宅で逝ったじいちゃん。

亡くなったその日、最後の力を振り絞って咲いていた庭の朝顔の姿が思い出されます。

早いもので9年の歳月が流れました。


「晃行は16歳 私は45歳になりました。 みんな元気でやってます。」

                                   2008年9月29日




              







#133  ゆく夏の夜の夢 〜 mirage




      


暗い小道の角を曲がると山の方にライトアップされた山門が現れました。


ワクワクしながら歩みを進め山門をくぐると

本堂の前にはかがり火が焚かれ、

雨上がりの松の緑が万灯に照らされ華やかな雰囲気が伝わってきました。




         




本堂の中は満員状態。

全ての戸は外され、

御本尊と同じ入り口の方を向いて座っている我々の目には、

屏風のような形に切り取られた本堂前の風景が広がっています。


       



そのリアルな屏風絵の前で繰り広げられた夢のような一席。


山辺 安国寺さんで昨晩開催された

【Taiken堂 Part19】

うなるカリスマ 浪曲師 国本武春 Live in 安国寺

に行ってきました。


来て良かったと心から思えました。


国本さんの芸により、本堂全体が一体となって

笑ったり、泣いたり、歌ったり・・・


忠臣蔵の一場面が確かに目の前に出現しました。



ライブはいい!

芸ってスゴイ!!

ビバ山辺!

ブラボー山辺!

国本武春にっぽん一!!!

                           2008年8月23日



       




国本武春公式HP
http://takeharudo.music.coocan.jp/index.htm




     音楽は世界だ♪ 1995年06月




#132  ゼロになる心 〜 Back to the basic


なぜその言葉を選んだのか?

あまり深く考えずに、なんとなく選んだ事しか思い出せません。


この春、東京国立博物館で開催された薬師寺展で

和紙に摺られた菩薩様のお姿を求めさせていただきました。

ただ額に入れたのではおもしろくないと思い、楽書の陽子先生から

何か書いていただき、一緒に額装したいと考えました。


「さて、どんな言葉が良いのだろう?」 と禅語の本をパラパラとながめていると

「本来無一物」

という言葉が目にとまりました。


そこには


     本来無一物  つまりもともと何も無いのだと知ることです。

     あなたの心はあなたが自分で作った何ものかに捕らわれていませんか。

     あなた自身が作った雲の数々に青空を奪われてしまいませんように。


                                         と、ありました。



なぜその言葉を選んだのか?

それは自分に今必要な言葉だと無意識の自分が感じ取ったからなのかもしれません。


清廉さ漂う書と一緒に落ち着いた色調の額にはいられた菩薩様は

前よりも少しニッコリされておられるような気がします。


ギャラリーの入り口に掛けさせて頂きました  感謝。

                           2008年8月18日




            





                spirited away





#131  ニャンコロジー 〜 National Nekographic


      〜夏休み特別企画〜

      図解 にゃん獣 
じんべえのすべて!



       《いま明かされる知られざる飼い猫の生態》

        


              じんべえ



  体長:0.5メートル

  体重:0.007トン

  得意技: じんべえフラッシュ   猫砂地獄   あま噛みスペシャル

  天敵:小学生 おじさん ブラシ シャワー

  好物:海産物

  性格:さびしがりや



          

         バカなのか?というと、そうでもないような気もする。







        
         たまに哲学的な事を考えているような目つきをするが
         多くの場合大した意味をもたない。







             
             新しいモノに出くわした時にとりあえず嗅いでみて
             食べられるものかどうかを判断する。
             人間の足を自ら嗅いで露骨に嫌な顔をすることも。







             
              小さな物音にも敏感に反応する。
              感情表現にも使われる。
              この写真は飼い主にちょっかいを出され
              あからさまな拒絶を表現しているところ。







             
             先端が白く靴下を履いているように見えるのが特徴。
             借りても役に立たない場合が多い。







              
              お客さんが来るとまっすぐ立てて存在をアピールする。
              寝ている時に名前を呼ばれるとシュタッと一振りして
              横着なリアクションをする。







              
              自分の毛を胃袋に貯めて定期的に吐き出す。
              わざわざカーペットの上を選んでするのは
              何らかの意思表示なのか?







              じんべえフラッシュ
               
         通り道に腹を見せて寝転がるという挑発的な技







                  猫砂地獄
          
         肉球と長い毛の間に猫砂を仕込んで歩き回る事により、
             周囲にそれを撒き散らす。知らないで踏んづけた者は
             激痛にのた打ち回るという恐ろしい攻撃。









               あま噛みスペシャル
              
                   鋭い牙を持つが温厚な性格ゆえ
                   強く噛む事はなく、あくまでもあま噛みで
                   自己主張する。


        

                   2008年8月11日





               
            





#130  メロンの気持 〜 funny!


生花店を営む友人宅におじゃますると、

お店のテーブルに置かれたスイカがニッコリ微笑みかけてきました。


      


「どうしたの これ?」 と友人に訊くと、

「あっこれ? 娘と母親の作品。」


小学2年生の娘さんが、自分で食べた小玉スイカの皮で、

お母さんと一緒に作ったとの事。

初め 「なんかシックリこない」 と感じ、

「鼻がないからだ!」 と、翌日に鼻をつけたのだそうです。


私はその作品と、その作品を作っている時の母娘の姿を想像して

楽しい気分にさせられました。

捨ててしまえばタダの生ゴミ。

でも、食べて楽しみ 作って楽しみ かぶって楽しみ・・・・

お金をかけなくとも楽しさはどんなところにも隠れている。

「こんど自分も作ってみようかなー」


小学生の夏の楽しいひとコマに触れさせてもらいました。

                          2008年7月24日



            

                   作者近影








#129  涼 〜 That's a Deal


京都の町は祇園祭を間近に控え、華やかな雰囲気に包まれていました。



           




お客様とのお約束の時間まであと2時間ほど・・・

「せっかく京都に来たのだから」

と、町中を散策してみることにしました。



                



大きな通りから路地に入ると途端に広がる異空間。

あてもなく ただひたすら うろうろと ほんとうに うろうろと・・・・・


東本願寺さんにお参りし、



         



むわんとする暑さに めげそうになりながらも ふたたび路地へ



             



水ようかんの誘惑に後ろ髪を引かれ



       




民家の張り紙に夏を確認し



                




軒先に凛と咲くヒマワリに励まされ



                      




「さて そろそろ お昼にしましようか 喉も渇いたし」 

などと ぼんやりアタマで歩いていると・・・・・・



         




目に入ってきた光景に心がすーっと涼しくなりました。


町家の軒に麻の暖簾

水が打たれた玄関にはアサガオ

上に目をやると厄除けのちまき



                 



写真を撮らせていただきながら、少しはっきりしてきたアタマが

そこは骨董屋さんである事を認識しました。


「骨董屋さんかぁ〜」

普段は気後れしてそんな風にちょっとためらうところですが

なぜか気付いた時には中におじゃましていました。


おじゃまして良かったとすぐ感じました。

骨董屋さんにありがちな(偏見です)

「ひやかし御免」

という感じが皆無。

ご主人も並べられた古いものも自然体。

「良かったらどうですか?」

と、京都ことばですすめていただいたのが



      



そんな風に一見の私にお茶を出して下さったこと、

そしてその涼しげな様子に心から感動。

「スミマセン写真に撮らせていただいてイイですか?」

と、撮影。


伺うと 30年以上勤められた会社を退職されて

かねてからお好きだった骨董のお店を始められたとの事。


いろいろ見せていただき 「いいなー」 と思える鉄製の茶托がありました。

でも私にとっては衝動買いするお値段ではなかったのであきらめました。

代わりにというわけではないのですが古い和紙を求めさせて頂きました。

恩義を感じての行動と思われたのでしょうか

「あっ いいんですよ」 とご主人。

心からの言葉でした。

「いや本当に欲しいんです。」 と私。


気持ちの良い買い物でした。

「求めた和紙にそんな気分を載せて額に入れればいい思い出になる。」

そんな事を考えながら店を出ると

そこはやっぱり蒸し暑い京都の夏でした。

                      2008年7月14日




              




 

             壬生の町家ギャラリー「幾一里」






#128  気のせい 〜 put it or not


英語で大気(圏)を表わす 【atmosphere】 アトモスフィア は

他に雰囲気という意味でも使われるようです。

 atmo-【空気の】 + -sphere【球、圏】


前者は天体がまとっている気体。

後者は場が発している何か。


場が何かと出会う事で、その場が発する何かが変わる。

又は、その場から何かが消える事でその場が発していた何かも消える。

それは人であったり、物であったり・・・・


先日このコーナーでもお知らせした 楽書展 におじゃましました。

先ず驚いたのは皆さんの作品のクオリティーの高さ。

そして、昨年にもまして展示に色々な工夫が凝らされていた事。

ご自分の作品を表装したり額装して掲げるだけではなく、

そこに何か別の要素が加えられていることで

空気がそこだけ違って見えるのはおもしろい発見でした。


そんな皆さんの素晴らしい作品を目にしながら、

ある事に思いが巡りました。

それは書道や華道、絵画や彫刻などの作品制作の時、

又は部屋をしつらう時、はたまた人付き合いなどにも当てはまるのではと思うのですが、

0を加えるという考え方。

1に0を加えても1に変わりはないのですが、

何かを加えようか? 何かを差し引こうか? と試行錯誤の末に何もしなかった場合と、

何も考えずに何もしなかった場合とでは何かが違うのではないかと・・・


ん〜 何が違うのでしょう?

何も違わないのかも知れません。

気のせいなのかも知れません。

でも、その 気のせい が実は大事な部分だったりするのかも知れません。

                          2008年6月18日






      
      「桜は満月に向かって咲く」
        樺の色紙額との取り合わせが粋です。






       
         古いスツールの上に置かれた額には
         「儚」の文字と童謡「シャボン玉」の歌詞。
         その傍らには古いカンテラ。
         額は古いガラス戸との事。
         ガラスの向こう側には幼い頃の情景が・・・
     





    
    次男の作品(版木)にモデルをあしらってみました。
      「楽書展」とは無関係です。








#127  道具 〜 The Way


先日、東北芸術工科大学で行われた榮久庵憲司氏による 

「ものと心 〜 デザインの今日」 と題された講演会に行って来ました。


その中で特に印象に残ったのは 「道具」 に関してのお話でした。


「道具」という言葉は中国語にはなく、日本で造られた言葉であるとの事。

(中国語では工具とか漁具など具体的な使われ方によって細分化された呼び方をするようです。)

それでは日本で作られた「道具」という言葉はどんな意味を持っているのでしょう。


榮久庵さんは以前、ある方に「道具」の定義について尋ねました。

その方の答えは 「道具とは人間の役に立つもの」 というものだったそうです。

したがって、ハサミやトンカチなどのモノだけではなく、ダムや道なども道具であるという事。

榮久庵さんは、はじめその答えに釈然としないものを感じたのだそうです。

しかし、時が経つにつれ合点がいくようになられたとの事。

そして、道具についてこのように語られました。


「道具」という言葉は 「道」 と 「具」 という文字から成っている。

つまり 「道が具わったものが道具である」。

それでは 「道」 とは何か?

「道」 とは 「生き方」 の事。

モノは道を得てはじめて道具となる。


道具と認識されているものでも、ひとたび「道」を失えば道具ではなくなるという事でしょう。

人間の道から外れ、人間の役に立たない使われ方をするものは道具ではないという事でしょう。

逆にそこに「道」を感ずる事が出来ればそれは立派な道具であるという事でしょう。


今まで考えもなく使っていた 「道具」 という言葉に

かつての日本人の、ものに対する尊敬と畏敬の念を感ぜずにおれません。

                                     2008年6月10日



            

                       講演のポスターと芸工大からの眺め





   追記:辞書で「道具」を調べると、最初に記されているのが・・・・・・・仏道修行の用具。

      語源をたどれば、本来 道具の「道」は仏道の「道」であり、「道具」は仏教用語であるとの事です。

      又、そのような意味合いで中国から伝わった言葉であるとの一説もあります。

      しかし、現在の中国では日本語のような使われ方ではなく、
    
      演劇などの舞台装置を指して「道具」と呼ぶ使われ方が一般的のようです。


      本来 仏道が具わっているものが道具であるとすれば、

      仏道修行における仏具を単なるモノとして捉えるのではなく

      「ほとけ」であるという捉え方で敬われておられる事に思いが至ります。

  
      ある有名な大工の棟梁の話を思い出しました。

      お弟子さんが間違って本来打つべき場所でないところに釘を打ってしまった。

      隠れる場所なので別に問題ないだろうと、その釘を抜いて新しい釘を打った。

      その様子を見ていた棟梁が一言

      「ばかやろう! 柱に謝れ! 釘に謝れ!」

      そのお弟子さん、本当に 「柱さんすみませんでした」 と謝っていたとの事。







お知らせ 〜 
Bulletin board


このコーナーで度々ご紹介させていただいている陽子先生主宰の 楽書〜らくしょ。

その楽書講座を受講されている皆さんの作品展のお知らせです。


書道展 というと、読めない字があったりして難解な感じがしますが、

楽書は、皆さんがお好きな言葉や歌詞の一節などを

自由な表現で作品にされているので

文字通り、「楽な気分」 で楽しむことが出来ます。


「どこに どんなふうに飾ろう?」

そんな目で作品を楽しめば挑戦してみたくなるかもしれません!



         楽書展

     2008年6月14日(土)〜16日(月) 

   10:00〜17:00 (最終日は15:00まで)

     山形国際ホテル 4F メセナホール

           入場無料

    
楽書ホームページ  心やすらぐ書の空間




            


                             2008年6月6日




#126  すび 〜 word


「ひろちゃん よぐ こいな わがるなぁ〜 わたし見るすび持てねくて・・・」


これは私の祖母(現在92歳)の言葉です。

ひろちゃん とは私の事。

以下、直訳しますと。

「よく こういうの わかるねぇ〜 わたしは見る術を持っていなくて・・・・」


小さな頃、テレビを見ていると祖母からよくそんな風に声をかけられたものでした。


自分(祖母)の理解の範疇を超えたものに接している幼い孫に

「なに こんな下らないものばっかり見て・・・」

といった否定的な言葉ではなく、

「自分はそれを味わう
を持たないけれど、それを持っているあなたはスゴイね」

という励ましのニアンスを含んだ言葉を投げかけてくれた祖母。

好みに合わないものに対して早急に「ダメ」の烙印を押すのではなく、

「もしかすると好きになる可能性を秘めているのかもしれない。」

そんな 『ハンドルのあそび』 のような心のあり方を教えてくれた事に感謝しています。


好きなものが多いほうが楽しい。

嫌な事の中にも楽しさを見つける事が出来るかもしれない。

「すび」 が増えれば 「好物」 も増えていきます。

                       2008年5月30日




           
            花づくり名人の祖母の作品







#125  心 〜 value & worth


先日 出張の帰り、新幹線の発車まで時間があったので

上野の国立博物館へ向かいました。

現在開催中の薬師寺展には一度おじゃましているのですが、

せっかくの機会なので又、聖観音様や日光、月光両菩薩様にお目にかかりたい。

そんな気持ちでうかがったのでした。


ところが、

博物館の前はチケットを求めようとする人々で大変な混雑。

私は、あきらめて他の行き先を模索しました。

上野公園をウロウロしていると目に飛び込んできたのが

国立科学博物館で開催中のダーウイン展の看板。

混んでいる様子がなかったので「これもご縁か・・・」と覗いてみる事にしました。


ダーウイン展や常設展を見ながら自分自身の事で気付いた事がありました。

それは、今の自分が無意識に興味を感じる対象は、「ヒト」に関係するものである

という事でした。

小さい頃は恐竜や動物が大好きでした。

もちろん今でも嫌いではありません。 ですが、

今の私は動物の剥製や恐竜の骨格標本よりも

ヒトが手を加えた道具などにより魅力を感じてしまうのでした。


さて、一通り見終えてミュージーアム・ショップをのぞいたところ

一冊の本との出会いがありました。

日経サイエンス「人間性の進化」

博物館で展示を見たことによって私の中に生じたモヤモヤに

何か回答を与えてくれそうな気がしたので思い切って買い求め、

帰りの新幹線の中で目を通しました。


その中で気になった一節を抜粋します。


およそ20万年前、ユーラシアとアフリカで長年の伝統を持つ原人や

旧人たちが闊歩しているときに、アフリカのどこか、おそらくは海岸の近くで、

直接的な価値のないものに象徴的な価値を見出した人々、

ホモ・サピエンスが誕生した。

彼らは、素晴らしい装飾品を愛でる一方で、論理を鍛え、

言語を自由に操り、新しい狩猟採集の技術を発展させていった。

それは私たちと同じ 「心」 が育ちつつあることを意味していた。

やがて数万年前に、彼らが本格的にユーラシア、アメリカ、オセアニアに

広がったときには、その 「心」 はどのような環境にも適応できる最強の道具となった。


直接的な価値のないものに象徴的な価値を見出したモノたちの子孫が

それぞれの環境、それぞれの時代にあって、それぞれが感じる価値を表現した形が

今回訪れることのなかった国立博物館に並べてあるのだと。

つまりあそこにあるのは
「心」なのだと。

あらためてそんな事を、今回なんとなくおじゃました科学博物館で教えてもらうことができました。

                                     2008年5月21日




          
             
東京国立博物館に展示されている
                高村光雲翁「老猿」
                かじっても食べられません。怒られます。







#124  用の美 〜 duty


関東出張の合間に日本民藝館におじゃましました。

ここへ来る時はいつも思いつきの突然なので

何か特別なお目当てがあっての事ではありません。

度々足を運びたくなるのはたぶん

「建物が擁している雰囲気を感じたい」

そんな思いからかも知れません。


閑静な住宅街にある日本民藝館。

石畳を進み面取りガラスがはめ込まれた木製の戸を開けて中へ。

靴をぬぎスリッパに履き替え、石の床を数歩進んで木の階段に。

ギシギシときしむ音が静かな館内に響き、その音がなぜか安心を与えてくれます。

建物も展示品も古く見せかけたものは一つもなく

そこにあるのは時の流れによって歳を重ねたモノたちの今。


今回の特別展は琉球の織物でした。

格別興味のあるモノではありませんでした。

そこで、いくつかある展示室それぞれから、一点ずつもらえるという

特別待遇を勝手に想定して楽しみました。

自分が所有する事を想像すると途端に視点が変わるから不思議なものです。


中は撮影できませんでしたが、写真は石の門に掛けてある「木製の看板」と

入り口の引き戸の「金属製引手」です。


大声で主張しない。

坦々と役割を果たす。


そんな言葉が浮かんでくる魅力的な姿をしていました。

                           2008年5月3日





                 









#123  寧楽の都の愉快ななかまたち 〜 AONIYOSI


ラッキーな事に仕事で奈良を訪れる機会に恵まれました。

合間に奈良の町を散策。


春の日差しがぽかぽかと心地よい路地を歩いていると

上の方からこんな声が・・・



   



イキナリそんな事聞かれても・・・・と戸惑っていると

今度は下の方から



        



と、力強いお返事が。

「どうなさいました?右腕」とお伺いしていると

今度は向かい側の店先のウインドー越しにこんな声が・・



        



「そんなにはやってるんですか?」

と、お尋ねしたところその隣のお店から



        



と、ご親切な方が。



さらにビックリするような超ビッグネームも登場して。



        



「角の先がパトランプなんですね!」 なーんて感心しながら

コレは早速求めなければ・・・と探していると再び足元から声が・・・



        




そんなに大人気ならお土産にたくさん買っていかなきゃ、と思った矢先



       



あなたが言うなら間違いない!

                      2008年4月16日






       




#122  一起 〜 Together


長男の高校進学を記念して・・・というわけではないのですが

家族5人で中国へ出掛けました。

一番の目的は当社の工房を訪れる事。

そして、普段はニュースなどでしか目にする事がない外国の事を、

自分の目で捉え、何かを感じてもらえればとの思いで計画しました。


1年以上前の話になりますが、私は仕事中に手に怪我を負い

10日間ほど入院しました。その時の保険が下り、そのお金を

授かったものと考え、何か有効な使い方はないかと模索しておりました。

性急に使わなければならない理由はありませんでした。

でも、長男の高校受験がひと段落するこの春休みが絶好のチャンスと思い決行しました。


私以外皆、はじめての中国。

上海の飛行場に着いた時は夜の10時を回っていました。

中国の地に降り立ってから次男(小6)の最初の一言

「中華料理のにおいがする」


翌日の午前中に国内線でさっそく工房がある地へ。

工房の見学や周辺の寺院を参拝し2泊ほどして再び上海へ。

その後は帰国まで上海の街をひたすらうろつき、

くたくたになってあっという間の中国旅行が終わりました。


中国旅行、と言ってもほんの数日の事。

しかも上海と工房がある町を本当にちょっとのぞいただけ。

それでも彼らがこれから先、当社のギャラリーに展示してある

御仏像を目にした時、その視点が変わってくるのではないか・・・・・・

今後中国の色々なニュースをテレビなどで見た時、そのニュースに対しての

感じ方が変わってくるのではないか・・・・・

「そんな期待は親の独りよがり」 と思いつつも

「そうあって欲しい」 と願いながら、私は添乗員の役目を終えました。


疲れました。

疲れましたが家族でいい時間を共有できました。

手の怪我はもう何ともありません。

                           2008年4月10日





       
       出発前「中国で宿題を終わす!」と計画、
       鼻息を荒くするも全く出来ず、
       帰りの飛行機の中、自分にしか分からない字で
       算数の宿題をやっつける次男。
       「ギリ セーフだった!」 との事。






#121  (額)縁は異なもの味なもの 〜 one plus one


博物館や美術館を訪れ、一とおり見終えた後のお楽しみ・・・・・

ミュージーアム・ショップ!

企画展のオリジナルTシャツやクリアファイルに小物など

見ているだけで楽しいものです。


私はたいてい図録とポストカードを求めます。

求めたポストカードは、資料として必要な時以外

ファイルに入れたままになっています。 が、

「それではもったいないっ!」

と思い、以前 特注で額縁を作って頂きました。

特注と言っても既成の額に2枚のポストカードが仲良く並ぶように切ったマットを

合わせたものなので高級なものではありません。


「1枚だけではおもしろくない」 と、2枚が並ぶようにしていただいたのですが、

実はこの2枚の取り合わせがなかなかに難しく、

色合い、構図のバランス、2枚が並ぶ事で生まれる雰囲気など、

色々な組み合わせを楽しみながら試しています。

そんな最中 「ん〜 君たちお似合いだな〜 ヨッ!ナイス・カップル!!」

てな感じでお見合いが成立した時。仲人としては大変うれしいもので、

早速額に入れ 「さぁ〜さぁ あとは若い人同士で楽しくやって頂戴ネ!」

などとつぶやきながら壁にかけ、一人悦に入り自己満足するのでした。

                            2008年3月14日





           








#120  わかってもらえるさ 〜 encouragement


     こんな歌 歌いたいと思っていたのさ

      すてきなメロディー

      あの娘に聞いて欲しくて

      ただそれだけで歌う僕さ


      この歌の良さがいつかきっと君にも

      わかってもらえるさ

      いつかそんな日になる

      ぼくら何もまちがってない もうすぐなんだ


      気の合う友達ってたくさんいるのさ

      今は気付かないだけ

      街ですれちがっただけで

      わかるようになるよ


      いつか君にも会えるね

      うれしいしらせをもっていってあげたいんだ



これはRCサクセションの「わかってもらえるさ」という曲の歌詞です。

とても好きな曲です。

まだ今のようにRCが認知されていない頃の曲なので

「もうすぐわかってもらえるさ」

と、自分たちの事を自分たちで励ましている様に聞こえ、

その思いが聴く者にリアルに響いてきます。

同時に自分たちと同じ様に「わかってもらえていない」人たちへのエールの様にも。


たまにこの曲に会いたくなります。

会うといつも励ましてくれます。

とても好きな曲です。  感謝です。

                       2008年3月7日



        




          
わかってもらえるさ





#119  こぺこぺりろぺ 〜 carnival


そうた君という少年のところに届いた1通の手紙。

それは、ぺこぺこ村の住人が出した感謝祭への招待状。

そうた君はお祭りが大好き。

さっそく おにぎり山を越え、歌声畑を抜け、猫釣り大橋を渡って

ぺこぺこ村を目指します。

感謝祭の会場がある、ぱくぱく原っぱにようやくたどり着くと

そこに待っていたのは・・・・・・。


すばらしい絵本が完成しました。

山形県が食育プロジェクトの一環として発行した 「ぺこぺこぺろり」

作者は#061で紹介させていただいた多田和絵さん。


     



柔らかな色使いが目に優しく、魅力的なキャラクターたちに親しみが湧きます。

そして、ごちそうが並んだ大きなテーブルをそれらのキャラクターが囲む感謝祭のシーンは

「私もまぜて下さい!」

そう思わず声を掛けたくなるような楽しい雰囲気に満ちています。

44歳のおっさんがそう感じるのだから子供たちはなおさらでしょう。


     


どこにあるのか分からない「ぺこぺこ村」。

この絵本を読んだ子供たちの頭の中にはきっと、

「いつか行った村」として記憶されることでしょう。


「あぁ〜 おいしかった〜 ごちそう様でした。」

                          2008年3月6日




     








#118  春よ、来い 〜 A vernal breeze


三月に入って寒さが和らぎました。

良いことです。

確実に季節はめぐっています。


さて、今日は三月三日。

この日々コレを始めたばかりの頃、#008で「お雛様」の事を記してから

2年が経過しました。

コレクションも100を越え、以前のものを読み返してみると

それを記した時の色んな事が思い出されます。


久しぶりにお会いしたお雛様のお顔は相変わらず美しく、

春の訪れを一緒に喜んでくれているようでした。

                          2008年3月3日




           






               書は「楽書」の岡部陽子先生に書いて頂きました。



                ♪春よ、来い




#117  ニャンコロジー 〜 Enka


  しょせんニャンコのひとりごと

             作詞 作曲 唄 じんべえ



     くもりガラスに鼻つけて

     遊ぶ小鳥を目で追えば

     かなわぬ自由が恋しいぜ

     おいら海苔好き毛むくじゃら

     無理して食べた煮干の頭

     やっぱり苦くて吐き出した〜

     にゃ〜ん にゃ〜ん にゃ〜ぁあぁぁ〜ん

     しょせんニャンコの ひと〜り〜ごと〜



     窓に浮かんだ満月を

     見ればアイツを思い出す

     シッポの付け根の古傷が

     帰っておいでと疼くのさ

     舐める肉球わびしいぜ

     今夜はソファーで眠ろうか〜

     にゃ〜ん にゃ〜ん にゃ〜ぁあぁぁ〜ん

     しょせんニャンコの ひと〜り〜ごと〜


     にゃ〜ん にゃ〜ん にゃ〜ぁあぁぁ〜ん

     どおせニャンコの ひと〜り〜ごと〜


                 2008年3月1日


     





#116   〜 key of life


テレビの連続ドラマを見るのが不得手です。

面倒くさいというのと、毎週待たなければならないというまどろっこしさが理由です。

別に見たくなければ見なければ良いという事なのですが、

周りの人たちがそれについて熱心に話をしていたりするのを耳にすると

「そんなにおもしろいのだろうか?」と興味だけは湧きます。

ところが最近! 珍しく初回から見始めて毎回楽しみにしているドラマがあります。

「鹿男あをによし」


奈良が舞台となっているのが気になってチェックしたところ、すっかりハマってしまいました。

ストーリーはもちろんおもしろいのですが、

奈良の寺院や遺跡の風景、京都伏見稲荷でのシーンがあったりして

そういった面でも楽しめる作品だと思います。


さて、その伏見稲荷のシーンに登場したお稲荷さんの眷属である『お狐様』。

口に何かを咥えておられます。

一対の内 一方が玉(宝珠) もう一方が鍵です。

「玉」 と 「鍵」 といえば思い出されるのが

「た〜まや〜  か〜ぎや〜」 という花火の時の掛け声ですが、

その辺の関連性については株式会社宗家花火鍵屋さんのページに詳しくあります。

ところで、「鍵」というと思い浮かぶ形は現在よく使われている車やドアの鍵のそれですが、

お狐様が咥えておられる鍵は十手の先端が曲がったような形をしています。

そんな形をした鍵を2年ほど前、お蔵の2階で見つけました。

お蔵の扉に使っていた錠を開け閉めする鍵のようですが、

錠の方は残念ながら見つかりませんでした。

屋号が記された木の札や、使い古された雰囲気がいいので

それ以来ギャラリーの柱に掛けて飾ってあります。


「どんな形、大きさの錠だったのだろう?」

「どんな風に使っていたのだろう?」

「閉める時、開ける時の音はどんなだったんだろう?」

会ったことのない先祖の手垢の付いた持ち手を握ると

そんな興味と共に先祖への親しみが湧いてきます。

                           2008年2月27日





      








#115  2D→3D 〜 Smile for you, smile for me!


先日、熱が39度6分まで上がり、医者にかかりました。

幸いインフルエンザではなく、気管支の炎症による発熱だったようで、

2日間ほど安静にしていたら回復しました。

大人になってから39度以上の熱が出た記憶がないので、

ある意味なつかしい体験でありました。

特に熱でフラフラする感覚は、よく高熱を出していた子供の頃を思い出させました。


幼稚園や小学校低学年の頃は、よく40度以上の熱を出していました。

わきの下に挟んだ体温計をパジャマの襟元越しに覗くと

銀色の線がすごいスピードで先端に向かって動いていて、それを見ただけで

クラッとしたものでした。

夜、かなり遅い時間にかかりつけの小児科のお医者さんにおじゃました記憶もあります。

私はそこに行けば何が待っているのか体験を通して知っていました。

のど、眼、胸、背中の順に診察。

ベッドに仰向けになってお腹の触診。

そして・・・・・・・。

おしりに・・・・・・。

ちゅうしゃ!

当然ですが好きではありませんでした。

その頃に適切な治療をしていただいたので今があるのですし、

夜遅くにこちらの都合で診て頂いたわけですから

先生には心から感謝しています。

でも、はっきり言えば行きたくない場所でした。



さて、半年程前、長男が通う中学の保護者会で一人のお父さんから声をかけて頂きました。

「原田さんのお店って彫刻を扱っておられるんですよね?

可能であれば是非お願いしたい事があるんです・・・・・」

いただいた名刺にはかわいいパンダのマークが記されていました。

「このパンダのマークを木彫に出来ませんか?」

そのお父さんはこどもクリニックの院長先生(小児科医)で、

パンダのマークは開業した時に娘さんがデザインしたものを

クリニックのマスコットに採用したとの事でした。

私は「このカワイイ感じが出せるかなー」と不安でしたが

息子の学友のお父さんからのオファーという事で

喜んでお引き受けしました。


それから半年が過ぎ、先日完成したパンダの彫刻をクリニックにお届けしました。

バレーボール大のパンダ君を箱から出した瞬間、周りにいた看護士の皆さんの口から

「ワッ! カワイイ〜〜!」

という言葉を頂きました。

その思わず出た感想を耳にし、「ヨカッタ!」と思いました。

私はお届けするにあたり、もし看護士さんたちの口から

「カワイイ」という言葉をもらえれば成功。いくら院長先生が「キャ〜ワイィ〜」なんて

黄色い声で叫んでも看護士さんからその言葉がなければ失敗。

そう思っておりました。

集団における「カワイイ」と「カワイクナイ」の判断基準は多くの場合女性が握っています。

お父さんがいくら「かわいい」と思っても娘が「カワイクナイ」と言えばその家庭においてそれは

「カワイクナイモノ」なのです。

「お父さんにはお父さんなりのお父さんにしか分からないカワイイがあるんだッ!」

などと声高に叫んでみたところでむなしいばかりです。

でもとりあえず、院長先生からも「いやーかわいいですね〜」のお言葉を頂きましたので一安心でした。


病気で気分が優れない赤ちゃん、子供の頃の私のように「注射をされるのでは」と怯える子供さん、

学校をお休みしてふさいでいる小学生、わが子が病気になり不安でしょうがない親御さん。

そんな皆さんに、当社でお造りしたパンダ君が「心配しなくてイイよ」と微笑みかけ

少しでも皆さんの心が和やかなものとなれば、この仕事を引き受けさせていただいた者にとって

何よりの幸せです。

                                   2008年2月21日





          








#114  「男子」 〜 stupid, unbeaten and so cool!


本屋さんへ行くたび、手にとってパラパラとながめニンマリ。

価格を見て 「1900円・・・・ ン〜 また今度 ゴメン」

そっと元の場所へ戻し、「でもいつかは手元に置きたい。」

写真家 梅佳代 さんの写真集 「男子」
 の事です。

「男子はばかで無敵でかっこいい。」

という梅佳代さんの言葉通りの『ばかで無敵でかっこいい男子小学生』の写真が

ページをめくるたびこれでもかと登場します。

私のお気に入りは、上半身裸で公園のブランコに腰掛け、ポテチを食べてる男子の一枚!

彼の姿を思い出しただけで口角が上がってしまいます。


さて、先月の事。

小学5年生になる次男のスキー教室(蔵王)に同行しました。

次男の通う小学校は、学年ごとにスキー教室が行われ、

講師は専門のインストラクターではなく、保護者が受け持ちます。

私の受け持った子供さんは中級の腕前の男子5名。

蔵王に向かうバスの中、スキー場のリフト(4人乗り)、昼食の時、帰りのバス。

一日を通して ばかで無敵でかっこいい小学5年男子の実力を堪能させて頂きました。


4年生ほど子供じゃなく、かといって6年生ほどの分別もなく。

5年生の程よいばかさ加減にふれて

自分も少しだけばかで無敵でかっこいい少年になったような

そんな錯覚を楽しむことが出来た一日でした。

                            2008年2月6日






       





        ■うめかよ参上! click to go!  こちらでいくつかの「男子」の作品を見ることが出来ます。





#113  ニャンコロジー 〜 Dandy as usual


彼の名は 

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じんべえ

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人は彼を


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「ボス」とよぶ

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ボスはけっこう

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忙しかったりする

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それにけっこう

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シブかったりもする

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でもたまに

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シブすぎたりして

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笑われたりもする

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                                 2008年2月1日









#112  朋友 〜  strategy


「この道でやっていこう!」

そう決意した者は、先人に学び、経験を積み、失敗を重ね、

その失敗から又多くのものを学び、工夫を加え、

自分なりのあり方を確立していくのだと思います。


新年早々仕事でおじゃました上海の街でも

そんなプロたちがたくましく生き抜いていました。


上海豫園商場界隈に暗躍するストリート・セールスマン。

     〜店舗や資格を持たず、観光客などを相手にキャッチ・セールスをする人たち。

彼らが持っている独特の嗅覚にはいつも感心させられます。(#085ご参照下さい。)

私は一度も彼らの客になった事はないのですが、

瞬間的な接触はかなりの数を経験しています。

その経験から彼らに関しての考察を進めてみたいと思います。


1.取り扱い品目(スペシャリティー)

  A.圧倒的に多いのがブランドのコピー商品。(時計、バッグなど)

  B.次に骨董品(真贋不明)

  C.そして違法DVDソフト


2.接触方法

  A.前方から

  B.後方から


3.タイプ

  A.あっさり系

  B.粘着系


4.戦略

  A.フレンドリー型

  B.よいしょ型

  C.断定的OK型


※どんなにしつこい者でも無視をして歩き続け、ある地点まで来ると途端に
  あきらめる事から、彼らにはテリトリーがあると思われます。



以上の4項目のそれぞれのタイプを組み合わせる事で

私が接触した豫園商場におけるストリート・セールスマンたちの

分類わけをする事が可能です。

それでは実際の彼らの商業活動の一例をここに再現してみましょう。



1−A(ブランド品のコピー)  2−A(前方から)  3−A(あっさり系)  4−A(フレンドリー型)

前方から目を合わさずにすれ違いざま

「ロレクス ニセモノ トモダチ」

と言って瞬時に相手の脈の有無を察知する。


最初からニセモノである事を宣言する潔さに商魂のたくましさを感じる。

いつの間にか友達が増えている事に驚く。




1−B(骨董)  2−B(後方から)  3−B(粘着系)  4−B(よいしょ型)

背後より一定の距離をおき、相手の歩みに合わせ、歩きながら情報を伝達する。

「シャチョウ コットウヒン ミルダケ」

そんな調子のいい事をテリトリーの端まで連呼する。


骨董品は高価なものが多いからか、「社長!」の呼びかけが多いと思われる。

個人的にはハッピを着てハチマキを巻いて欲しい。

興味のある人は 「見るだけ」 というコピーに反応し、

立ち止まる場合も多いのではと推測される。




1−C(違法DVD)  2−A(前方から)  3−B(粘着系)  4−C(断定的OK型)

前方から相手の行く手をふさぎ

「シケベ ディー ヴィー ディー ヤシィー オーケー?」

逃れようとすると、それを阻止し

「アナタ シケベ オーケー?」

更に無視を続けると

「トモダチ シュキ オーケー?」

テリトリー内を突破するまでこの攻勢が続く。

語尾に「OK」を付ける事でラップのような軽快なテンポが生まれている。


街中で初対面の相手に

「スケベなDVDが安いんだ いいだろう?」

そして

「君はスケベなんだからこのDVDを買うに値する人間だ!そうだろう?」

しかも

「君はスケベなんだから君の友達だってスケベなはずだ、

だから君はこのDVDを買うべき人間なんだ!そうだろう?」

根拠はないが自信に溢れた三段論法。

たとえそれが図星だとしても

「断定されるのは本意ではない」 と感じるか

「なぜそれが分かったんだ」 と感動するかは

各人分かれるところであると思われる。




さて、私はそんな彼らが仕事場にしている豫園商場の雰囲気が結構好きだったりします。

                                      2008年1月11日





             
                世界中の人たちが集う豫園商場。 
                中にはこんな調子に乗った親子も。












新年あけましておめでとうございます!


昨年中は当社並びに当HPをご愛顧頂き、誠にありがとうございました。

本年も何卒宜しくお願い申し上げます。

皆様にとって良き一年であります事を心よりお祈り申し上げます。  合掌





      






                             平成二十年一月一日

                             仏像彫刻原田社員仏工一同







#111  旧友 〜  old friend


デパートの入り口付近の柱に身を隠し、駐輪場の様子をうかがう私の頭の中では

「太陽にほえろ〜尾行のテーマ」 が流れていました。


それは今から20年くらい前の話です。

数ヶ月前に盗まれてしまった自転車を偶然街角で発見しました。

私は、必ず犯人が自転車のところへ現れると確信し張り込みをしていたのでした。

すると、なんと張り込み開始から10分! 現れました犯人が! ドラマのように。

頭の中の曲が 「太陽にほえろ〜追跡のテーマ」 にチェンジされました。

私は胸の高鳴りを抑え、今正に私の自転車の鍵を開けようとしているその人物に近づき、

「いやーこんにちわ〜」 と明るく声をかけました。気分は刑事コロンボでした。

相手は60過ぎくらいの男性。

男性は、まさか私が自転車の持ち主だとは気付かず、

鍵を開けながら怪訝な表情をしていました。

「いや〜いいのに乗ってますね〜」

自分でも嫌な性格だと思いました。

でも私の自転車を、さも自分のもののように扱っている姿を見たとき

このくらいのイヤミは許されるのではないかと思いました。

益々怪訝そうな男性に私は伝えました。

「いや〜その自転車俺のなんだな〜 実は・・・・」

男性の顔つきが途端に弱々しいものに変化しました。 

「そいじゃ一緒に行きましょう警察へ、登録もしてあるし盗難の届出も出してますんで。」

男性はかなり慌てだし、「駅前に置いてあったので借りた」というような事を言い出しました。

私が「はい じゃあ警察でそれ言って下さい」と伝えると

今度は「スミマセンでしたお返ししますので・・・・・」と、非を認める作戦に出てきました。

「それじゃあ警察に行くのは手間がかかりますから、ここにおまわりさんから来てもらいましょう!」

私はかなり冷たい口調で伝えました。

「いやいやそれは・・・・・・」

往来の人々は「何やってんだこの人たち」といった目で通り過ぎていきます。

「分かりました、でもねこの自転車はね・・・・・・・」

私は盗まれた自転車が自分にとってどういう存在かを男性にトクトクと語り、そして別れました。

後で警察に盗難届けの解除に行くと、「そういう時はちゃんと言って貰わないと困る」と怒られました。





中学2年の頃、半年ほど新聞配達をしていました。

家計を助けるとかいう立派な志からではなく、

自分の小遣いが欲しいというのと、好奇心からの事でした。

一ヶ月1万円以上はいただけたと思います。

半年で7〜8万円になったのではないでしょうか。

私はそれで、憧れの ブリジストン「ロードマン」 というスポーツタイプの自転車を購入したのでした。

オレンジメタリックの輝くボディー 見ているだけでうっとりするようなカッコイイ奴でした。

しかし、高校入学が決まり自転車通学が現実になると、

私はそのカッコイイ自転車は向こう3年間通学に使うには

実用的ではないという判断を下したのでした。

そして、ロードマンを下取りに出し、お金を足して極めて実用的な自転車を購入しました。

実用自転車の中では最高級な感のある一台でした。

その名も ナショナル「パーフェクト」

ステンレスが多用された無骨なボディー。

大きな籠とがっしりした荷台、そして安定感抜群のスタンド。

どれをとっても高校生が乗る自転車ではありませんでしたが

私は大変に気に入っておりました。








あれから30年。

その自転車は今でも現役です。

彼は、私だけではなく家族と共に年を重ねてきました。

盗まれた時はショックでした。誘拐されたみたいな気がしました。

結婚し、子供が生まれ荷台には子供を乗せる椅子が取り付けられました。

その椅子はそのまま買い物用に使われていますが、

その椅子に小さい頃乗せられていた長男は現在中学3年生。

この自転車を買った自分の年齢に近づいています。

                                2007年12月30日



    
         









#110  ニャンコロジー 〜  brothers


「ハーイ! 司会のKABAちゃんでーす! 今回のニャンコロジーは

朝までナマリ節 〜 ドーなの ドーなの グルーミングって ドーなの? と題して

二匹のキャワッイ〜イ 猫ちゃんをお迎えしてお送りしちゃいまーす!

でもその前に一つだけお願いしたい事がありまーす!

この文を読まれる方は、頭の中で 裏返った声を想像しながら

読んでちょーだいネ〜!

それじゃあ 早速紹介しちゃイますヨ〜 

先ず、体重9キロ 気は優しくて力持ち ドラちゃ〜ん」


「キャー よろしくゥ〜!!」


「続いて、好物は新鮮な焼き海苔 じんべえちゃ〜ん!」


「キャッほー みんなお元気〜!!」



「さあ、これから2匹には最近のトリーミング事情について語ってもらうんですけど、

皆さんご存知でした? この2匹兄弟だってコト!」


  〜 会場どよめき 〜


      



「ねェ〜 どんだけーって感じよねェ〜  猫界の おすぎ と ピーコ って感じかしら?

・・・・・・・・えっ  何?  うちらは取ってるって あらそー  やるじゃない 

え? それも同じ日に あら 二個二個ね  ま いいわ。

そいで、ドーなのかしら最近のグルーミングの世界って。 はい 先ずはドラちゃん」


「そぉーねぇー やっぱり最近の話題って言えばアレよね ねっ! じんちゃん」


「アレ って お姉さま アレ の事?」


「そ アレ!  アレはないわよねぇ〜 アレは・・・」


「そー ホント あれは 許せないっ!」



「ちょいと ちょいと お姉さん方! 分からないわよ アレなんて言われても(怒)」


「あら ゴメンなさい そいじゃあ  じんちゃん 説明して差し上げて。」


「はいお姉さま。 

あのネ 最近 うちらの天敵みたいなグルーミング用品が発売されてるわけ。

うちらからしてみれば 何でこんな余計なもの造っちゃう訳〜って感じなの。

そいでね 又その商品の名前が もうホント ププッ! 

どんだけ〜 って感じなのヨ ねぇーお姉さま」


「プププッ ホント どんだけ〜 って感じ」


「え〜 何? 何て名前なの? 知りた〜い」


「あのネ ブラッシングする まぁ ブラシよね。 アレの強力なやつが

アメリカかなんかで発売されたわけなの。 それがモォー スゴくて、

一回ブラッシングしただけで 毛がゴッソリ・・・・・・でもそれすごく高いのよ 値段が・・・」


「そのアメリカのやつの名前が ファーミネーター って言うんだけど、

いいじゃない、それくらいの名前は。 毛皮のファー と ターミネーター を

かけたわけでしょ。 いいわよね それは  ネッ じんちゃん!」



「そっ! 問題は日本製の類似品! 値段は安いんだけど

たぶん機能的にはあんまり変わんないと思うの。 でもね 名前がね

・・・・ププッ・・・ナント・・・プッ・・・ ケートリーター !」


「ケートリーター?」


「そっ ケートリーター!」


「もぉ〜 笑っちゃうわよね〜 ケートリーター って そのまんまじゃない!」


「それが その安い方をうちの飼い主のだんなが買って来て

ヒッヒッヒッ とか言いながらイキナリ押さえつけられて・・・・・・」


「あの時 あなた ひとまわり小さくなって見えましたもの。」


「そ〜なの ちょーど 生え変わりの時期だったから も〜 大変!

ブラシにゴッソリ! なんか必要な毛まで ケートリーター されちゃった気分なわけ。」


「だいたい あたしたちは自分で身だしなみは整えてる自信があるわけじゃない

も〜 暇さえあれば身体舐めてきれいにしてるわけで、

ホント余計なお世話なわけ! パリパリパリ・・・・」



「ホント失礼しちゃう! って お姉さま 何で私の海苔を勝手に

お食べになっちゃったりしてらっしゃるのかしら」


「パリパリパリ・・・・・・・・」


「あの もしもし? いくらお姉さまでも それはないんじゃございません?」



     〜 バシッ 〜 (ネコパンチ)


「フゴーッ!」


「シャーッ !」



     〜 スバスバスバ 〜 (ネコキック)


      


「アオ〜ン!」


「ウーーーーーーー!」


「えー 司会のKABAちゃんです!

朝になってませんがこの辺で・・・・ アッ イタッ!・・・・

キィーッ 私の耳に触ったはねぇ〜 何すんのよッ ネコのくせして 許さないわよ〜・・・・・・・・」 



久しぶりにご対面の じんべえ と ドラ。

たぶんこんな話を・・・・・してないでしょうね。

                                2007年12月5日






          
         「お姉さま 雪が・・・」





         ファーミネーター click to go!

         ケートリーター click to go!





#109  ゆきでした 〜 Let it snow


朝起きて、窓越しに雪が降っているのを見つけ 「ヤッター!!」

と、心がときめかなくなったのは、いつの頃からだったのでしょう。


子供の頃は朝、布団の中で 「チェン チェン チェン・・・・・・・」 という

タイヤチェーンの音を耳にしただけでワクワクしたものでした。


その頃の雪遊びのいでたちといえば、

毛糸の帽子に、毛糸の手袋。

手袋は、失くさないように紐で連結されてたりしました。

セーターにアノラックを着込み、下はモモヒキにジーパン。

雪で濡れたジーパンの色が下に穿いているモモヒキに染みて

ケミカルモモヒキになる事もしばしば。

履物は長靴。

友達の間では、ズボンの裾を長靴に入れる派と入れない派に分かれました。

ちなみに私は「入れない派」 でした。

入れない事の利点は中に雪が入りにくい事ですが、

長靴に裾がかぶさっているぶんだけ雪との接触も多く、

雪遊びをして夕方うちに帰る頃には気温も下がり、

パンタロン(ベルボトムではありません!)の裾が凍って

エルビス・オン・ステージのようなイカシタ状態になったものでした。

帰宅してストーブにあたると徐々に解けていき、

自分のズボンから上がる湯気をながめたりしていました。

そこまでの場合、大人になった現在の私は

「穿き替える」という判断を下せるのですが、

「穿いたまま乾かす」という荒技に及ぶあたり、

相当バカな子供だったのだと、かつての自分をほほえましく感じます。


その頃の雪国で、小学生のいる家庭では

居間のストーブの前に敷かれた新聞紙に、濡れた長靴や手袋などが並べられ、

それらが湯気を上げている冬の風景がどこの家庭でも見られたのではないかと思います。


さて、先週末。

秋の山形から関東に出張に出掛けました。

5日ほどして戻った山形は冬に変身していました。

心の準備もタイヤの準備もまだ故に焦りました。


何とか子供の頃の様に 「ヤッター 雪だぁー」 

と、そんな気持ちになれないものかと・・・・・。


そして土曜日の今日。

朝から子供の剣道の稽古に参加しました。

足の裏でしっかりと冬を確認しました。

子供たちの手前 「全然へーキです。」 というポーズをとっても

冷たいものは冷たい!

寒いものは寒い!

「たぶんオジサンは君たちよりずうっと寒がり屋さん。」

と、心の中でつぶやきながら面をかぶり、いざ稽古!


稽古が終わり整列をして黙想。

「一同礼!」


心も身体もホカホカ。

外に出ると、冬の冷たい空気がすがすがしく感じられ、

「稽古して良かった」 と、心から思えました。

とはいえ、来週の稽古までそのすがすがしさが持続するわけでもなく、

かといって、雪だるまをこしらえたり、雪合戦に興ずる無邪気さも無く。

どうにか冬を楽しむ事はできないものか・・・・・・。

だんだんこの文章を記しながら 

「好きなもののコレクションではナイデハナイカ・・・・」

と・・・・・・・・・・・。

どう結べばよいのか迷ってしまうのですが・・・・・・・。




エ〜 雪の降る夜のシーンと静まり返った風情がとても好きです。




ン〜  でもやっぱり寒いものは寒いです!

                           2007年11月24日




          
              つい先日まで秋だった山形市




        ♪Let it snow

        ♪







#108  一路平安 〜 Sunlight Moonlight


「エー なんで梅干なんか持ってくの? 向こうにもあるんじゃない?」


「いや ホラ これおばあちゃんが漬けたやつだから!

一つどぉ? すっぱくって しょっぱくって 美味しいヨ!

ところで君こそ 奈良漬 そんなたくさん持ってくわけ?」


「いや 奈良漬は奈良でしょう! 東京には無いと思うよ。」


「それにしてもそんなにたくさん!! 酔っ払っちゃうんじゃない?」


「だって2ヶ月以上向こうにいるワケでしょ! やっぱりこんくらいないと不安

って君 何! マクラ 持ってくわけ?」


「あっ これ? これは その よく言うじゃない マクラ変わると寝れないって」


「へ〜 意外と繊細だったりするんだ〜」


「いや〜 それにしても いよいよ明日出発だね」


「そぉだね いよいよだねぇ」


「先生だいじょぶかなー 一人で・・・」


「先生はだいじょぶだよ 反対に先生がうちらの事心配してると思うよ」


「そうだよネェ  東京か〜 秋葉原も近いらしいよ〜」


「えー 何か買いたいものでもあるわけ?」


「いや ホラ 有名じゃない」


「あれッ! なに? えー ダウンジャケットはさすがにいらないでしょー」


「だってかなり北だよ それに我々上半身ほとんど何も着てないし・・・」


「北って言っても 春だよ もぉ!」


「ほんじゃぁ カーディガンだけでいいのかなー」


「いや 中は暖かいって たぶん」



旅立ちの前夜、そんなお話を交わされるのかと、つい想像してしまいました。

ぜひお目にかかりに東北の地より馳せ参じたいと思います。

                                 2007年11月13日





        






             薬師寺展公式サイト  click to go!

             東京国立博物館    click to go!








#107  小僧さん 〜 Some day my prince will come


「 だ〜みダヨー ちみー そんなとこでしちゃ そんなに遠くまで飛ばしちゃって〜!

えー? 我慢できなかったって?

そんな事言ったって だみなものはだみだよー!

んぁー? 芝生の肥やしになるべって?

肥やしはおんちゃん(おじさん)がたくさんやってからだいじょぶだ〜

あ〜? なんだって? こうやってっとファンのおばさんたちが喜ぶ?

おばちゃん喜んでも おんちゃんは喜ばないヨー!

だいたいゴルフはゼントルマンのスポーツなんだから、早くしまいなさい!

えーまだまだ出る?

なーにニヤニヤしてんのこの子は!?

あー? にやにやしてんじゃなくて ハナかんでるんだって?

ハナかむなら手洗ってからにしなさいヨ〜

えー? ハナかんでるんでなくて はにかんでるんだってが?

何だその ハニカム て? 蜂の巣が?

いやーそれにしてもおだぐ(おたく)いっぱい出んなー

おんちゃん感心してしまうな!

って感心してる場合でね(でない)

いいかげんにしねどほんておんちゃんごしゃぐがらなー!!(ホントにおじさん怒るからね) 」


#021 #072 に登場の彼です。

彼の先端部分にも、もうすぐ厳しい冬がやってきます。

                               2007年11月11日




               






お知らせ 〜 Bulletin board


家具工房モクさんの展示会のお知らせです!

15周年を迎えられたとの事。誠におめでとうございます。

秋の週末、温かみのある木の家具たちに会いに行きたいと思います。


■家具工房モクさんのサイト  TOP→ブログ家具職人日々の制作活動  click to go!

■工房へのアクセス  こちらをご覧下さい→ click to go!



木の家具展
  ゼロ〜15 anniversary

会期 2007・11・8(木)〜12(月)10:00〜17:00
会場 家具工房モク 木の家具ギャラリー


工房を立ち上げて15年が経ちました。
15年、長いようで短い時間。
家族が増え、工房の周りには乾燥中の木材が増え、出会いが増え、そして体重が増え・・・・
木の家具ギャラリーでは2度目の展示会となります。
テーブルを中心に椅子、スツール、棚や木の小物を展示します。
この機会にご高覧ください。蔵の中でお待ちしています。 
                                  写真 文  家具工房モク  渡邊英木さん





               





                                         2007年11月9日





皆様の日々コレ 

#010  今夜は芸術の秋 〜 an autumn flavor
           
       文 写真 山形市 カリメロ様


11月3日に行われたライブパフォーマンスにお越しいただいたカリメロ様が、

ご自身のブログでその模様を取り上げてくださいました。




仏像彫刻 原田のギャラリー「微笑庵」で 

書とダンスのパフォーマンスを 見てきた。


このギャラリーは 蔵と一体化して杉の香りが いつ行っても心地よい。

照明が落とされ ろうそくの光りだけ。

お鈴の音で 始まり 聖徳太子像の後ろから手が出てきた。

人間の手って こんなに表情ゆたかなものなんだねー。

像に命が吹き込まれたようだ。


ふわーっと お香が焚かれたようだ。


ダンサーのしなやかさに 驚かされる。

彼女 格闘技やったら そうとう強そう(関係ナイ?)


歩道に面した戸が 全部外されていて

吊るした布に 外から 筆が運ばれていく。

中から見ているから 墨がひとりでに形を創って いるみたいだ。


書家が舞台に現れ 静かに筆を運ぶ。


いやー、イガッタ。

面白いパフォーマンスでした。

                  2007年11月8日



        






       カリメロ様

      本当にすばらしい一夜でした。

      もっとたくさんの方に見て頂きたかったです。

      素敵な文そして写真、ありがとうございます。

                            じんべえの後見人








#106  風   光 〜 Buddham Sharanam 


風を見ることは出来ません。

しかし、野山に吹き渡る風が木々を揺らす様や

沢を流れゆく風の音にその存在を知ることは出来ます。


当社ギャラリーの開け放たれた東の戸口からその風は、

そよそよと清らかな空気をギャラリーの中へ吹き込みました。

はじめはゆっくり静かに。

そして時には激しく熱を伴い。

風は灯明の炎と人々の心を振るわせ 又、静かに東へ吹き抜けていきました。

風の去ったギャラリーには光がさし込み、それはあたかも

風が動かした雲の切れ間から、隠れていた月が姿を表わしたような、

そんな風景でありました。


月明かりに照らされたギャラリーと我々の心には安穏がもたらされました。

月はそれを照らす太陽の存在を暗示しています。





去る11月3日 当社ギャラリーにて

ダンスの加藤由美先生と書家の岡部陽子先生による

ライブパフォーマンスが行われました。

たくさんのご来場を頂き誠に有難うございました。

すばらしいパフォーマンスに私を含め皆さん感動していました。

皆さんが感動されていることを感じ、その事に又感動しました。

由美先生 陽子先生 あらためて心より感謝申し上げます。

あの時の 風 そして 光 を、

あの場所で皆さんと共有できたことを幸せに感じます。  合掌

                                      2007年11月6日






      







                       








            









                     




        ダンススペース    〜 加藤由美先生のサイト  

                        今回のパフォーマンスの写真をたくさん掲載していただいています。
                               
                        Top  → PHOTO → 拈華微笑   click to go!


        心やすらぐ書の空間 〜 岡部陽子先生のサイト  

                         当ギャラリーでの作品展 「拈華微笑」 の様子をご覧いただけます。

                         Top → Diary   click to go!



     パフォーマンスの曲     Buddham Sharanam  by Craig Pruess  click to go!



       
Buddham Sharanam   千手観音 当社ギャラリーにて   click to go!







#105  秋晴れ 〜 Blue sky blue 


ご注文をいただいたお姿が完成し、お納めさせていただく時はいつもとても緊張します。

正確に言えば、ご注文をいただいた時点からその緊張感は始まっています。

お客様のご希望を自分自身がどれくらい理解しているのか、

そのご希望を実際に謹刻にあたる仏工に、どのように伝えるのが一番効果的なのか、

木箱に梱包された後、長旅を経て破損しないで無事当社に到着してくださるのか、

工房での検査の際OKを出したけど、果たしてお客様に合格をいただけるのか・・・・・・


ご満足いただけるお姿をお納めさせていただくためにも、

色々な場所に行き、色々な人とお話をし、色々な良いものを見、色々な本を読み、

色々な方々の色々な考え方や感じ方に接することがとても大切な事だと感じています。


10月は完成したお姿の納入安置の仕事が相次ぎました。

台風の影響で船が遅れて、お約束した納期に間に合わないのでは・・・・

という不安も重なり、緊張が続いた日々でした。

その中でも、関東の御寺院様での納入は忘れられないものになりました。

先ず、前述の通り、台風で中国からの船の到着が遅れたため、特急で通関して頂き、

山形まで送ると間に合わないので、横浜の倉庫まで車で直接受け取りに伺いました。

翌日がお納めさせていただく期日であったため、

フォークリフトが行きかう倉庫の片隅で荷解きさせて頂き港を後にしました。

本来であれば山形に戻ってゆっくり写真撮影したいところですが、残された時間はわずか、

そこで携帯電話のインターネット検索で探したところ、貸しスタジオが見つかりました。

2時間ほどそのスタジオをお借りして撮影させて頂き、ホテルに着いた時は夜の11時を回っていました。

仏像の撮影は初めてというスタジオの方からは「生きているみたいですね」と褒めていただいたのですが、

お客様に納得していただけるかどうかは又別の問題です。

私自身としては、絶対に大丈夫という自信と、

でも・・・・という不安を胸に、祈るような気持ちで夜を過ごしました。


翌朝、御寺院様にお伺いし、早速安置の作業を開始しました。

事前にお客様からは写真でご確認いただいていたのですが、

写真では実際のお姿の様子を正確にお伝えすることはかないません。

壇上に台座を据えて、さらしにくるまれたお姿にお座りいただきます。

くるくるとさらしを外し、お顔を覆う綿のみとなりました。

「それではよろしいでしょうか」 とお伝えし、本当に祈りながらその綿をお顔から外すと・・・・・

「おおー   んー   はいはい  いやぁ   んー 」 と、お客様。

そして静かにお姿に合掌され、次に 

「おーいみんな 一緒に記念撮影しよう!」 

と弾んだお声でご家族をお呼びになられました。

私の心の雲が晴れました。

嬉しさをこらえながら、お納めさせていただいたお姿と、その前に座られた御住職様や奥様、

副住職様や奥様、そしてお孫さんをカメラに納めさせて頂きました。


その日は念のため、その後の予定を入れていませんでした。

カーナビで調べると比較的近くに ちひろ美術館 があることを知り、

全くの予定外だったのですが軽い気持ちで行ってみる事にしました。

緊張から開放された身に いわさきちひろさん の絵はとても心地よく、来て良かったと感じました。

一枚一枚の絵に入り込むと何度も涙がこぼれそうになりました。

それがどうしてなのか・・・・・・

子供の頃を思い出してなのか、

季節のせいなのか、

それともトシの・・・・・・


「そんな事はどうでもよい」

考えるのをやめるのにそう時間はかかりませんでした。

                               2007年10月26日







       






         
ギャラリー微笑庵 イベントのお知らせ 〜 Bulletin board


 
微笑 〜 心やすらぐ空間  仏像と書


書家 岡部陽子さんの作品と、当社謹刻の御仏像による安らぎの空間をお楽しみ下さい。

会場は当社ギャラリー微笑庵〜みしょうあん

会期は 11月2日(金)から4日(日) 10時から17時。 入場は無料です。


11月3日(土)19時からは、加藤由美先生(ダンス)と岡部先生(書)のライブパフォーマンスが

行われます。入場は無料ですが、会場の都合上、人数に制限がございます。

ご希望の方はメールにてお知らせ下さい。


お問い合わせ PHONE023−622−2364 仏像彫刻原田

                             2007年10月10日





                  






   ■書家 岡部陽子さんのサイト click to go!

   ■Yumi Dance Company 主宰 加藤由美さんのサイト click to go!

   ■ダンスと書 ライブパフォーマンスのお申し込みはこちらから info@jigamidai.com





#104  せつなさを楽しむ 〜  sentimental journey


秋になると、

「じっくり音楽でも楽しんでみようかな・・・・」 

なーんて思うようになるのはやはり、過ごしやすい季節だからなのでしょう。

活動的な夏に比べ、穏やかな落ち着いた気分になる秋は、

一方でせつなさを感じさせる時期でもあります。

西の空にうっすらと陽が残る秋の夕暮れ時、

どこからともなくちいさい秋みつけたのメロディーが・・・・・・

何か悲しい事があるわけでもないのにイントロを聴いただけで泣いちゃうかも・・・・・・・

自分の中の 「哀愁」 のルーツは小さい時に聞いたこの曲のような気がします。


さて、そんな秋の季節にCDの棚に向かって車で聴く音楽を探してみると、

どうしても選んでしまうのがアコースティックな静かな曲。

どうやら 「せつなさ」 や 「物悲しさ」 を積極的に楽しもうという意識が働いている感があります。

それは夏場にあえて、暑苦しいサンタナなんかを聴く行為と共通しているようにも思えます。


木々が色付き始め、澄んだ空気にキンモクセイが香るこの季節、

ギターの響きと女性ボーカルの優しい声が秋の深まりを加速させます。

暑かった夏が嘘のように・・・・・・・・・。

                                    2007年10月8日





          

            「もうちょっとがんばってみるネ」と、庭の朝顔






Time after time

Helplessly hoping


The Rose

Fall in love

Circle

In my life

関係ないですけど最後に〜Tickle me Elmo!







#103  ツアー 〜  On the Road Again


ルイジアナ  テネシー  アラバマ  きつい旅だぜ ニュー・オリンズ!

トラベリンバスに揺られ街から街へ・・・・・・・・

車での出張が多いのですが、まだアメリカ南部にはおじゃました事がありません。


ほとんどの出張は一人旅なので、長くなるとだんだん外食や、自宅から離れている事に飽きてきます。

そんな話を友人としていたところ、その友人が

「出張を ツアー という言葉で表現してみたら」 という提案をしてくれました。

「ミュージシャン気取り」 というエッセンスを、無理矢理 「出張」 というドンブリにまぶしてあげる事で、

気分は 「ビッグ で グレート で ヨロシク!」 な感じに盛り上がるのではないかと・・・・・・。



先ずはタイトル!

「ファイティング・スピリット2007 魂の叫び!!」  

ンー これじゃ全日本プロレスですね・・・


「オータム・ツアー2007 お帰りなさい」   

これはチョッと 「お彼岸」 な感じが・・・・


フォークな雰囲気で 

「コンサートツアー2007 わかってください」 というのはどうでしょうか・・・・

眉間に皺がより、だんだん内省的になりそうなのでやめておきましょう。


ここはボブ・ディラン先生のツアー名 「ネバー・エンディング・ツアー」 をいただく事にします。



さて、次にツアーに欠かせないのがスタッフ! 

まあここは経費節約のため#102のカーナビさん(女性)に名前でも付けて

ツアースタッフの一員になってもらいましょう。

声の感じから実直で聡明、落ち着きがあり、 かわいい というよりは 美人 な感じなので

ステファニー  ジェニファー  それとも トレイシー? って外人じゃん!

まあ、シャープな印象なのでイニシャル 「T」 か 「K」・・・・・・・ 

んー 「田中さん」 に決定!!



スタッフ・ジャンパーやポスター、トレーラーなんかに入れるロゴは 「屋号」 でいいでしょう。



他に何か必要でしょうか?

んー ・・・・・・物販? 

梵字Tシャツ!・・・・・イイかも!! 

いや いや ツアーのそもそもの目的が目的なので・・・・・・

まあ、でもノベルティーのステッカーやポストカードは作ってもいいかもしれませんね。



あとは何でしょうか?

打ち上げ!!!

ゴクゴク プハーッ! ステージの後の乾杯! 最高ですよね!!

いやーでも 「田中さん」 来てくれるかナー・・・・・    人妻だし・・・・・

一人で打ち上げ?・・・・・寂しすぎますよね、それは・・・

とはいえ、ふらっと立ち寄った見知らぬ街のスナックのカウンターで、

仲良くなったママと「北酒場」をデュエットできるようになるには、あと30年くらいの修行が必要です。

ここはホテルに戻って 「クリエイティブな活動をする」 と、

いう事にしておきましょう。 (ただ寝るだけですけど・・・)



そして移動の手段! バス? 専用ジェット?

いやいや頼れる友人 CARAVAN

気は優しくてお人よし その上美人で力持ち!! 

キャラバン 〜 隊商 というこの車の名前、けっこー気に入ってます。



最後はプロモーションビデオ!

スローモーションの映像に こんな曲 を合わせたら泣いちゃうかもしれません。

どなたか作っていただけませんか?


さあ ツアーの始まりです!

オープニングテーマは景気づけにこんな曲で・・・・・・・・I hope you're having fun!!

                                              2007年10月2日





              




                      ♪On the road again

                      ♪Caravan








#102  僕の歌は君の歌 〜  This one’s for you


   また傷つけてしまったね



   それはいつも同じことの繰り返し



   君のささやきは僕の心に届いているのに



   僕は君を裏切ってばかり



   どんな時でも強い君の事だから 一人でも上手くやっていけるね



   でも本当はさびしがりやだって事も分かっているんだよ



   これは君のために作った歌



   いつもは口にしないけど



   思い切って言うよ 「ありがとう」 って





   また泣かせてしまったね



   それはいつも同じことの繰り返し



   君の甘い声は僕の心を震わすのに



   僕は君に逆らってばかり



   呆れ顔でほほえむ君が隣にいて欲しいんだ



   僕だって本当はさびしがりやなのさ



   これは君のために作った歌



   いつもは口にしないけど



   心から伝えたい  「ありがとう」 って



















普段より大変お世話になっているカーナビさんに感謝の気持ちを込め作詞致しました。

80年代ポップスのなんだかよく分からない対訳の感じを意識してみました。

どなたか曲を付けてください。

                               2007年9月20日






          





     Your song  高校生によるカヴァー 上手くないけどなんだかイイです!

     Your song 意外な方向から歌声が・・・・

       
Your song   自宅にグランドピアノ! それともスタジオ?





#101  朝の室生寺 〜  sound of silence


京都から奈良へ入るとなんだか ほっ とします。

中心から少し郊外へ出ると、のどかな田園風景が広がり、

その眺めが私の住む山形とどこか重なるからかも知れません。

さて、 この 「奈良」 は中国工房の仏工と巡る参拝の旅のハイライト! 

今回が初めての仏工もおりましたので、先ずは東大寺や興福寺など

代表的な寺院をお参りさせて頂いたのですが、

個人的に是非お参りさせて頂きたいと思っていた寺院がありました。

女人高野 室生寺


奈良に到着した初日、朝からかなりの距離を歩いたので、

3時頃にはだいぶ疲れを感じていたのですが、

一日の締めくくりに奈良国立博物館におじゃましました。

あいにく新館は企画展の準備のため入れませんでしたが、

本館で劇的ともいえる出会いが待っていました。

珊底羅大将像
(さんてら 又は さんちら たいしょう) 十二神将 の中の御一体です。

本来の安置場所は私が密かに参拝を計画していた 室生寺。


博物館の展示はどれもすばらしかったのですが、珊底羅大将像の前で皆、

靴底がボンドで接着されたように動けなくなってしまいました。

「すばらしい!!!」

「表情がスゴイ!!!!」

「いや、身体の重心のとり方もスゴイ!!!!!」

「いやいや、衣のヒダもなんとも魅力的!!!!!!!」

「十二神将の内の一体ということは他のお姿もあるはず! 是非お参りしてみたい!!!!!!!」

皆、感動していました。

私としては後に予定していた 室生寺参拝 の願ってもないイントロダクションになり幸いでした。


翌々日の朝、奈良駅前のホテルを7時に出発し、室生寺へ向かいました。

1時間ほど往来の少ない山道を進むと、更に山形に帰ってきたような気分になりました。

駐車場に車をおき、川沿いの道を歩いて進み、伽藍におじゃますると、

これまで京都、奈良でお参りさせていただいた寺院とは全く異なる世界が広がりました。

朝早い時間だからなのか、我々以外はお掃除の方しかおらず、

木々に囲まれ木漏れ日がさす参道は、

ひんやりとした空気に包まれ、静かでとても気持ちのいい空間でした。


金堂をはじめとする建物は想像に反して以外に小さく、

その分、仏様を身近に感じられる気がしました。

ガラスケースや空調設備のない古い御堂の中に、仏像図典や土門拳氏の写真で見た、

十一面観音や釈迦如来坐像などの国宝がおられる様子は、

その尊像が国宝である前に信仰の対象である事を語っています。


念願の十二神将にもお参りさせて頂き、お山を下りると10時でした。

山門を出る手前にある、屋根のかかったオープンな休憩所で

缶コーヒー片手に皆で一休みしました。

皆で感想を語り合いました。

緑が目に優しく、蝉の声が静けさを一層際立たせていました。

なんとも贅沢で、夢のようなひと時でありました。

                                   2007年9月6日





      





     





     





          室生寺のHP click to go!








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コレクター:1963年生まれ 男性 仏像彫刻原田専務