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日々コレ好物 〜 Favorite collection of my daily life





#250  ラジオスターの喜劇  〜  Karma Chameleon


「落語とは人間の業の肯定である」

とは立川談志師匠の言葉ですが、

その言葉を念頭に置き落語に接してみると、

「なるほど もしかするとその意味するところは、こーゆー事なのかなぁ〜」

などと、薄っぺらいながらも解ったような気分になります。


実際に寄席で大勢のお客さんと一緒に落語を楽しんでいる時の自分を客観視してみると、

噺の中に登場する様々な人物たちの行動や言動の中に、

自分の中にも存在する 『あまり認めたくない共通の要素』 を無意識の内に感じ取り、

そんな感覚を見ず知らずのお客さんと、笑いや涙というリアクションによって共有 確認し、

その共有体験で促される精神的な排泄に、快感と安心を感じ取っているような気がします。

と、ここまで書き進めて自分でも何だか分からなくなってきましたが、

とにかく、寄席という閉じた空間の中で、ある種の共犯者意識を楽しんでいるような感じがしてなりません。




さて、最近のお気に入り。

TBSラジオ 安住紳一郎の日曜天国

「とにかくおもしろいから!」

と、同い年の従兄弟にススメられ、ガッチリはまりました。

ポッドキャスト版をウォークマンに入れて、主に出張時の車の中で聴いております。

2007年から現在に至るまでの、かなりの数を楽しむ事が出来ますが、

中学の時、やっと手に入れたLPレコードを 

「お楽しみ期間が長続きしないともったいないから」

という理由で、

最初の1ヶ月でA面、次の1ヶ月でB面 という涙ぐましい計画をもって鑑賞したが如く、

はやる心を抑えつつ、まだ全体の半分ほどしか聴いておりません。

そして、聴くたびに安住氏の執着、嫉妬、渇愛に溢れるトークに大いに励まされております。

人は 「清」 によってのみ癒されるのではなく、時に 「濁」 によって救われたり、

「清」 によって傷ついたりする事もあるのかもしれません。

この番組を聴きながらハンドルを握る私の満面の笑みは、

知らずの内に対向車のドライバーをもハッピーにしているのでは・・・

いや、オメデタイ変な人だと思われているような気もします・・・。

ともあれ大変良い鉱脈を教えていただきました。 

サンキューこうじ君!!

                           2010年10月5日




     

      
Bryan Adams





        安住紳一郎の日曜天国ポッドキャスティング  ←こちらで聴く事が出来ます。 

        ご存知の方も多いと思いますが、そうでない方は手始めに、

        バックナンバー ♪2010年4月11日 姫野さんからの手紙 あたりからいかがでしょうか。

        (開始まで少し時間がかかるかも知れません。)


        
中央フリーウェイ








#249  フュージョン  〜 crossover 10


暑かった夏が遠い昔のように思えます。

温かいものが心地好い季節になりました。



雨の降る夜は中国茶


気合いを入れて凍頂烏龍


いただき物の羊羹と


サンタナの新譜を聴きながら・・・



全てが FUSE(融合) しているのに・・・

暖をとろうと抱き上げた じんべえ だけは、頑なに REFUSE(拒絶) 。

猫のくせに・・・・・。

                                   2010年9月28日








     





     While My Guitar Gently Weeps









#248  花と泥  〜 I think to myself . . .


「通常こういう感じの潰瘍の場合ガンの可能性があります。

でも、ムシが悪さをしたのかもしれないので組織を検査します。

2週間後に結果が出ますから又来て下さい。」


数分前に撮影された胃の内部の写真を示しながら語られた医師の言葉に、案外冷静であったのはなぜだったのか?

無意識のうちに覚悟をしていたからなのか?

絶対に大丈夫という根拠のない確信からか?

それとも、胃カメラのノドの麻酔が気になっていたからなのか・・・・・・?



話は3週間前にさかのぼります。


千葉に出張に出た折、夕食を済ませホテルに入りしばらくすると、みぞおちに圧迫感。

ムカムカして吐き気を覚え、その症状が以前経験した十二指腸潰瘍と似ていたので、「またか・・・」と。

うつ伏せになり、こみあげてくる不快感と対峙しながら、寝たような寝なかったような夜が明けて朝に。

なんとか持ち直したので水分だけ摂ってお客様を訪問。

気を張っていると不思議なものでなんともなく、しかし車に戻ってしばらくするとムカムカが再来。


帰宅して胃薬を飲むと、なんとなく好くなったような気がして、大丈夫かな?と思っていたところ・・・

症状を覚えてから1週間経った夕食後、激しいムカつきにもどしてしまう。


「これは医者だな・・・」


と、覚悟を決め、翌朝は念のため食事も水分も摂らずに カメラが上手 と評判のお医者さんへ。



「じゃあカメラ飲んでみましょう。」


という想定した展開になり、苦しくない と聞いていた鼻からのカメラを選択。



「あっ! ムシいるムシ!」


という医師の意外な言葉に驚嘆!


「なんか生もの食べた?」


との問いに、涙目になりながら


「シャバ」


と短く答える。


「どこで?」


「シバ」


「へー 千葉のサバは元気がいいから虫も元気がいいのかなぁ〜?! 

ふつう1週間もすると死んじゃうんだけどねぇ〜」


との語りかけに、かなり無理して目だけ微笑む。

と・・・


「ごめん 原田さん 口からもう一回入れさせてぇ。 とったムシ鼻のところで落としたら大変な事になるから・・」


とのアナウンスに喫驚!!。


麻酔で激しい鼻詰まり感覚の上、喉の麻酔が加わわった事で、5秒間ほど軽いパニック状態に。


「息が出来ないみたいに感じますが実は出来ますよーー」


看護師さんの、優しいけれど、 『面倒かけんじゃないわよっ』 という二アンスのこもった冷静なお声掛けに即沈静。


「はい とりましたー あと、気になるところあるんで調べましょうねぇ〜」



・・・・・といった経過を経て冒頭のくだりへ。


そして今日が結果発表の日。

本当に覚悟を決めて臨みました。

結果は 白 でした。

その結果にも案外冷静な自分がいました。

それはなぜなのか? 自分でもわかりません。




この2週間、色んな事が頭に浮かび、沢山の事を考えました。

家族の事、仕事の事、自分の事・・・・・。


「先ずは、今しなければならない事を一生懸命やろう。」


そう思う事で気を紛らわせていたような気もします。





きのうの事、

当社では久しぶりの楽書講座が開かれました。

その折、生徒さんの内の一人で ちりめん細工 の先生でもある宗片さんが、

ギャラリーに飾る蓮の花を作って、持ってきて下さいました。

淡いピンクと、少し濃いピンクの蓮花に、空気が和らぎ、心がほぐれました。




      




昨晩、蓮花と陽子先生の書と当社のお姿を合わせて撮影してみました。

撮影しながらも、どこかで 翌日に控えた検査の結果 の事が頭に引っかかっていたように感じます。



蓮の花、書、お姿

そしてその全てが一体となった空間。

そこに自分の気持ちが重なり、色んな思いが姿を現しました。



   「泥の中から出でて美しい花を咲かせる蓮」


泥とは?

花とは?

美しいとは?

花は美しく、泥は汚い?


美しい花を咲かせている時でさえ、茎を伝い根は泥の中に。

花は泥につながり栄養を吸い上げ、泥は茎を支え、花の土台となっている。

蓮の実体は花だけではなく、葉や茎、泥の中の根も含めて蓮。

泥は花に必要なもの。


病気を泥に例えるなら、その泥で花を美しくする事も出来る?・・・・。



   「一期一会」


何も一定の事は無いのに、何も変わらないと錯覚している自分。

今、息が出来る自分、水が飲める自分、ものが食べられる自分、眠る事が出来る自分。

それが当たり前だと錯覚している自分。




振り返り、心の目で注意深く見渡せば、

気付いていない、見えていない、たくさんのきれいな花が存在しているような気がします。

今にして思えば泥だと感じていた事も実は花だったのではないかとも・・・。



宗片先生、陽子先生ありがとうございました。

そして、

Thanks for Annie!

                                 2010年9月11日






         






             WHAT A WONDERFUL WORLD







#247  Mission  〜 Priority


最近求めた 古寺巡礼 奈良 興福寺 という本の巻頭を飾る、

いとうせいこう氏の 「両極の仏像群」 というエッセイを読む。


示唆に富むいくつかの個所に心の中でアンダーライン。

とりわけ 


  物質が ”有る” と認識するのは常識の罠だけれど、

  その罠を恐れていては人を気付きに導けない。

  そう考えた先達があえて仏像を造ったのだとしたら・・・・・・・・・・。

  慈悲を優先して矛盾を受け入れた、と考えるべきだろうか。


という個所は赤ペンで念入りにマーキング。



過去において、慈悲を優先し矛盾を受け入れ、様々な工夫をされてこられた方々、

そして現在、慈悲を優先し矛盾を受け入れ、今の時代に合った在り方を模索し、実践されておられる方々に

心より合掌。

                                                     2010年9月7日




                 










#246  TOMITA  〜 COSMOS


昭和38年生まれの私が幼い頃に見ていたテレビの画面は、

今のものと比べたら驚くほど小さく、不鮮明だったはずです。

なのに、記憶の中の映像は画面以上の広がりをもっており、

感動とともにハイビジョン級の鮮やかさで瞼の裏によみがえってきます。


深紅のボディーをぬらりと光らせながら夕陽に向かって飛んでゆくウルトラセブン

自分もあんな風に凧に乗ってみたいと憧れた
忍者赤影

お別れの時は画面に向かって 「バ ハ ハ〜イ!」 をしていたケロヨン

魅力的な主人公たちが、小さな自分たちの事を思いっきりワクワクさせてくれました。


中でも思い出深いのは ジャングル大帝。

勇壮な♪テーマ曲にのって映し出される雄大な景色と、いきいきとした動物たちの姿。

そんなオープニングだけで、私の心は一気にブラウン管の中のアフリカに引き込まれたものです。

今でも私の中のアフリカのイメージは、このジャングル大帝の中で描かれているアフリカのままであり、

その影響力の大きさに驚かされます。

(余談ですが、みなしごハッチの影響でカマキリとクモはどうしても悪い奴に見えてしまいます。)


さて、小さな頃はマンガのテーマ曲をどんな人が手掛けているのかなどという事は全く気にしませんでした。

雄大なジャングル大帝のテーマ曲にしても、それを誰が作ったかなど興味すらありませんでした。


中三の時に買った一枚のLPレコード。

そのレコードの作者である音楽家と、ジャングル大帝のテーマ曲の作曲者、

そして耳に馴染みのある多くの楽曲の作曲者が繋がったのはずいぶん経ってからの事でした。


「エーーーッ この曲もそーなの!」


知らない間に、その
作曲家が生み出したたくさんの作品に触れていた事は驚きでした。

と同時に、小さい頃からマンガや特撮などを通して、

その作曲者の素晴らしい作品に親しむ事が出来た事をとてもありがたい事だと感じました。


 
♪リボンの騎士     ♪新日本紀行     ♪キャプテンウルトラ     ♪今日の料理


現在、富田勲ブームが到来している私は、

中三の時に買ったLPレコードが無性に聴きたくなり、

でもレコードプレーやが無いのでアマゾンでCDを購入。


「ゼッタイ イイハズ!」


と、灯りを落とした深夜のギャラリーで聴いてみる事に・・・・ 

と・・・・・

    
 ☆ ☆ ☆ ナチュラルトリップ ☆ ☆ ☆


いつの間にか私は、たくさんの仏像と一緒に、ギャラリーという箱ごと宇宙に浮かんでおりました。

                                           2010年9月5日






        





             
♪Aranjuez     ♪When you wish upon a Star












#245  寛容  〜 she is so delightful


東京国立博物館

ちょっと通ぶって「東博」。

たてものもとっても魅力的。








     












     












     













     













     












     










     












     












     












     












     












     







                             2010年8月29日







          





           ♪Joe Cocker









☆勝手に命名 〜 山形市 チッピー様





    命名 「まほろばハニー」 ♪テーマ曲 






   チッピー様  このごろ流行りの女の子なのですね!

            だってなんだか だって だって なんだもん って事ですね!

            変わるわよ でキマリなのですね!

            変身シーン見てみたいです。

            ありがとうございます。   管理人








☆勝手に命名 〜 千葉県 山川社長様





    命名 「ほろよいくん」  ♪テーマ曲






  山川社長様     美味い!  じゃなくて  上手い!!

           山川社長様には見えるのですね・・・・ 右手に徳利、左手に盃が・・・

           蛇の道は蛇!ですね!!  ちなみに徳利の中身は十四代?

           心なしか頬が赤らんで見えてきました。

           ありがとうございます。

           テーマ曲の御指定がありませんでしたので勝手に選曲させていただきました。 管理人








☆勝手に命名 〜 東京都 KK様





    命名 「どんとさん」  ♪テーマ曲







  KK様  アハハ 似てます似てます!! ネックレスの感じなんかも雰囲気ありますね!  

         ありがとうございます! 管理人







#244   勝手に命名  〜 I like it like that


東京国立博物館

ちょっと通ぶって「東博」。

その東博で勝手にメイメイ。

子山羊か・・・。





   
命名 「キチントさん」  ♪テーマ曲










   命名 「お疲れちゃん」  ♪テーマ曲










   命名 「ウッキー小林」  ♪テーマ曲










   命名 「可朝夫人」  ♪テーマ曲










   命名 「ちょうだい犬」 
♪テーマ曲










   命名 「鼻之下長次郎」  ♪テーマ曲










   命名 「獅子てんや」 ♪テーマ曲










   命名 「瀬戸わんや」  ♪テーマ曲










   命名 「ぎょうざちゃん」  ♪テーマ曲










   命名 「爆発タロー」  ♪テーマ曲










   命名 「あくび少年」  ♪テーマ曲










   命名 「高松しげお」  ♪テーマ曲










   命名 「渡辺棟梁」  ♪テーマ曲



                                      
2010年8月23日








   命名 「     」  ♪テーマ曲 「    」


  ↑皆様のメイメイをお寄せ下さい。 
          










#243   とうはくえもん  〜 over and over again


東京国立博物館

ちょっと通ぶって呼べば「東博」。


関東へ出張の際は、時間を作って可能な限りおじゃまさせていただこうと心がけています。

仕事に関しての勉強だから・・・という義務感からではなく、

テーマパークへ向かう子供の様なワクワク感一杯で向かっている事が、自分でもちょっと意外です。

二十歳の頃の自分が、現在の私の様子を見たら 

「カッコつけてんじゃないのぉ〜〜」

なんて茶化すかもしれません。 が、本当に楽しくて仕方がありません。

仕事に関しての勉強だから・・・ とこじつけて、出張の合間に楽しんでいるというのが正解でしょうか。


東博の良さは・・・

などと、私ごときが語るのは誠におこがましいかぎりですが、

めげずに申せば、

その一つは、収蔵品に限って撮影が許されている事。


かなりメジャーな企画展でごった返している時でさえ常設展は人影もまばらで、

ゆっくりと撮影を楽しむ事が出来ます。

撮影ばかりに夢中になって、自分の目で観る事がおろそかになり、

カメラに収めた事で観たような気分に陥る懸念はありますが、

 〜その時に対象に感じた魅力を、どうすればより近いかたちでカメラに収める事が出来るか〜

そんなチャレンジをしながら、あれこれ試行錯誤しつつレンズ越しに観る事も観るうちの事だと感じています。


以前撮影させていただいた写真を合算したところ、3000枚以上になっており、

デジタルカメラの恩恵にあらためて感謝する次第ですが、

それらをざっと眺めてみると、けっこう同じ対象を同じ角度から撮った同じような写真があったりして、

進歩の無さを憂えてみたり、「やっぱりその角度だよね!」などと納得してみたり。


一番多く撮影していたのは、やはり御仏像のお姿。

御面相や全体像はもちろんの事、最近は衣のひだ 「衣紋」 を撮影したものが増えました。

インドや中国、朝鮮、日本などの様々な時代のお姿の衣紋をぼんやり見ていると、

折り重なった衣のひだが、そのお姿が過ごされてきたであろう悠久の時を象徴する波のように思えてきて・・・・

軽い眩暈を覚えます。


幸せな眩暈を感じる為に東博へ、

幸せな眩暈を起こしてくれる一枚が撮れたらいいなと東博へ。

何度も何度も波のようにおじゃましたいです。

                        2010年8月18日







           








          








          





    The Traveller








#242   雨 & ガーファンクル  〜 bright eyes





       Crying in the Rain












       Break Away












       ♪So Much in Love












       ♪Bright Eyes







                              2010年8月14日







       ♪Old Friend










番外   妄想はひとりよがり  〜 Above us only sky?



妄想ロック・フェス 〜 ライブ冥土



薄暗いパブ。 客もまばら。

午後3時。

通りから差し込む光が紫のけむりを浮かび上がらせ、

それを縫うように微かに♪曲が流れている。



二人の男がカウンターを挟んで話をしている。

カウンターの中の男がちびた煙草を咥え、

煙たそうな顔でサーバーのレバーを倒しながら語りかける。


「ったく あいつらどうかしてるぜ」


男はグラスを客の前に滑らせ

「これは俺からのおごりだ」

と言う代わりに軽くウインクをしてみせる。

客はそれを一口飲み、

少しだけ顔をしかめ、

肩をすぼめ、

小さく数度顔を横に振ってみせた。


「だいたい俺のいねェ ゼップ なんてク○みてェなもんだと思わねェか? 

ジミーもそーとー焼きが回っちまったな・・」


客は男の言葉にもう一度肩をすぼめてみせた。


カウンターの中の男はジョン・ボーナム

生前彼はロック・バンドのドラマーであった。 

この店は彼が趣味で始めたもので

客からは彼の愛称から 

 ボンゾズ・ネスト 〜 ボンゾの穴

と呼ばれている。

週末の夜には彼を慕う音楽仲間で賑わいをみせるが

気に入らない客にテレビを投げつけたりするので恐れられてもいた。

彼は下界で自分抜きのレッド・ツェッぺリンを再結成するという事に

苦々しい思いを抱いていたのだった。


「ボンゾのだんな、俺だってダンの野郎が

あんなク○みてェな映画作りやがった時は

バズーカでぶっとばしてやろーかって・・・・・」


と、ボーナムに語りかける客の名はジョン・ベルーシ

生前コメディアンであり俳優であった彼は、

彼の代表作である
ブルースブラザーズの続編を

相棒のダン・アクロイドがベルーシ亡きあと勝手に製作し、

それがとんでもない駄作であった事にずーっと腹を立てていた。


「クラプトンの野郎ク○みてェな演技しやがって・・・・」


ベルーシはカウンターを睨みながらつぶやいた。


そんなベルーシにボーナムが語りかける。


「なぁ ジョンよ 俺たちもこっちでやってみねェか?」


「・・・・・?」


ベルーシは初め何の事だか分からずボーナムの顔を見つめていたが、

何かに気付いたような表情で


「・・・・バンド」 


と小さくつぶやいた。


「バンド!」 


今度は大きな声で叫ぶと、一筋の光がカウンターに座る彼を照らした。

ベルーシの身体は震え始め、何かに憑依されているようでもあった。



途端に店の中に♪爆音が響き渡る。






「てめぇー 何回おんなじ曲かけりゃ気ィ済むんだ!」


見習いで働いている若者 カート にクラッシュドアイスを投げつけてボーナムが叫ぶ。

爆音の正体はカートが流したニール・ヤングの ヘイヘイマイマイ であった。

この店で働くようになってから彼は毎日のようにこの曲を店で流していた。  

しかも鼓膜が吹き飛ぶような大音量で。

ボーナムも嫌いな曲ではなかったが、あまりのしつこさに辟易していたのであった。


一方、ベルーシが光と感じたのは生前の 「あの」 記憶が蘇ったフラッシュバックに過ぎなかった。

身体の震えも同様の理由であった。


「おい ジョン! ジョン! しょーがね〜な

こいつ また どっかに逝っちまいやがった。

おい しっかりしろ! ジョン!」


「ァッ・・・オゥッ・・  Oh Shit! 

   ・・・・・・・すまねぇボンゾのダンナ・・・・

こっちに来てすっかりクリーンになったはずなのに・・・・」


ベルーシはそう言って口の周りのヨダレを手で拭った。


「まぁ いいさ 気にするな。

ところでバンドの事だ。

どうせやるんならケチな事はしたくねぇって思わねえか?」


「あぁ そりゃーまぁ・・・」


「考えてみろよ、 

こっちには娑婆の奴らがどー逆立ちしても見ることが出来ねぇスーパースターがごろごろいるんだぜ! 

生ける伝説なんかじゃねぇ ホントの伝説がョ!!」


「Right!」 


ベルーシは遠くを見つめるような目で小さく答えた。




数時間が経過した。

二人は色々な可能性を熱く語り合った。

そして・・・・・・。


「これはとんでもない事になるぜ!」


グラスを合わせる二人の顔は

10代のロック小僧のそれになっていた。




かくして、この日を境に、

ボーナムとベルーシによって

「天国のロックフェスティバル」

の計画が着々と進められていくのであった。





「エー すていびぃー れいぼーんさま っと!

             あっ、なんか曲がっちゃった!!」」


ボーナムの店に住込みで働くシドとナンシー

そして見習いのカートは、開店前の店のカウンターで

大量の往復はがきにボールペンで宛名を記していた。

ボーナムに「今日中に全部出しとけ」と

命ぜられたものであった。


その往復はがきの内容は

豪快なイメージのボーナムに似合わず

次の通り、低姿勢で、なぜかジャパニーズであった。

それよりも「往復はがき」というアイテムが気になるところでもあった。


ハガキはボーナムの挨拶から始まっている。



拝啓 皆々様におかれましては益々安らかにお過ごしの事とお喜び申し上げます。

日頃より当ボンゾズ・ネストを御愛顧いただき、心より厚く御礼申し上げる次第でございます。

さて、私 ボンゾ こと ジョン・ボーナム

思うところあり、こちらでのロック・フェスティバルを開催するはこびとあいなりました。

つきましては、皆様より広くご意見を頂戴し、

より良い、有意義なロック・フェスティバルの実現に

尽力して参りたい所存でございます。

つきましては、大変お手数ではございますが、

返信用のハガキに記してございますアンケートにお答えいただき、

ご投函いただければ幸いに存じます。

皆様のご理解とご協力 何卒よろしくお願い申し上げます。  敬具


                           With Whole Lotta Love ボンゾ



そして、そのアンケートの内容とは



誰とやりたい?



何をやりたい?



誰の何をみたい?




という極めてシンプルなものであった。







お盆ですね!

                    2010年8月10日





  Rock n Roll








#241   夏の庭  〜 in the afternoon






          The Beach Boys










      Southern All Stars










      Roberta Flack





                                      2010年8月4日








               

              Nicolette Larson










#240   日々コレツアー  〜 HTB




  【ツアー名】 キャラバン号で行く夏のやまがた  

                 〜なつかしの味と古寺を訪ねて〜

  【参加資格】 おっさんである事

  【定員】 1名

  【参加費用】 2,000円(食事 飲み物 拝観料 入湯料 ガソリン代 運転手さんへの心付込)

  【コース】

  午前12時 自宅を自家用車キャラバン号を自ら運転して出発 

  ⇒ 河北町「ブルドッグ」にて昼食(あんかけ焼きそば)

  ⇒ 寒河江市慈恩寺参拝 ⇒ お休み処にて休憩(心太)

  ⇒ 中山町 ひまわり温泉 ゆらら にて入浴 

  ⇒ 自家用車キャラバン号を自ら運転して帰宅

  ⇒ 解散 おつかれさまでした!





てなわけで参加して参りました!(自作自演とも言いますネ・・)



にわか雨が上がった庭先の、シャワー浴びたての百日紅に見送られイザ出発!



   



エアコンを効かせた車内に流れるのは、

ウォークマンが勝手に選んでくれたゴキゲンなナンバー(書いててちょっとハズカシイ・・)


青空のように


気分に合ったイイ選曲をしてくれた時は、ウォークマンの中へおじゃまさせていただき、

「親方! イイッ! ナイス! グッジョブ!」

と、中にいるであろうDJさんに握手を求め、選曲を讃え、労をねぎらいたい気持ちになるものです。


さて、向かうは河北町にあるブルドッグというダーツバー。

お目当ては「あんかけ焼きそば」。

ダーツバーであんかけ焼きそばというのはなかなかのミスマッチなのですが、

そこにはちょっとしたドラマがあるのでした。


紅花商人で有名な河北町谷地。

その谷地八幡宮門前で長年愛されてきた中華料理店が、数年前店主高齢の為閉店。

そのお店一番のウリはあんかけ焼きそば。

そのあんかけ焼きそばをこよなく愛していた若者(ラーメン店経営)は、閉店の報に愕然。

   自分が好きな食べ物が世の中から一つ消えてしまう・・・

   小さい頃から慣れ親しんできたあの味を、もう楽しむ事が出来なくなる・・・

そう思った若者は一念発起!

「自分が食べたいから」

ただそれだけの理由で、元中華料理店店主に弟子入り。

なんとか理想の味に近づいたので、御自身が経営するラーメン店と同じ敷地内にある、

これまた御自身が経営するダーツバーにて発表。

そんな折、母親の実家がある河北町に仕事に出掛けた私。

お昼時、ふと、「小さい頃によく御馳走になったあの焼きそばが食べたいッ!」

そんな衝動に身体を貫かれ、

その欲求に動かされるまま八幡宮門前へ・・・・

そして・・・・


・・・・・・・・・・・


閉店の事実を知り・・・

茫然・・・・・。

身体全体であんかけ焼きそばを欲していた私は、やり場のない憤りに為すすべもなく車を走らせる。

「ワタシハ イマ ナニヲ タベレバ ヨイノダ・・・」

落胆の中模索していると、広い通りにさしかかり、ダーツバーの店先に 「あんかけ焼きそば」ののぼりを発見。

「コレハ!」

「マサカ!」

迷わず、しかしながら更なる落胆の危険性を感じつつ、でもかなり期待しながら入店!

結果は


ビンゴ!!


懐かしい味を堪能しながら、御主人の情熱秘話に感動!!



・・・というのが確か2年ほど前の話。

その後何度もおじゃましたいと思っていたのですが、なかなか機会に恵まれず、今日の日を迎えたのでした。



相変わらずグッドな選曲♪に心も弾み、いよいよブルドッグが見えてきました。

「待っててね! いま行くからね!」

心の中で十数分後に出会うであろうあんかけ君にごあいさつ。

と・・・・・・・・・・

「え”ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」

「日曜のお昼なのに・・・・・

                         休みって・・・・・・・」


日々コレツアーしょっぱなから頓挫。

ある意味今回のツアーの目玉であるあんかけ焼きそば。

その楽しみにしていたお店が事もあろうに 

お休み・・・。


「どーしてくれるんだよ 金返せ!」


と、心のバスの一番後ろに座っていたわがままオヤジが添乗員を叱責。

すわ暴動! 車内一触即発の危機。

が、


「calm down  calm down」


と、オーストラリアから参加のそばかす青年が平和的解決を呼び掛け、

更に


「こんな暑い日にあんかけもないだろーよ」


と、バス3列目に座っていたグループの調整役、物知りで人格者、

地域でも一目置かれているおじさん63歳が場の空気を察して助け舟を出し、


「そーいえば 河北町って 冷たい肉そば が有名なんじゃないの?」


と、打開策を提示。

添乗員ホッとして 「それでは
一寸亭へ」 と、ドライバーに指示。

「皆さま誠に申し訳ございません せめてものお詫びとしまして 肉そば大盛りとさせていただきます。」

とのアナウンスに車内沈静。



   



冷たい肉そばを堪能し、満腹となった事であんかけ焼きそばの亡霊も退散。

晴れて寒河江の慈恩寺様へ。




緑に囲まれた古刹は参拝者も少なく、蝉の声が響く境内は、静かな夏の空気で満たされていました。



   



梵鐘をつかせていただくと余韻が心に染入り、

あんかけ焼きそばで乱された30分前のさもしい自分をしばし猛省。



   



本堂にお参りさせていただき、



   



素晴らしい十二神将様がおられる薬師堂へ。

今まで、何度もお参りさせて頂きましたが、いつも何体かは海外の博物館などへ出展されており、

12体全て揃ったお姿を拝すのは初めての事。

私の生まれ年である卯神将の摩虎羅大将さんの躍動美にしばしウットリ。



ウットリの後は、以前、夏におじゃました折に感動的に美味しかった心太を頂きにお休み処へ・・


境内の片隅にあるひなびたお休み処。

薄暗い木造の店内に、テーブルと、ドーナツ状の座面にビニールが張ってある椅子という素っ気無さ、

かき氷 というよりは こおり水 を出してくれそうな雰囲気。

そんな風情のお店で、注文が入ってから突いてくれる心太に、

口に杉の葉がさしてあるガラス瓶から酢だまりを垂らし、

からしを効かせてチュルンといただくと風鈴がチリリン・・・・



・・・・・・そんなイメージで頭をイッパイにしながら、確かこの辺に・・

と、見渡せどオアシスは見当たらず。


「スミマセン 以前この辺にお休み処が・・・」

「あぁ あれねぇ 古くなったんで壊しちゃったの」

「エッ! じゃぁトコロテンは・・・?」

「あー あれ もうやってないの」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


ついに妄想バスツアー中最強おばさん登場!


「ちょっとアンタ どーゆーことなのよっ トコロテン無いんだったら買ってきなさいよ!」


と、古寺にそぐわないヒョウの顔が大きくプリントされたTシャツ姿で添乗員に猛攻。

妄想バスツアー統括責任者の私は、仕方がないので再度鐘をついて自己を省みる事に。

おばさんには後ほどナイショで 白くま を御馳走することで手打ちに。


気を取り直して一路温泉へ。

旅路を彩る沿道の蓮花に慰められながら。



             



ひまわり温泉ゆららに到着。


タオルと小銭だけを持ち施設の中へ。

裸になり、眼鏡を外し、浴場へ向かい、

洗い場のイスに座り、先ずはシャワーで汗を流して・・・

と、何気なく左の方を向くと、壁に付けられた鏡に己の左半身側面ヌード像が・・・。

そして・・・・・・・

己が腹部のビジュアルに唖然。

右隣のおじさんの腹が重なって見えているという裸眼ゆえの錯覚ではないのかと何度も確認。

・・・・・しかし

自前である事実を複雑な気持ちで容認。


「普通盛りにしておけばよかったのか・・・」


後悔先に立たず・・・・・。


なんとなくキテルんじゃないかとは思ってたんです。

でも・・・

ここまでキテルとは・・・


「なんとかせねば」


そんな思いで2つある湯船の熱い方に長く浸かるという受動的かつ消極的かつ刹那的方法にてお茶を濁す。

しかし、湯上りに性懲りもなく先ほど最強おばちゃんと約束した 白クマアイス を摂取。

長湯したのに結局 プラス マイナス プラス の結果を招く事に。

が、とりあえず忘れる事にして帰路に。


道端のひまわりが、



   



「予定通りにはいかなかったけど、そーゆーのもアリなんじゃないのかな」


と、なぜか佐野元春風に語りかけてくれる。


「そーゆーのもアリですね」


私はそう答えてシャッターを切る。



            そーゆーのもアリですね!  

                            2010年7月25日




       




        People Get Ready














#239   ニャンコロジー  〜 follow me


こんにちは! 快適生活アドバイザーの じんべえ です。

毎日蒸し暑い日が続いてますねぇ〜。


  



そこで今日は、

そんな暑苦しい毎日を、出来るだけ過ごしやすく送るコツを

ナイショでチョットだけ発表しちゃいますネ!

  




コツといってもそんなに大げさな事ではないんです。

要は

〜居たいところに居る 居たくないところに居ない〜

ただそれだけの事なんです。

   



基本、年間を通して全裸の私ではありますが、夏場は自慢の長毛もうっとおしいかぎり。

サマーカットっていう手もあるんですが、私はちょっと・・・・・。

そこで私がやっているのが快適スポット探しなんです。


居住空間を歩きまわり、その時々で一番快適に過ごせる地点に身を置く事。

まぁ、私クラスになりますと、探すと云うよりは、自然に身体がそこに向かう、といった感じなのですが、

初めからそうはいきませんよね!

探す時のポイント、それは顔の高さです。

試しに私と同じ顔の高さになるように四つん這いになって部屋の中をウロウロしてみて下さい。

  




どうです?

普段は感じられない空気の流れや、湿度や温度の微妙な変化を感じることが出来ましたか?

前進する時に顔が一番前にあるので、顔についているセンサーがより敏感に反応してくれますね。

また、標高差による温度の違いも体感出来たのではないでしょうか?

感じる事が出来なかった方はガイド役のネコちゃんをお部屋で飼ってみるっていうのもアリですね!


さて、快適な場所は、季節や天候、時間帯によって様々です。

時には暗い押し入れの中、時には湿ったバスマットの上、そして時にはトイレの便座の上とか・・・・・

まぁ、その時々で快適に感じる場所はまちまちなのですが、

問題は快適スポットが見つかった後、

そう!そこでどう過ごすかが大きなポイントになりますね。

ここでも基本は一緒。

〜居たいところに居る 居たくないところに居ない〜

なのです。


人間誰しも・・・ 

じゃなかった、猫も含めた生き物全般、生きている限りいつも思い通りになるわけではありませんよね。

せっかく見つけた快適スポットでマッタリしてると、安穏を打ち破る暴君が現れたりするものです。

鼻の穴を指で塞がれたり、肉球をぷにゅぷにゅされたり、耳を折り曲げられ

「スコティッシュじんちゃん!」

なんていう極めて陳腐な遊びに無理矢理付き合わされたりすることありませんか?

そんな時我慢してはいけません。

迷わずその場を離れましょう。

離れてセカンドベストの場所に移動すればよいのです。

誰にもじゃまされない心地好い場所、その場所こそが、その瞬間あなたの寝室となるのです!


どうですか? あなたも猫的快適生活術でこの夏を乗り切ってみませんか!

あっ それから最後に、最近の私のお気に入りスポットを御紹介して終わりにしましょう。

それは・・・

  



北風が吹き抜ける戸口付近の板の間です。

誰も居ない日中の昼下がり、お昼寝に最高の場所なんですよ。

仰向けになると背中がヒンヤリして気持ちいいし、猫背も矯正されちゃうくらい!


サァーそれではよい夏をお過ごし下さいね!

快適生活アドバイザーの じんべえ でした!!

                       2010年7月10日



  





    ♪Peter Frampton








#238   !  〜 figure out


仕事の上で様々な分野の職人さんとお話する機会があります。

【何かをお願いする】 という前提でお話をさせていただくわけですが、

一通りこちらの状況や希望を御説明させていただいた後の


「・・・・・・・・」


しばしの沈黙。


「果たしてどんな答えに導いていただけるのか・・・」

そんな不安と期待がジリジリと胃に伝わる、なんともたまらない時間を経て、

職人さんの口から発せられる言葉。


思いもよらない答えに 「自分はなんと難しく考えていたのだろう」 と驚く事や、

考えもしなかった問題点に気付かされ、己の浅はかさに反省する事も。

その道のプロの観察力、洞察力、判断力には

「さすが!」

と、いつも心の中で拍手を送らせていただいております。

そしていつも思います。

「沈黙の時の頭の中を観てみたい!」 と。


「んー」

と唸りながら中空を睨む職人さんの頭の中で、どんな事が起きているのか?

経験という蔵書から最適な一冊を選ぼうとしておられるのか・・・

それとも、沢山の引き出しを片っ端から開けて、その中にあるものと結び付けて可能性を模索しておられるのか・・・

はたまた、どこからかやってくるインスピレーションを待って頭を空っぽにしようとされているのか・・・。


頭の中は観ることは叶いませんし、その思考回路を盗むことも出来ません。

でも、

導いて頂いた答えからはいつも学ばせていただいております。

                              2010年7月7日





      








      KC And The Sunshine Band








#237   裏方 〜 Heroes





   









   









   









    









   









   









    









      QUEEN with David Bowie






          2010年6月28日










#236   co-operation 〜 L・O・V・E


マイケル・ジャクソンの映画 This is it が公開された昨年秋、

さしてファンではないながらも映画館へ足を運んだ同い年の従兄弟が

「素晴らしい! 気付くと身を乗り出して観ていた。」

と興奮気味に語ってくれました。

その興奮の様子に、同じくさしてファンではない私は、

「観てみようかなぁ〜 でも少し経ったらDVDでも観れるしなぁ〜・・」

などと悠長に構えておりました。 

と、あっという間に公開の期間は過ぎてしまい、

「おもしろかった!」

という巷の多くの声に、いくばくかの疎外感を感じつつも 

「まあ いつかは観ることになるでしょ」 くらいの気持ちでおりました。


時は流れて今年の1月。

出張で訪れた上海。

日本人が多く住まう地区にある在留邦人向けDVDショップで 「This is it」 を見つけました。

値段も日本よりかなり安く、「とうとう観る時が来ましたね!」 という感じで迷わず求めました。

帰国して自宅に戻り 「手に入れました!」 と家族に伝え、早速の観賞会。

生い立ちや、これまでの活動の様子がドキュメンタリータッチで描かれた冒頭部分に、

「なるほど、けっこうオーソドックスな構成なのね。」などと期待を膨らませつつ観ておりました。

が、一向にだらだらと同じような映像が・・・・・・・

「なんか 聞いてたのと違うなぁー」 

「公二君(従兄弟)はコレのどの部分に心を動かされたのだろう?」

「身を乗り出すほどのものかなぁ〜」

そんな感想を述べあいながら、しまいには早送りする始末。

とうとうエンドロールが流れたところで

「つまり・・・」

「これは・・・」

「そうじゃない・・・」

英訳すると

This isn't it

買う時確認するべきでした。  Is this it? と。

パッケージもそのままだったのになぁ〜・・・   ある意味レアものかもしれませんが・・・


そんな事が反動となり、私を含めた家族の 「This is it」 に対する興味は加速度的に減退しました。


さらに時が流れて、先日。

今更と申しますか、ようやくと申しますか、本物を観る機会に恵まれました。

身を乗り出す気持ちがようやく解りました。

映画館の大きなスクリーンで観たら尚更の事でしょう。

ダンスや歌や演出は言わずもがなですが、

特に、この映画を 「ものづくり」 という視点で観ると、とても興味深いシーンがたくさんありました。

編集による演出や、カメラが回っている上での事、というのもあるのでしょうが、

伝わってくるものがストレートで素直に感動出来ました。


バンドに細かな指示を出した後のバンドへ投げかけられたマイケル・ジャクソンの言葉


「全ては愛のため」


全ては僕のため  ではなく

全ては音楽のため  でもなく

全てはお客さんのため  でもない。


「全ては愛のため」


「細かい事を言ってうるさく聞こえるかもしれないけれど、全ては愛のためだから・・・」

という、バンドのメンバーに対する「愛」が感じられるとともに、

良いものを一緒に作っていこうというモチベーションが高まる素晴らしい言葉だと思いました。


又、監督がダンサーに伝えた言葉も印象的でした。

「君たちはマイケル・ジャクソンの延長(extension)なのだ!」

分身 ではなく 延長 という表現がおもしろいと思います。


超一流の人々がマイケル・ジャクソンの延長として愛の名のもとに集い、

同じ気持ちで一つのものを作り上げてゆく様子は、感動的で何度観ても心を奪われます。


この映画を観てマイケル・ジャクソンへの感じ方が変わりました。

                                     2010年6月23日




        
Is this it?   No,this is not This is it!





       ♪I Want You Back   I Want You Back    ♪I Want You Back







#235   円  〜 no matter where we go


出張で訪れた上海。

仕事を終え、一人街へ。

ふと、初めてこの街に来た時に宿泊したホテルに行ってみようと思い、足を延ばしてみました。


20数年前の中国では、フリーの外国人が宿泊場所を探すのはとても困難な事でした。

部屋があるのに泊めてもらえない。

何軒ものホテルに断られ続け、疲れ果て、ロビーの椅子にぐったりと憐みを乞うように座っていると、

「ハァ〜 ショウガナイネェ〜 イマチョウドヒトヘヤアイタカラ アナタニアゲマショウ」

そんな駆け引きの末にようやく一夜の宿を確保。 

そのホテルもそんな風にしてやっと泊ることが出来た場所でした。



「ここだ!」



        



変わらない外観に懐かしさを覚えロビーに入ると、

これがクラッシックで、なかなか高級感漂う風情。

記憶の中のホテル内は、薄暗く陰気で、色の感じられない、高級には程遠い雰囲気で、

一階の奥のホールがドミトリーになっており、

仕切りのない空間に、ただただベッドがたくさん並べてあるという感じだったのでとても意外でした。



        



今回そのホールに足を踏み入れることは叶いませんでしたが、

20数年前の旅で出会った人々の事が思い出されました。


ドミトリーで知り合い、しばし行動を共にした香港からのバックパッカー。

復旦大学の招待所を紹介してくれたおじさん。

その招待所で中国語を駆使して麻雀をしていた日本人留学生。

「僕は将来政治家になるために中国で学んでいます。」と言っていました。

駅で切符が買えず困っていると親切に切符を調達してくれた二人組。(後に彼らの目的は両替である事が判明)

食堂で食事をしていると、「私たちの硯を見て下さい」と、いきなり売り込みを始めた端渓からやってきたという商人。

露店で饅頭が買えないでいると、「これが無いと買えないわよ」と、糧票という配給券をくれたおばさん・・・・・・


親切にしてもらったり、少しだけ騙されたり・・・

20代前半のとても良い思い出です。


一人旅は、自分という「点」と、見知らぬ土地で出会う見知らぬ人たちという「点」が結ばれるスリリングな体験。

点と点が結ばれ線になり、思わぬ展開で面に発展したり・・・


思い出に耽りながらホテルをあとにし、又あてなく街を歩きはじめると、

2年ほど前に家族5人でこの地を訪れた時の事が頭に浮かびました。


その時に感じた、一人の時とは確実に違う感覚。


何度も来た事のある場所が、家族と一緒に在る事で、まるで違った印象に感じられたのでした。

極め付きは、いつも泊っているホテルで朝食をとっている時の事。

ふと、席の並び方がいつも自宅の食卓を囲んでいる時と同じであることに気付き、

「まるで自分の家で食事をしているみたいだ」と、妙な錯覚を覚えたのでした。


家族一人一人という点は、いろいろな局面で様々な結ばれ方でつながり、

さまざまな形の面を形作るものですが、ひとたび食卓を囲み円になると、

何処に在ってもその円の中や周囲は家族になってしまうのだと感じました。


「また家族で旅ができたらいいなぁ〜」

そんな事を想いながら軽く道に迷ってしまった異邦人なのでした。

                     2010年6月18日 長女17歳の誕生日に





          
  2006年奈良にて




              ♪Song Around the World








#234   温馨提示  〜 self-conscious


コンビニのトイレなどで目にする独特な表現。


  「キレイにお使いいただきありがとうございます!」


今から使わせていただこうという身には、

「自分の家ではない所へおじゃましている・・・」 という引け目と、

「まだ使っていないのに、既に礼を言われている・・・」 というプレッシャーで、

「失敗は許されまい。 もし失敗の暁には現状復帰以上の覚悟をもって事に当たらねば・・・」

そんな気持ちにさせられる、なかなかの名文句だと思います。


さて、下の写真。



      



上海の高速道路のパーキングエリアで入った男子用トイレの、男子一人一人が、 

「さて、それでは・・」

と歩み寄った時に、ちょうど目に入るところに貼ってあったステッカーを撮影したものです。


文明人と思われたい私は気付かれないよう控え目に半歩前に出ました。

                                       2010年6月16日





            

      こちらは節電を促す貼り紙。「節約用電」 字を書く労力も省エネ。





            Madness        The Police











#233  Vinyl 〜 tools and toys


再び針を下す日が来るかどうかはさておき、

自分で求めたアナログレコードは、捨てたり売ったりせずに手元に置いてあります。

たまに押し入れからひっぱり出してはジャケットをながめたりしていますが、

現在わが家は、レコードを再生できる状態にありません。

長男が生まれるのを機に、オーディオ機器はあらまし整理したのでした。

子供たちが大きくなった今

「またあの懐かしい音色を・・・」

と、思うことはあるのですが、未だ実現していません。


思い出してみると、レコードを聴くという行為は、ちょっと儀式めいた気分を伴うものでした。

アルバムを選び、ジャケットからレコードを恭しく取り出し、ターンテーブルに載せ、厳かに針を下す。

CDやIpodの様に、曲をとばしたり、自由に選曲出来ない分、じっくり楽しもうという気分が強かったように感じます。

それは いちいち腰を上げるのが面倒だから というのも理由の一つであったかもしれませんが、

その面倒な部分が今となっては、なんだか豊かにも思えてくるのは、便利さを享受している者の奢りなのでしょうか。


星新一氏の作品で、蚊が絶滅した社会のお話がありました。

蚊がいなくなって快適にはなったものの、蚊に刺された後の痒みと、その部分を掻く感覚が忘れられずに、

わざわざ部屋にロボットの蚊を飛ばし、蚊から刺される快感を味わうという内容だったと記憶します。

この先、電子書籍なるシステムが普及し始めると、

〜指を舐める感覚を味わうための紙の書籍〜 などというものが現れるのでしょうか。



所ジョージ氏があるテレビ番組で、車について語っているのを聴いて ナルホド と思いました。


「狭い道路を、少ない燃料で安全に走る事を追求した日本車は、

移動するという目的を果たす道具としては確かに優秀だと思う。

そういう観点でかつてのアメリカ車を評価すると、

どう贔屓目に見ても日本車に分がある。 でも、

ひとたび古き良き時代のアメリカ車を おもちゃ として捉えてみると、そのなんと魅力的な事!」


車に留まらず、そんなものの見方を色んな事に当てはめてみる遊びも面白い事だと思いました。

例えば「英語」。

伝達の道具として学ぶのではなく、より多くの人と遊ぶための おもちゃ として付き合ってみる。

そんな風に捉えた方が楽しいし、やりがいがあるだろうと想像できます。



さて、ロボットの蚊を飛ばすような気分で、

居間にレコードプレイヤーというおもちゃを置いてみたい希望はあるのですが、

唯一手元に残るカートリッジでさえ針を失った状態。

それに・・・・・

子供たちは大きくなったものの、わが家には、

毛むくじゃらな上に、動くものにはちょっかいを出さずにおれない習性を持った生き物

約一匹生息している事をすっかり忘れておりました。

                                        2010年5月31日





      




          Wait for me    Daryl Hall & Todd Rundgren







#232  耳を澄ませば 〜  open the door


   ♪こーわくないっ あ あん あん こーわくないっ あなたとだったら何でもできるぅ〜♪

小学校3、4年の頃でしょうか? 私と友人は夕方、遊びからの帰り道、真っ暗な墓地にさしかかると

勇気を出すためにこの歌謡曲♪を大声で歌ったものでした。

歌詞の意味など全く考えようともせずに。


今、あらためて歌詞に耳を傾けてみると、すっかり汚れてしまったおじさんのハートには、

この曲を作詞したおじさんが意図したであろう世界観がとても良く伝わってきます。

まったく・・  年はとりたくないものです。



さて、あまり意味など気にせずにいた耳馴染みの曲が、

何かのキッカケで自分の中で輝き出す瞬間があります。


少し前の事、私の中で、ある曲が響き始めました。

そのキッカケは、テレビ番組のアカペラ大会で、あるチーム♪が歌ったその曲を耳にした事でした。



     遠い過去よりまだ見ぬ人生は 夢一つかなえるためにある

     君は気付くでしょうか? その鍵はもう 君のてのひらの上に



以前から知っていた曲ではありましたが、

彼らの歌声を聴いて、初めてこの曲が私の心の中で動き出したのでした。

想像の域を出ませんが、この曲は
作者が、自身の子供さんへ向けたメッセージなのでは・・・・


私も最近、3人の子供たちの進路について考える事が多くなりました。

この歌のようなエールを贈ってあげられたらいいなと感じます。

                                 2010年5月28日




        




              明日晴れるかな










       おしらせ

 家具工房モクの渡邊さんの個展のご案内です。



   〜渡邊英木 木の家具展〜 

 ■日時:5月28日(金)〜6月1日(火) 11:30〜18:30 ※最終日17:00まで

 ■会場:ギャラリー杜間道(とうげんどう)  メディアテーク隣
 


 県産の胡桃、栗、楓、楢などの無垢の木を使用して

 自分の手でカタチを変えていく木に夢中になって22年が経ちました。

 これからも自分自身のストーリーを辿っていけるような家具を制作して行きたいとの思いで、

 仙台にて個展をさせていただくこととなりました。

 家具、古材家具、小物などの木のぬくもりを 肌で感じとっていただけますようご案内申し上げます。           

                                                           渡邊英木



    



    家具工房モクhttp://kagumoku.exblog.jp/    ギャラリー杜間道http://www.tougendo.jp/










#231  時をかけるおじさん 〜  Oh! REDIO


端午の節句の兜飾りを仕舞うために蔵の二階へ。



      



そんな機会にしか登らない場所ですが、

登った時はいつも物色するのが常で、いつも何がしかの発見があります。

今回気になったのは古い真空管ラジオ。

ずいぶん前に、姉の嫁ぎ先の御舅さんから父が授かった品。

久しぶりに電源を入れてみました。


洒落たカタチのプラグをコンセントに差し込み



       




「あれ? こわれてる?」

と、不安になるくらいの間が空き、ようやく何か微かに聞こえはじめました。

しばらくして真空管が温まり安定すると、かなり鮮明にローカルのAM放送が鳴り始めました。




    



「爽やかな季節になりました。こんな曲が聴きたくなりますね!」

そんなDJの紹介に心の中で

「それはどんな曲でしょう?」

と訊ねると・・・

流れてきたのが・・・



     


      The Eagles



爽やかな季節に、薄暗い土蔵の屋根裏で、真空管ラジオから流れる中学の時に流行った曲を味わう。

何か色々な要素が綯い交ぜになり、単に懐かしいというのではなく、例え様のない気分になりました。

と、鼻腔をくすぐるラベンダーの香・・・


「って事はおじさん47歳はここで気を失ってしまうの・・・・?」


杞憂でした。

鼻腔をくすぐったのはばあちゃんのタンスから香る樟脳でした。

                          2010年5月21日





        




               T.Harada







#230  イイ写真 〜  Say cheese!


運転免許の更新で訪れた交通安全センターの掲示板に大変魅力的な写真を見つけ、

携帯で撮影させていただきました。

一枚目は


      



交通安全を呼び掛けるカモンくんグリリンの写真。

二人? 二匹? 二体? それとも二頭?

何れにしても相互の関係性の良好さと申しましょうか、

コンビネーションの良さが伝わってくるイイ写真であると思います。

ご陽気な雰囲気、盛り上げていこうという気概が感じられ、

見る者をハッピーな気分にさせてくれる一枚です。



続いて二枚目



        


一緒に掲示されていた新聞記事によると、お二人はおじいちゃんと孫娘の関係との事。

おじいちゃんの名前は、振子万造(ふりこ まんぞう)さん。

尾花沢市でスイカ農園を営み、グランドゴルフを愛する70歳。

一方お孫さんの名前は、振子真愛(ふりこ まない)さん。

山形県警察本部生活安全企画課という一回では覚えられないようなところにお勤めの女性警察官20歳。

お二人とも「人の好さ」が滲み出ている素晴らしい表情だと思います。

又、頭部以外はオリジナルの肉体でまかなうというエコな発想と、わかりやすいネーミング、

親子ではなく、おじいちゃんと孫という設定に工夫が感じられ、ちょっとファンになりました。

このコンビ、振り込め詐欺の被害防止を呼び掛ける広報活動をされているらしいのですが、

今年の2月14日に行われた、「ゆるキャラ雪中フリーキック大会」でも大活躍だったとの事。

ちなみにこの大会、他に 「雪ごろう」 「もとなりくん」 「紅太郎」 「ぺロリン」 「ダメ。ゼッタイ。君」

そしてなんと!前述の 「カモンくん」 も出場していたのでした。

そんなスゴイ大会が開催されていたとは・・・・・

                           2010年5月18日




            





                メジャー









#229  春のよろこび 〜  Spring has come


妻の実家から送られてきた山菜をおひたしでいただきました。

シャクシャクと歯ごたえが心地好いあいこと、香りが素晴らしいしどけ


口に含むと広がる春の味。

噛むほどに鼻にぬける山の香り。

しあわせの瞬間。


茹でた食材に醤油を垂らしただけなのに・・・

「冬の終わり」を一緒に味わっているからでしょうか・・・

その美味しさと言ったら・・・・

                      2010年5月15日





  




       Dr. John







#228  Beauty 〜  She is on duty


一番大切な事は、本来の責務をきちんと果たすこと。

そして、その責務を果たす上で、心地好くあることも重要。

さらに、周囲とうまく解け合い、声高に存在を主張せず、美しくある事も又お役目のひとつ。




     




旧山形県庁舎文翔館の、上下にスライドする多くの窓のほとんどに取り付けられている錠。

実際に錠をかけてみると、ツマミは指に程好く馴染み、

最後まで回す手前あたりで指先に伝わる抵抗感が心地好く、なんとも魅力的な感触。


機能だけを優先させた味気ないものではなく、

かといって、機能がないがしろにされた見映えだけのものでもなく、

調和の中でしっかりと役目を担っている姿が眩しくさえ感じられました。

この錠の様な人がいたら、きっと多くの人の尊敬を集める事でしょう。


自宅から歩いて5分の文翔館

ふと思い立ち、カメラをかかえておじゃましてみました。

そして出会った美しい錠。

自分が生まれる前からずーっとそこに在り続けているというのに・・・・・

今日が初対面。

そんな事が身の回りにもっとないかと自問してみる日曜の夜です。

                            2010年5月9日





                






              LINDA RONSTADT









#227  のたり 〜  in peace and quiet


封印を解かれ、おじさんの懐から現れたマジックドラゴン ヒネモス。

芳香を放ち西の空へ・・・

                        2010年5月4日






          








                Johnny Cash










#226  ひらり 〜  Have You Never Been Mellow?


春風に運ばれ、ギャラリーの戸の隙間から迷い込んだ桜の花びら。

これを、ステキな誕生日の贈り物として捉えるというのはアリでしょうか?

ナシでしょうか?
                  質問者:山形市 今日がお誕生日 47歳 男性



     
「ナシです!(怒)



って、そんなに大きな声で言わなくとも・・・

って誰よ!?  ・・・・・・エ〜ッ! ヒツジ?

                         2010年4月30日



        







               ♪そよ風の誘惑








#225  フワリ 〜  pretty in pink


宗片さんは縮緬細工の先生。

当ギャラリーの楽書講座を受講されておられます。

先日の5周年記念ライブ(#219)の時は、ギャラリーに先生の作品を飾らせていただき、

文字通り花を添えていただきました。



        



その宗片先生から素晴らしいプレゼントを頂戴しました。

先生のデザイン、先生の手による香盒仏の巾着。

蓮のつぼみの形をした香盒仏に合わせて、蓮の花弁をイメージしてデザインして下さったとの事。

一目見るなり、その、やわらかな風合と、優しい色合に魅了されました。

宗片先生ありがとうございました。

今度、当社の社員が作り方を教わりに伺うとの事。

どうぞよろしくお願い致します。

                      2010年4月29日





       






            Bread







#224  煉瓦ノムコウ 〜  adventure in neighborhood


仲間と野宿をして迎えた朝、主人公が一人 野生の鹿 に出会う、映画「スタンド・バイ・ミー」のワンシーン。

「色んな想いを共有してきた仲間たちにも、その事だけは秘密にしておこうと思った・・・。」

爽やかな朝の緑の中での出逢いがなぜだか切なく、印象に残る好きなシーンです。



2日前の事。

ギャラリーにお越し下さったお客様がお帰りになり、ふと時計を見ると4時半。

「これはもしかして・・・」

ちょっとしたアイデアが頭に浮かび、我が家から徒歩5分ほどの文翔館へ。


建物の裏手にまわり、

ポツポツと落ちる雨が眼鏡に落ちないように下を向いて煉瓦の壁に身を寄せ、

耳を澄ますと・・・

カーテンで覆われた窓からかすかなピアノの音色が・・・

「いやいやこれは音響のチェックで違う人が弾いているのかもしれない・・」

と、興奮を抑えつつ今度は建物の反対側に。

すると、もう誰が何と言おうがあの方の歌声としか言いようがない歌声がうっすらと耳に響いてきました。


「この中で、あの方がリハーサルをしている・・・・。」


人影のない文翔館の裏手の壁の前で、

下を向いて雨に濡れながら一人ニンマリしている46歳、もうすぐ47歳男性の姿は異様であったかもしれません。

上記とは違った意味で 「この事は自分だけの秘密にしておこう」 と思いました。


矢野顕子2010 「ここが音楽堂!」 弾き語りツアー リハーサル盗み聴き大作戦。

普通のホールならそんな事は思いつかなかったのですが、コンサートの会場が
文翔館議場ホールという、

かつて山形県庁舎であったクラッシックな建物であり、それが御近所であった事からの思い付きでした。


コンサートがある事を知った今年の初めからとても楽しみにしておりました。


       あの頃の未来に 僕らは立っているのかな・・・


夫婦で味わったコンサートは あの頃 に想像したものを遥かに超えるハッピーな時間でした。



私だけの秘密は・・・・・

コンサートに向かう道すがら早々に秘密ではなくなりました。

                                         2010年4月25日





          




               
音楽堂      ♪綾鷹







#223  Yell 〜  messenger


自分が買い求めた物で、宝物と言えるものが一つだけあります。

そのたった一つの宝物は、宝物であるにもかかわらず、ここ6年のあいだ行方不明でした。

「家の中のどこかにあるはずだ」 と、折に触れ捜してはいたのですが、見つかりませんでした。

捜すのをやめた時、見つかる事もよくある話で・・・・・というのはホントの話で、

先日、違う捜し物をしている時に、偶然そのお宝との再会を果たすことができました。

大判の茶封筒に入れられたお宝が、菓子箱に入れられ、更に大きな段ボール箱に入れられていました。

大切に仕舞い過ぎていたのでした。


その物が本来の生を受け、次に違う形で役割を果たし、更に役割を変えて現在に至るまでの時間の中で、

6年という年月は ほんの一瞬 なのかもしれません。


そのお宝は、10年ほど前に法隆寺で求めさせていただいた香合。

法隆寺の建物を修理した時の古材でできています。

手の平にのる大きさの四角い古材が、木の繊維にそって割いてあり、

片方は蓋、片方は中央に半球状の窪みがつけられた香入れになっています。

蓋の表面と本体の側面は、かつて建築材であった時の様子を留めており、

ひとたび蓋を開けた時に現れる、割かれた木肌の初々しく潔い姿とのコントラストが見事です。





       





このお宝を段ボールに仕舞ったのは、新しい店舗に建て替えるための引越しの時。

その時にこの香合の小さな空間に込められた古い店舗の空気は、6年の時を経て今の空気と解け合い、

「初心を忘れないように」

と、私と、満5歳になった新しい店舗を励ましてくれたような気がしました。

                        2010年4月16日 長男18才の誕生日に





      





          ひまわり学年   ひまわり学年   ♪Aquamarine







#222  静かな夜に 〜  calm


撮りためたお姿の写真を元に、スライドショーを作ってみました。

写真は全て、当社ギャラリーにて撮影させていただいたものです。

静かな夜の雰囲気や、木の香りなどを感じていただければ幸いです。

                               2010年4月13日







                 ♪Calm











#221  よろしく哀愁 〜  melancholy


何気ない日常の光景が、見方によって奇異に感じられる事があります。

例えば飼い猫。

「ペット」というシステムや、その生き物に「ネコ」なんていう名前がついている決まり事を、

一旦無理矢理頭から除いてそのあり様を観察してみると・・・・・

毛むくじゃらの小さなトラみたいな生き物が、台所なんかを普通に横切ってゆく姿が、

「これって実は、かなり不自然な光景なんじゃないっ!」 

と、なんだかすごく可笑しく感じられたりします。

自分にとっても、猫にとっても、ごく当たり前の日常であるからこその可笑しさと言いますか、

双方、その関係性に全く疑問を感じていない事への驚きとでも言うのでしょうか。


さて、

猫などまるっきり霞んでしまうほどの異形の存在が、

いつの間にか家族に紛れ込み、

おまけに地域社会でも認知されている。

そんな馬鹿げた現象が日本では数多く見受けられます。

ロボコン、ドラえもん、おばQ、ハクション大魔王・・・・

数え上げればキリがありません。


私が好きなのは・・

ブースカ

こころよいけだもの と書いて、快獣ブースカ

魅力は・・・・・


哀愁。


彼の立ち姿、声、ほころんでいる様な肌の質感に触れると、

小さい頃に食べたヨーグルト味のキャラメルの甘酸っぱさが口の中によみがえってきます。

彼の後姿の映像に♪ちいさい秋みつけたなんかをかぶせたら泣いちゃうかもしれません。


とは言え同居するのはちょっとためらわれます。

じんべえくらいが程好い感じなのかもしれません。

魅力は・・・・・

んー・・・・・ 

貪欲さ?

           2010年4月7日



           




          「ぼく、ブースカれす。」

          Loggins & Messina





#220  Simply... 〜  That's it


関東での仕事を終え、自分へのご褒美に東京国立博物館へ。

外のお花見の賑わいに比べ、とても静かでゆったりとした館内。

今回気になったのが中国後漢時代の加彩舞人、楽人。

説明の英語表記は Musicians and Dancer 。

楽人の演奏で舞人が舞を披露している・・・これはカタイ感じ、

でも、ミュージシャンとダンサーのパフォーマンス・・・これなら友だちになれそう。


1800年前のミュージシャンとダンサー。

1800年前のリズムとメロディー。


「どんなだったんだろー・・・・」

急遽お三方のパフォーマンスにて脳内お花見敢行。



     



夕方山形に戻り、以前当社のギャラリーでダンスパフォーマンスをして下さった

加藤由美先生が主宰する
ダンススペースの発表会へ。

いつもながら大ホールを埋め尽くす求心力に敬服。

一番印象に残ったのは由美先生が振付された「自由をいつか」というパフォーマンス。

40人以上の様々な年代の女性が織りなす柔らかで力強い世界。

最後はバックのホリゾントが上げられ、ホールのコンクリート壁があらわに。

更に左右のそでの暗幕も上げられ舞台裏までもが・・・・。

全てを脱ぎ去ったステージでシンプルな照明に照らされ舞うダンサーたち。


幕間にプログラムを見ると、

 〜たくさん踊ってきました。 今も、ただ躍っていたいです。 自由に。 身体のおもむくままに。〜

という由美先生の言葉が。


ただ、自由に、おもむくままに。

                         2010年4月3日



             





             Donny Hathaway






#219  薫陶 〜  aroma


昨晩は、当社ギャラリーの5周年記念ライブが行われました。

満席のお客様と一緒に、ギャラリーという船でいろんな所に旅をしたような

そんなひとときでした。


音の響きと、響きが消え入る瞬間に訪れる静寂。


響きと静寂と感動は、香のようにギャラリーに浸透し、

ギャラリーもまた感動しているように思えました。


年度末という時期に、お忙しい中お越しいただいた皆様、

いろいろと運営にご協力いただいた方々、

そして、心のこもった最高の演奏で夢の時間を実現してくださった瀬木さん太郎丸さん

心から感謝を申し上げます。 ありがとうございました。


ギャラリー微笑庵は私共同様、皆様に育てていただいております。

これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。  合掌

                                 2010年3月27日





         





       SICAN 〜アンデスの風〜 ←瀬木さんの最新アルバム  試聴できます。 2曲目を聴くと旅に出たくなります!

       NASCENCA   ←太郎丸さん率いるブラジリアンバンドのアルバム 和みます。 5曲目が好き!



       Carpenters





#218  惜しみなく 〜  encourage me!


謹刻完成したお姿は、ご注文いただいたお客様に納入させていただく前、

しばし当社ギャラリーにてお休みいただくのが常です。

その間に最終的な仕上げを施したり、撮影をさせていただきます。

「もうこの場所でこのように撮影させていただく事は叶わない。」

そんな一期一会の気持ちで臨ませていただくのですが、

その思いが強ければ強いほど枚数も増えてしまうというのが現状です。

最近は単焦点のレンズを使用しています。

この単焦点レンズ、同じ場所にいながら対象に近づいたり離れたり出来るズームレンズとは違い、

自分が動かなければならない分、体力も気力も使うのですが、

それなりの事はあるのではないか・・・ と、自己満足しております。



さて、

唐突ですが、

「会いたいと思うた人間には 労を惜しまず会いに行く あいつの生き方の始まりじゃった。」 

先日のNHK 
龍馬伝 岩崎翁の語りにグッときました。

グッときたのでメモに残しました。

メモに残すだけではなく・・・・・

今日・・・

初めての・・・

楽書で・・・

書いちゃいました。

そのままだと長いので 「会いたい人には 会いに行く」と・・。

なんだか ひとぉーつ 会いたい人には会いに行くべし という備忘録みたいですが、

陽子先生にお願いしてお手本を示していただき、

あぶらしっこの分際ながら生意気に、ずいぶん前に求めた落款なども押したりして・・

「自分を励ます書」 完成しました。(陽子先生 突然の乱入失礼しました。楽しかったです!)



           



 〜労を惜しまず〜

お会いしたい気持ちが強ければ「労」とは感じないのかもしれません。

しかし、お会いしたいのだけれど

お忙しいのでは・・

ご迷惑なのでは・・

私のような者が・・

と、つい弱気になる事もしばしばです。


思っているだけではなく行動に移すこと。

ズームレンズのような便利さに甘んじる事無く、勇気を以って自分の足で動く事。


お会いしたい方、行きたい場所、知りたい事・・・・

単焦点レンズを心に装着し、労を惜しまず伺わせていただきたいと思います。

                               2010年3月25日




         




                     ♪Jimmy Cliff






#217  案山子 〜  guess


       ♪出囃子


えー お店番の暇つぶし  いっときおつきあいいただければと存じます。


えー 三月も半ばを過ぎ 花もほころぶ季節となりますと 卒業だ 転勤だ 入学だと

あまり関係の無いワタクシのようなものでも何かと気ぜわしい感じがしてまいります。

ま そんなこんなしておりますと始まるのが春の高校野球でございますな。

ワタクシなんざあまり興味がございませんで 

いつの間にか始まって いつの間にか終わってるなんてぇ事もよくございます。 

しかしマニアのみなさんはたいしたもんですな。

やれ 今年のどこそこのピッチャーは超高校級だ!

やれ あそこの監督は以前なんちゃら高校の監督だった

なんてね

えー スゴイ人になると自分で全試合スコアーつけてたりしてね

まあ 人それぞれ熱中する事があるってぇのはいい事ですな。

ま しかし、いつも思うのが 「いつ追い越したんだろう?」 ってぇことですな。

子どもの時分、高校球児のおにいさんたちは そりゃあもう本当にオトナに見えたもんでございます。

帽子をとるとこう五分刈の頭に汗が光ってましてな 

日焼けしたニキビ面も妙に凛々しく見えたものでございます。

「あー 自分もいつかあんなニキビ面のおにいちゃんになるのかなぁ〜」

なんて思っていたのもつかの間

あれよあれよと時間が過ぎてご覧の通りの有様でございます。

でももしかすると精神的にはまだあの頃の高校球児を追い越していないんじゃないか?

なんてぇ恐ろしい事を考えたりもするんでございます。



おーい いるかい?


おぅ どーしたい またカカアと喧嘩かい?


違うんだよ 今日はそうじゃないんだよ まぁ聞いておくれよ

うちのせがれの事なんだけどね


せがれ? せがれってぇーと上のせがれかい? いくつになったい?


いやこの春で高校3年になるんだけどね


ほー高3かい 人んちの子はぞーさないもんだな


いやそれがネ 別にこのせがれがどうって事じゃないんだ・・


じゃあけっこーな話じゃねーか


まぁ まぁ 聞いておくれよ

高3っていやーあと1年で卒業だろ

進路をどうしたもんかってね・・


進路? 進路っておめぇー そりゃーおめーが決めることじゃねーだろぉ

自分の進む道は自分で決める それが道理ってもんじゃねーか


いやさ それはおれだってそー思うさ

でもな アドバイスって事だってあるだろよ?


アドバイス? おめーがか?

かぁー こいつぁー聞いてあきれるぜ

・・・聞いたぜ こないだ おめーのかみさんから

おめー中学の頃 先生に「何になりたい」って訊かれて答えたそーじゃねーか 流れ者 って


あっ あのやろー よけーな事ふれまわりやがって


その流れ者って答えたおめーがだよ どの面下げてせがれにアドバイスしよーってんだい?


まぁ おれだって偉そーな口きけた身分じゃねーって事は百も承知さ

でもな どっちに進むかでいろいろ変わってくるわけだろ進路ってのはよ

それに世の大人たちはみなして 夢を持て の大合唱じゃねーか


世の中? まぁ世の中見回してみる事は大事な事だな

でも最後に決めんのは自分じゃねーのか?

おめーだってそーだったんだろ?


まぁそーなんだけどな・・


まっ おめーもいつの間にかそんな事を思う年になったって事よ

あっそういえばこんな曲聴いた事あるかい?


    〜♪ポチッと♪〜


おっ! いいねぇー さだまさし の かかし じゃねーか

おれはこの 城跡から見下ろせば・・・ って景色がこうパーッと浮かぶところがたまんなく好きでねぇ〜


へーそうかい そんなら話は早いや じゃあ訊くけどな 

おめーにとってこの曲ん中に出てくるかかしは誰だい?


誰だいって? かかしがかい?  えー!そんな事考えてみた事もねーな


いやいや おれが言いたいのはどんな気持ちでこの歌を聴いてたかって事なんだよ


どんな気持ちで・・・・ この歌を・・・?

そりゃーおめーやっぱりこんな風に心配してくれる親兄弟はありがてーって事じゃねーのか?


ま、そーゆー事だな


そーゆー事? そーゆー事ってなんだよ?


ちゃんとおめーの中に答えがあるじゃねーかって事だよ


おれの中に? 答えが?


いいかい おめーはたぶん今までこの歌ん中のかかしはお前だと思って聴いてたのさ

だけどよ 年ぃ重ねて せがれも大きくなって いつの間にかそのかかしはせがれになってたってことなんだよ


せがれが? かかしに? 田んぼでかい?


いやこれは喩え話って事よ

おめーもいつの間にか心配される方から心配する方になってたって事さ


ふーん なるほどねぇー


ふーんっておめー わかってるのかねほんとに

いいかいよく聞けよ おめーが田んぼのかかしだった頃 おめーのおとっつあんやおっかさんが

おめーに何をしてくれたかよーく思い出してみなって事なんだよ


おれが田んぼのかかしだった頃? おれ・・・いたのかい田んぼに?


かぁー おめーはつくづく飲み込みの悪いやつだねぇ

いいかい 平たく言うとだ おめーがしてもらった事を おめーもせがれにしてやれって事なんだよ


・・・・・・・・・・・


なっ そこに答えがちゃんとあるじゃねーかってことさ


・・・・・するってぇーと何かい 今までおれはかかしだったけどこれからは人間様って事かい?


まぁそれは喩えってもんよ


喩えでもなんでもいいや おめーにはなしてなんか気分が楽んなったわ ありがとよ



おーい おっかあ 今けーったよ 


なんだいおまいさんずいぶんご機嫌だね


いいかいよく聞けよ めでてー話だ 今日からおれはかかしから人間になった。


かかしから人間って・・ あんた悪いもんでも喰ったかい?


馬鹿野郎 おれは正気よっ こんなにめでてー事ってあるかよ


かかしから? 人間になって? 目出度いの?


馬鹿だねーおめーはまだわかんないのかい?

かかしから人間になって何がめでてーってよっ


何が目出度いの?


すねが2本になりました。

       RCサクセション

                 2010年3月20日




     





         案山子






#216  拝啓 5年前の自分 〜 Can you dig it?


   情熱を伝染させる

   形容詞にする事で想いのエッジがとれてしまう

   作る(あせり)のではなく 醸し出す(引き出す)

   強い 弱い 上手い 下手 ではなくそれに向き合う時に生まれる心のありよう = 道

   Ask for it!

   指示するのは誰?

   全ての対外的な事象をプレゼンテーションとして捉える

   趣味と趣味 ホビーとテイスト 目的と目標

   自信は伝染する 不安も伝染する

   店舗の人柄

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


久しぶりに出会うこれらの言葉が、たくさんの反省を伴いつつ

新たな希望の種をもたらしてくれました。


事務所の机周りを整理している時、ふと手にとった古い手帳。

そこに記されていたのは日々の予定のほかに、

実際の会話、本や雑誌、テレビなどで出会った「気になる言葉たち」。

それらを眺めていると、その時々で何を感じていたかが甦ってきました。

そして、かつての自分に叱咤されたり励まされたり。

でも中には、字の汚さと表現の曖昧さ、記憶力の無さから、全く何のことか分からない、

『再構築不可能な断片の羅列』なども見受けられます。

などと思って手帳を見ていると目にとまったのが次のような記述。


    アイデア→メモ→後で見る→ニアンスの違い→思い出せない→自分と自分のすれ違い


「Oh!今感じている事がココに書いてある!」 ガシッ!(数年前の自分と握手)

進歩が無いというか、相変わらずというか・・・・・・

でも、この流れに上記の 

「形容詞にする事で想いのエッジがとれてしまう」 

というエッセンスを数滴たらしてみると・・・・・

その時感じていた事がメモから再現できないのは、字が汚いからでも記憶力が無いからでもなく、

エッジが取れないように細心の注意を払っていたから・・・・・

という事には・・・・・・

なりませんネ。



 高校野球 → 案山子 (5年前ある日のメモより)


拝啓 ありがとう 5年前のあなたに 訊ねたい事があるのです。

高校野球とは何で 案山子との関係は何か 問い続けても・・・・・

まったく思い出せないのですけど・・・


                     んー気になる・・

                          2010年3月17日




         




            Boston






#216  いぬもあるけば 〜 Have a good time!


よく勘違いをされます。


いつも行くホームセンターでの事。

商品棚に向かって物色していると、

「物干し竿どさあっべ?」   =物干し竿はどこにあるでしょう?

と、知らないおばあちゃんに突然訊かれました。

あまりの確信的な佇まいに少々気圧されつつも、

「真っ直ぐ行って突き当たりです。」

と教えてあげました。

「ありがどさま」   =ありがとう

と、感謝していただきました。

私はその時、緑色のジャンパーを着ていたのですが・・・

そのホームセンターのユニフォームは赤のジャンパーなので、

どこをどう間違えられたのか大変興味深いところでした。



友人の結婚披露宴での事。

祝宴もたけなわ、席を立って円卓の間をすり抜けトイレに向かおうとすると、

赤ら顔でゴキゲンな様子のおじいちゃんから

「にいちゃん焼酎ば水割りで持てきてけねがい?」   =焼酎を水割りで持ってきてくれない?

とのご依頼をいただきました。

私は 「かしこまりました。」 と言って先に進み、ボーイさんに

「あそごのじいちゃんさ焼酎の水割りもてってけろ、あっいぎなり濃いぐしてね!」

=あそこのおじいちゃんに焼酎の水割り持っていって下さい。 あっ思いっきり濃い目でね!

と告げ、トイレに向かいました。

しばらくすると、そのおじいちゃんのボルテージは最高潮に達しておりました。



上野駅東北新幹線のホームでの事。

私はベンチに座り、山形新幹線の到着を待っていました。

すると遠くから、かなり気合の入った Theヨソイキ という感じのおば様が、

キョロキョロしながら不安げに歩いてくるのが見えました。

なんとなく目が合ってしまい、そのおば様は吸い寄せられるように私の隣の席に座り、

「あのー スミマセン これはこのホームでいいんでしょうか?」

と薄緑色の切符を私に示しながら訊ねてきました。

わたしは、 「自分も同じのに乗りますからここで間違いありませんよ」と答えました。

するとおば様は大きな Theハンドバッグ という感じのバッグをバコッと開けて中から手帳を取り出しました。

なにかメモでもとるんだろうなーと思って見ていると、

「あ、ちょっとスミマセン」

と言って私の太ももの上に手帳をのせて、何かを真剣に記し始めたのでした。

「アハハハ・・・・」

という微妙なリアクションしか出来ない私をよそにおば様は、

「これでヨシ!」といった感じで手帳を閉じ、ホームの奥の方へ消えていったのでした。

私の大腿部が記帳台と勘違いされたという楽しい出来事でした。


このような事は枚挙に遑がありません。

いちいち憤慨していると損なので楽しむようにしています。

                     2010年3月14日




       



 

          Captain & Tennille







#214  道程W 〜 Pride


「やった! 楽勝!」

対戦表を見て私は、チームメートにガッツポーズをして見せました。

一回戦の相手は、小学校の時に一度対戦して勝った事のある選手だったのでした。


高校で入部したのは、小学校までやっていた剣道部。

新人戦の時を迎え、3年ぶりとなる試合を前に、緊張よりも期待で胸が一杯でした。


その期待の一試合目が終わった時、

私の天狗の鼻は根本からごっそりと、えぐれる様に折れていました。

秒殺されたのでした。


試合前の期待は、能天気な慢心であった事を思い知らされました。

いい気になっていた自分が恥ずかしく思えました。

3年の間みんな努力していたのだ・・・・

そんな至極当たり前の事すら分からないでいたのでした。


それ以来、謙虚に稽古に励むようになりました・・・

と、自分で言うのはあまり謙虚な感じがしませんが、私なりに頑張っておりました。



2年のある日、OBがやって来て

「今度の総体予選は、部内で試合をしてその結果を元にベストメンバーで臨む。

学年は一切関係なし、試合をするからにはチームメートであろうが、先輩であろうが遠慮は厳禁。

手を抜く事は逆に相手に対して失礼千万。全力を尽くして立ち向かう事。」

というような事を我々に告げました。


それからというもの部内に妙な空気が漂い始めました。

特に、2年の我々と3年の先輩たちの間には嫌な緊張感が生まれ、

稽古後の部室の中からは、いつもの賑やかさが失せました。


数日をかけての選抜試合が終わり、OBから選手が発表される日。

部内にはやはり重苦しい空気が漂っていました。

そんな中、スタメンとして選ばれたのは3年生から2人、2年生から3人の計5人。

その中の一人が自分でした。


翌日の稽古の前、部室に向かうと、

「3年生が話し合いをしているので中に入らないで下さい。」

と、先に来ていた1年生に告げられました。

我々2年生は、

「きっとこれは、どんなヤキ(制裁)を入れるかを相談しているに違いない・・」

と、怯えました。


今はどうか知りませんし、当時も部活によってあり方は千差万別だったと思いますが、

我々の部では、先輩の存在は絶対であり、先輩が白といえば黒でも白であり、

その上にOBが神として君臨しているというヒエラルキーでした。


我々は部室の外で 「やばい事になった。」 と、思いつつも、

正座 ⇒ 恫喝 ⇒ リンチ ⇒ 正座 ⇒ 恫喝 ⇒ リンチ

というエンドレスな流れを頭の中でシミュレーションし、覚悟を決めようと皆で励ましあいました。


しばらくして部室の戸が開き

「2年生全員中に入れ」

と3年生に告げられました。

私は顔面の損傷と眼鏡の損傷を防ぐためメガネを外しました。


6人ほどの3年生が並ぶ前に正座した我々は、既に「物になる」準備が出来ていました。

S&Gのアイ・アム・ア・ロックではありませんが、物は痛みを感じません。


スタメンでもある部長が口火を切りました。

「てぇめーら2年コの分際でふざけた真似しやがって・・・・」

そんな言葉を想像していた我々に投げかけられたのは、

意外にも穏やかな口調で語られた以下のような言葉でした。


「お前らも承知の通り、俺たちにとってこの大会は最後の大会だ。

メンバー選出の方法はOBの考えた事だが、俺たち3年生も納得の上での事だ。

だから結果に関しては3年生一同皆受け入れている。」


次にスタメンにならなかった先輩が発した言葉はハッとするほど意外なものでした。


「最後の試合に出れないのは正直言って悔しい、でもみんなで話し合って

スタメンでない俺たちも一緒の気持ちで大会に臨もうって事にした。

大会に向けて俺たちも一生懸命稽古する。

もし俺たちにできる事があったら遠慮しないで何でも言ってくれ、

俺たちは全力でチームのサポートに徹するつもりだ。」


我々はボコボコにされる恐怖から開放されホッとしたと同時に、

先輩方の度量の大きさに触れ、自分達の小ささを恥じました。



高校時代、先輩方が我々年下の者に示してくれたその心意気は、

今でも私の中に暖かいまま残っています。

                 2010年3月8日





        





 
               ♪Crosby Stills & Nash








#213  道程V 〜 Face it


中学で私は、陸上部に在籍していました。

小学校の持久走でクラスの上位になったのが入部のきっかけでした。

そんな事から希望の種目は2000m。

400mのトラックを5周する競技でした。


小学校では剣道をしていましたが、陸上部に入って感じた事は、

どんな競技でも真面目にやれば辛いという事でした。


辛いながらも先輩や同輩との繋がりを感じ、楽しい部活動の日々を送っておりました。

が、2年になると思うように記録が伸びなくなり、チームメートとの差もひろがり、

だんだん自分に負けてしまう事が増えはじめました。

そんな自分に嫌気が差し、走る事自体が辛くなるという悪循環に陥ってしまったのでした。

そんな中、当然良い結果が出るはずもなく、3年の中体連前に顧問に告げられたのは

「・・・・・・2000mのエントリーは以上、原田は・・・・んーハードルにでも出てみるか?」

という救済措置でした。

種目によってエントリーの制限があるため2000mには出してあげられないけど、

うちからは誰もエントリーの無いハードルなら出してやれる。最後だし何にも出ないよりはいいだろう。

という事だったのだと思います。

私は、チームメートの中でキューッと小さくなっていく自分を感じました。

「よりによってハードルなんて・・・・・  一度もやった事無いし・・・・」

そう思いましたが反論や拒絶は出来ませんでした。

2000mのエントリーから外れた事も、顧問からハードルと言われた事も、

納得できるだけの要素が自分のこれまでの行いの中にある事は、認めたくないながらも分かっていました。


「やってやろう!」

そんな闘志は沸きませんでした。

流れの中で与えられた事を、こなしていく感じでした。

本番までの間、とりあえず体裁だけは整えようと思いました。

チームメートからは かわいそうな奴 と思われていたかも・・・・

というのは私の自意識過剰だったかもしれません。

みんな自分の事で精一杯でそんな事にかまっている暇はなかったはずです。


本番が近づいたある日。

元々身体のかたい私は、なれない動きや、無理な柔軟体操ですっかり腰を痛めていました。

体裁を整えるはずの練習は、すればするほど体裁を崩すものとなっていました。


どうしてよいのかわからなくなり、暗い気持ちで迎えた本番当日。

心は泣きじゃくっていました。

「棄権」

その2文字が何度も目の前をかすめました。

しかし、

「ここで棄権したらその先ずっと負けたまま」

そんな恐怖心もありました。


いよいよ本番。

2000mとは違う、初めて経験するクラウチングスタート。

必死で走りましたが、その必死で無様な姿にスタンドから笑いが起きたような気がしたのも

自意識過剰であったからなのか・・・


結果は最下位でした。

走り終えて陣地に戻ると、応援の同級生がニヤニヤしながら金網越しに

「カッコよかったよ」と声をかけてきました。

私には 「あんな姿を人前に晒すくらいなら、やらない方がマシだ」 と聞こえました。

でも、そんな声も全く気にならないほど、走り終えた私はすがすがしい気分で満たされていました。

それは、それまで感じた事の無い感覚でした。



それから何年も経って成人してからでしょうか、

ある日、父親から大きく引き伸ばされた写真を何枚か手渡されました。

初めて目にする写真でした。

そこには青い斜めのラインが入ったランニングを着、

顔をしかめて不恰好にハードルを越す自分の姿が写っていました。

「なんで?」

と思い、

「あー見たくない」

瞬間的にそう感じました。


それは、私の中体連の写真でした。

「この日は仕事で応援に行けなかったので、知り合いの写真屋さんに頼んで撮ってもらった。」

との事。

父も当時の私の気持ちを察し、その写真を渡す時期を計っていたのだと思います。

そんな父の気持ちはありがたいと思いましたが、その時は素直に喜ぶ事は出来ませんでした。


時が流れて現在。

あの時逃げないで本当によかったと心から感じます。

写真を見るのは辛いですが、息子にも見せました。

頼んでまで写真を残してくれた父の気持ちも今は分かります。


あの時逃げていたら・・・・・ 

今でも逃げ続けていたかもしれません。


あの走り終えた後の晴れがましい気分を味わう事が出来たのは中学最高の成果でした。


あの時の顧問と私のかたい身体に心から感謝です。

                      2010年3月2日




               





                     ♪The Rolling Stones






#212  道程U 〜 It's up to me!


心に残る言葉があります。


それは、高校3年の頃だったと思います。

友人が、付き合っている彼女から聞いた話を語ってくれました。


「彼女がいつも口癖のように母親から言われている言葉があって、

それは 最後に決めるのはあなた っていう事なんだって。」


     最後に決めるのは自分


私は、この言葉を聞いた瞬間、当たり前の事だと感じました。

しかし、一人になって反芻してみると、

その当たり前の事が、実はちゃんと出来ていない自分に気付かされたのでした。


「自分が決めた事で生じた結果を、人のせいにしてはいないか・・・・?」


それ以来、その言葉はいつも心の中にフィルターのように存在し続けています。


誰に、どんなアドバイスをもらっても、最後に決めるのは自分。

仮に、判断を誰かに委ねたとしても、『誰かに委ねる』という判断を下したのは自分。

どのような結果が出たとしても、さかのぼれば最後に決めたのは自分。

「抗い様がなかった。」 「自分の意思ではどうしようもなかった。」と自分自身に何万回言い聞かせても、

突き詰めれば、本当の最後の最後に決断したのは『自分』。

その基本が心に住んでいれば、簡単に愚痴を口にする事など出来ません。


     最後に決めるのは自分


厳しく、そして、愛に溢れた言葉だと思います。

                       2010年2月28日





             






              Fleetwood Mac






#211  道程 〜 you can go your own way


中学時代のお話。


チャイムが鳴り社会科の授業。

女教師は、何かに憤慨しているような雰囲気を漂わせ教室へ入ってきました。


「起立 礼 着席」


我々が席に着くや否や教師は


「先日君たちから書いてもらったアンケート読ませてもらいました。

みんなよく考えているんだと感心しました。 ただ・・・

無記名だったからかもしれませんが、一名とんでもない事を書いた人がいます。」


そう言って、いかに自分がそのとんでもない回答を嫌悪しているかを示すように

更に不機嫌な顔をしてみせました。


「誰? 何?」 そんなワイドショーモードの好奇心で教室がざわつきました。

私も 「とんでもない回答って例えばどんなだろう?」 と、あれこれ想像をめぐらせました。

数十秒後、とんでもない奴が自分だと判明するまでは・・・。


3年生になり、いよいよ進路について現実的に考えなければならない時期となり、

その自覚を促すためもあってのアンケートであったのだと思います。

無記名でわら半紙に記すのは

「将来何になりたいか?」

という問いに対しての答え。


教師が言うように無記名であったから、そのように書いたのかもしれません。

記名が必須であったら、もっと通りの良い事を書いていたのかもしれません。

でも、

ふざけたつもりも、おちゃらけたつもりも、ばかにしたつもりも全くありませんでした。

正直な気持ちを記したまででした。


「その人はこう書いています。」

そう言って教師は振り返り、黒板に文字を記しました。


その文字を見て私は 「あれ! 俺!?」 と心の中でつぶやき、驚くと共に、

教室の 「えー」 「信じられない」 という反応にかなり動揺しました。

動揺しつつも一応 「誰だよそんな事書いたのー」 などと言いつつ、

それは自分ではないという地味なアピールをしてみせました。

犯人探しをされるのではないかと内心ビクビクしている私に追い討ちをかけるように教師は、

「全くふざけています。甘えています。社会の一員になろうという責任が感じられません。」

と、語気を荒げました。

それははまるで、自分が信じているものを愚弄されたかの様な、とても感情的な様子でした。

私は、『甘えているのと、責任が感じられないのは当たっているけど、ふざけてはいない。』

そう心の中で反論しながらも、 「誰だよまったくー」 などと One of them になることに努めました。




それは正直な答えでした。

そんな大ごとになるような答えだとは思いもよりませんでした。

クラスのみんなが「信じられない」といった事も信じられませんでした。

孤立無援だと思いました。


今から思えば思春期だったのだと、かつての自分を可愛く感じます。

悩んでいたのでしょう。

逃げ出したかったのかもしれません。

憧れでもあったのでしょう。

バイクも盗まなかったし、窓ガラスも割りませんでした、

そんな普通の中学生の小さな自己主張だったのでしょう。


教師が振り返って黒板に記したのは・・・


    流れ者


今もし自分の子どもがそんな事書いたら・・・

やっぱり心配になっちゃうでしょうねぇ〜

                    2010年2月28日




        




                ♪よしだたくろう






#210  ヒミツ基地 〜 Call & Response


高校時代のお話。


退屈な選択授業の昼下がり。

私はあくびを噛殺しつつ、涙目になりながら、ただなんとなく、

スチール製の机のグレーの天板に鉛筆で小さく

  It's Only Rock'n Roll

と落書きしました。


次の週の同じ時間。

自分の教室から移動して、その席に着くと、先週私がした落書きの下に

  But I Like It!


と、誰かが更に落書きしていました。

私はビックリするやら嬉しいやらで、授業が始まってから

「その下に何を書こうか?」

そればかり考えていました。

「そう来たという事は・・・  これなら・・・」

私は

  Jumpin' Jack Flash

と記しました。


次の週、わくわくしながら選択の教室に向かい机を見ると・・

  It's a gas, gas, gas

と、これ以上は無いという反応が記されてあったのでした。


このやり取りは相手が全くわからないまま、というよりは双方あえて追求しないまま、

途中何度か全てを消しゴムで消し、リセットしつつ10回ほど続きました。

「ところであなたは誰?」

そう訊きたい気持ちもありましたが、結局お互いを知らないままフェイドアウトとなりました。

ローリング・ストーンズの有名なフレーズをやり取りしていたわけですが、

例えれば・・・・

  ちょいと一杯のつもりで呑んで

という落書きに対して

  いつの間にやらはしご酒

と、返してもらったような感じでしょうか?

そんな机の上の交換日記を思い出すと、今でもなんだか心がほっこリします。


さて、少し前の事。

私は、ある方に、ラジオ番組を録音したカセットテープを10本ほどお貸ししました。

敬愛する
みうらじゅん先生の番組でございます。

初対面でお話させていただいた折、ひょんな事からその方もみうら先生を尊敬されている事を知り、

半ば強制的に私のコレクションを押し付けたのでした。

先頃、そのカセットテープが私の手に戻ってまいりました。

粋な「お礼」の中に入れられて・・・。

思わず旅に出たくなるような、中村雅俊が30年前のドラマで持っていたようなバッグ!

みうら先生のイラスト入り!!

おまけにポケットのジッパーを開けると中にはユースホステルの宿泊券が・・・

私は手にした瞬間、高校時代の上記のやり取りを思い出し、

「わかる人にはわかる わからない人にはわからない」 と、ニンマリ。

周りにいた方々は

「別にわからなくてもいいです。」

という顔をされていたような気はしたのですが・・・・・・・・

         Never Mind!

                 2010年2月24日



              




              中村雅俊





#209  鴨南蛮うどん(手打ち) 〜 I love you baby, Can I have some more?


      美味しくて   美味しくて  言葉に  できない


      あなたを想うと唾が溢れます。

                               2010年2月21日




        




               
                  ♪
Leo Sayer



             竹蔵蕎麦やま竹





#208  ネルシャツの人  〜 You know this guy!


仙台のお客様へ伺った帰り道、久しぶりにCD屋さんに立ち寄りました。

当てもなくウロウロしていると、一枚のジャケットが誘惑してきました。

ニール・ヤング1971年のライブ盤(2007年発売)。


手にとって・・・・・  

裏面に書いてある曲目を確認して・・・・・・・

「何これ・・・」   

で、お買い上げ。


イワユル衝動買い!


帰りの車の中で早速聴いてみました。


「何これ・・・ 何この音・・・ 何この演奏・・・   何この・・・・・・・」


何度も鳥肌が立ったのは、雪の峠を越えていたからではありませんでした。

身体の中心から次々と沸き起こる何かが、波紋のように全身に広がり、

最後に産毛を逆立てて毛穴から消えて行きました。


曲間のチューニングの音さえも美しいアコースティック・ギターの響き、

切なく、優しく、心に染み入るピアノの余韻、

瑞々しく、頼りなげで、儚げで、それでいて力強い声。


永くお友達でいれそうな一枚です。



Blue, blue windows behind the stars

Yellow moon on the rise

Big birds flying across the sky

Throwing shadows on our eyes.


星たちの背後に蒼い蒼い空が広がり

黄色い月がのぼってゆく

大きな鳥が空を横切り

僕らの目に影を落としている

            ヘルプレスより


                           
2010年2月13日




     




 ♪Helpless  Massey Hall 1971    ♪A Man Needs A Maid / Heart Of Gold  Massey Hall 1971





#207  フライング・ハイ  〜 beautiful memory


夕食を終え就寝時間に入った機内は、満席にもかかわらず静まり返っていました。

ただゴォーッというエンジン音だけが暗がりに響く中、私はちょっとした異変を感じ目を覚ましました。

私は先ず、体勢を変える事無く瞼のみを開き、とりあえずその異変を客観的に把握しようと試みました。


「この状況をこのままやり過ごすべきか否か?」


正確には


「このままやり過ごす事が出来るか否か?」


であったかもしれません。

「どちらにせよアクションを起した方が得策」

そう考えた私は、シートベルトを外し、最後尾の化粧室に歩みを進めました。


立ち上がった瞬間判明した予想を上回る状況にフラフラしながらも、ようやくたどり着き、

化粧室のいつもながら開けにくい折戸の取っ手に手を掛け・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





どれくらい時間が経過していたのでしょうか?

5分? 10分? 30分?


少しずつ開かれてゆく私の目が、ぼんやりと合ってゆく焦点の中で捉えたものは、

じゅうたんが敷かれた暗い通路のパースペクティブでした。


「まるでドラマのようだ」 と、

思いました。


私は化粧室前の床にうつ伏せに倒れていたのでした。



「だいじょぶだが?」


山形弁のおんちゃん(おじさん)が心配そうな顔で声を掛けてくれました。

(・・というのはたぶん幻聴で、今から考えると、そういう時は自身のプリミティブな部分が露となり、

その結果、その状況で自分が一番耳にしたい音で聴こえたのではないかと推測しています。)


私は 

「あっ だいじょぶです だいじょぶです」 

と、慌てながらも体勢を立て直し、自分の置かれた状況を把握しようと試みました。


「ここはどこ? ・・・・・・飛行機の中」

「なんで化粧室の前に寝てるの? ・・・・・・・・そういえば気分が悪くて・・」

「オイ 誰だよ俺のズボン汚したの?(怒)    

・・・って  ・・・・・・・・・あれっ  ・・じ 自分?  エッ!  まさか  ・・・・リバース?」


以上のような事をバリバリの山形弁で自問自答しました。


状況を100%理解した私は先ず、更なる汚染拡散を防止するため、目の前の化粧室に入り、

口元を清潔にし、ズボンに付着したリバース物件を処理しました。

続いて扉の外に戻り、DIYの精神で現場処理にあたりました。

満員の乗客の皆様、乗務員の皆様に不快な思いをさせては申し訳ないという一心で、

一生懸命あたらせていただきました。

幸い就寝タイムで機内は暗く、ほとんどの皆様が眠りに就かれていたのが唯一の救いでした。

そしてそれは、私の隣の席に座る乗客も例外ではありませんでした。

シークレット・ミッションをコンプリートして座席に戻った私を、新妻の寝顔が迎えてくれたのでした。


「伝えるべきではなかろう」


安易な報告は更なるリバースの引き金になりかねません。

賢明な判断を下した私は、シミのついたズボンをブランケットで覆い、

何事もなかったように寝たフリをキメました。


「しかし なぜ?」


目を閉じて深く息を吸い込みながら記憶をたどりました。

すると考える間もなく、機内での夕食時の様子がフラッシュバックしたのでした。


「えっ! 食べないの? こんな美味しいの じゃあ俺食ってイイ? あっスミマセン ビールお願いしま〜す。」


どうやら原因は、自分が想像以上に疲れていることに気付かず、

にもかかわらず想像以上にテンションが上がっており、

おまけに飛行中の気圧の変化が加わって・・・・・・・と結論付けられました。

つまり、


  疲労&ハイテンション 
 (機内食1.8人分+アルコール)×気圧変化   化粧室へGO  気絶 

  ⇒ 壁にもたれる  ずり落ちる  体育座り  マーライオン  ズボン台無し うつ伏せ寝 

  ⇒ 覚醒  山形弁  混乱  怒り  容認  反省  DIY  隠蔽  検証


といった次第です。



以上は、今をさかのぼる事18年前、

新婚旅行でハワイへ向かう飛行機の中でのエピソードです。


到着してホテルに向かうバスの中、事の顛末をパートナーに告白しました。

それは幸いであったのかどうなのか?今もって不明ですが、全く気付かれていませんでした。


オーシャンビューのホテルに着いて一番初めにしたことは・・・・・

DIYの精神で臨んだ洗面所での洗濯です。


Life is beautiful! Yes We Can!!

                           2010年2月11日





        

          ハイテンションで購入したハワイアンな一品






                
浪漫飛行






#206  サクラサク  〜 cherry blossom


山形市内は雪で覆われ、底冷えのする日が続いています。

      立春とは名ばかりで・・・

そんな時候の挨拶がぴったりな現在の山形市内です。




    





そんな中、仏像彫刻原田のギャラリーには一足早い春が訪れています。

今が見ごろの啓翁桜が来訪者の目を楽しませ、

展示の十一面観音像もその様子に微笑んでおられるようでした。


続いて天気予報 県内全域明日もやっぱり寒いです。

                                  2010年2月8日




           




             Cyndi Lauper





#205  彩  〜 Aja





       ♪The Doobie Brothers









             ♪Junko Sakurada








                      Kiss








               ♪The Supremes








          ♪Seiko Matuda








                         ♪The Beatles








       ♪Char








       ♪Keisuke Kuwata








                         Steely Dan






   1 2 3 8 Shanghai Museum   4 5 6 7 9 Tokyo National Museum


                                        
2010年2月5日






#204  夢現  〜 trip


エントランス前にずらりと並ぶ黒塗りの高級車に少しばかり気後れしつつ、

それでも 「美しさに出逢いたい気持ちに貴賎なし」 と、己を励ましながら入館。

暗くなる前にと思い、先ずはお庭に出てみると、前の晩に降った雪が芝生をおおっていました。

今が見ごろの紅梅と白雪の取り合わせに、東京で雪道を運転した緊張が解けました。



           



出張の空き時間におじゃました根津美術館

一等地に広がる広大な敷地、リニューアルされた建物、

国宝や重文を数多く有する収蔵品の充実度、そしてそれが私立美術館である事実。

驚きの連続でした。


展示室内の照明はかなり抑えられ、余裕をもって展示された品々が薄暗がりに浮かび上がり、

展示物と鑑賞者の間に割ってはいるガラスは、その存在を気付かせないほど透明で、

その存在に気付いて無い方が付けたであろうおでこの跡が、ようやくその存在を教えてくれました。

展示品は言うまでもなく、館内のサインや室礼もまた魅力的。



             



トイレのサイン、

そして、



       



竹素材のベンチ。

展示室内には同じデザインで欅素材のものが連結して配されていました。


満足のうちに外へ出ると、庭石に積もった雪が解け、その水溜りに空が映っていました。

「まるで故郷を懐かしんでいるようだ・・」

そんな事を思いながら、いい気分で近くのコインパーキングに向かうと、

なんと!わずかの間の駐車料金が2400円!!!


      いい気分 プライスレス!  


でも・・・

夢から覚めた瞬間でした。

                       2010年2月3日





         





           
Olivia-Newton-John







#203  国立駄洒落  〜 mammalia


朝刊一面の広告に目が・・・


「かわいい赤ちゃん産まれたゾウ!」

「これはクマった餌不足!」

「ニャンと体重12キロ!」

・・・・・等の従来型表現を踏襲しつつの新しい試み。

ヒョウの写真の上に「ヒョウ」と表記してあるのが斬新です。


これは是非おじゃまして全部見せてもらいまヒョウ!

                        2010年1月30日



    




           大哺乳類展


        谷啓    ♪水前寺清子






#202  ライブ  〜 comes a live


子どもたちに聞かせたら笑われてしまうかもしれませんが、

その昔、ステレオコンサートというのがありました。

会場はたいてい会議室みたいなそっけない部屋で、そこにパイプ椅子が並べてあり、

正面の、コンサートであればステージにあたる場所にスピーカーが置かれていました。

コンサートに先立ち主催者の挨拶などが簡単にあり、

その後、お気に入りのグループのレコードをただひたすら聴くというものでしたが、

参加者はつかの間、2本のスピーカーの間にビートルズやストーンズのまぼろしを見ていたのでした。

これは、本当のコンサートに行くことが出来ないフラストレーションをステレオコンサートという

疑似体験?で解消するという効果(場合によっては煩悩が増してしまう危険性もありますが・・)と、

同好の士と同じ空間で感動を共有できるという、

これはこれでなかなか楽しい、実はけっこうわくわくする催しでした。

進化形としてフイルムコンサート、ビデオコンサートなどがありましたが、

今のようにビデオやDVD、ましてやYouTubeなど無い時代に

動いているイーグルスやピンク・フロイドの映像を目の当たりにするというのはかなり刺激的な事でした。

ある意味それくらいの事でドキドキできた時代は幸せな時代であったのかもしれません。


・・・・・とは言え、

様々なライブを体験した(もちろん観客としてです)身はもう後戻りができません。

身体がJOYを知ってしまったのです。


どんなに素晴らしい記録技術があっても再現不可能。

だからこそ、そこに身を置く価値がある。

ライブはステキです。(気持ち的にこの箇所にピンクのハートマーク!)


思い起こせば4年前・・・

当ギャラリーでもライブ(日々コレ#031)が行われたのでした。

あの時のギャラリーの空気を振るわせたサンポーニャの響きは今どこに存在するのでしょうか?

それは、あのライブに来て下さった皆様の心の中に(この箇所にはキラ星ハートマーク!)



さて、前置きが長くなりましたが、

当社新店舗完成5周年記念ライブを開催します。

4年前の1周年記念ライブと同じ、サンポーニャ奏者の瀬木貴将さんと、

ギターリストの越田太郎丸さんをお迎えしてのアコースティックライブです。

金山杉と漆喰壁に囲まれた当社ギャラリーでは豊かな余韻を楽しむ事ができます。

生音の響きと同化してゆく快感!

今から胸が躍ります。(鼓動するハートマーク!!)

                            2010年1月27日




     

               前回のライブの様子です。




                      ♪
イルシオン  瀬木貴将







#201  とろり  〜 mellow


養壺【ヤンフウ】なる言葉があります。

中国茶で使われる急須を茶壺【チヤーフウ】といいますが、その茶壺を育てる事。

辞書には

   茶葉本来の風味を存分に楽しめるように、一 種類の茶葉を専用の茶壺でいれることにより、

   紫砂壺特有の微細な気孔に茶の成分をしみ込ませる。

   養壺の状態がよい茶壺は、深い艶(つや)があり、茶の香りを閉じこめているとされる。

と、あります。

熱心な方は専用の筆で茶壺の表面にお茶を塗り、専用の布でみがいたりするのだそうです。

一方日本でも、養壺とは異なるかもしれませんが、

使い込まれて艶のある常滑焼の急須を目にする事があります。

何年も大事に大事に慈しまれながら使われてきたそんな急須で淹れていただいたお茶の味は、

その淹れて下さる方の熟練の所作や、注がれる時の音とともに、

日本茶の美味しさや素晴らしさを再発見させてくれます。


先日、出張の帰りに大阪の四天王寺さんにお参りさせていただきました。

広い伽藍を歩き、最後におじゃまさせていただいた太子殿。

その太子殿に架かる橋の欄干に取り付けられた金具に心惹かれました。

お参りされた方の手擦れと、大切にお手入れされてこられた事の賜物。


いつかどこかでお茶を頂戴した時に目にした、そのお茶を淹れて下さった方の両手の中で

お孫さんを可愛がるかの様に撫でられていた とろとろに光る急須 の事が頭に浮かびました。

時間の経過と、その間に注がれた愛情が成しえた姿だと感じました。

                                      2010年1月26日





        





 
               ♪Ry Cooder







皆様の「日々コレ」をお寄せ下さい! 〜 
gimme some lovin'


皆様が日頃「いいナー」と感じておられる事や、お気に入りの物、大好きな人などをご紹介下さい。

随時このコーナーで「皆様の日々コレ」として掲載させて頂きます。

写真の添付も大歓迎です。

お名前はペンネーム、イニシャル何でも結構です。

出来れば所在地(県や市)などもお書き添え下さい。

出来るだけ原文のまま掲載させていただきたいと思います。

採用させていただいた方には当社謹製オリジナルポストカード5枚セットをプレゼントいたします。

以下のメールアドレスでお待ちしてます



 info@jigamidai.com



      






コレクター:1963年生まれ 男性 仏像彫刻原田専務